【TIFF2015】「私の血に流れる血」同じ血が流れていれば、同じものに惹かれるのかも。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

3作目

東京国際映画祭 ワールド・フォーカス部門「私の血に流れる血」を観ました。


ストーリーは、

時は17世紀。ある教会で神父が自殺する。自殺は許されず、正式な埋葬が行われない。神父の弟は教会を訪れ、兄の死は魔女と取引をした尼にそそのかされた結果であることを証明しようとする。尼は拷問にかけられる。現代に時間は飛び、今や朽ちた教会をロシアの富豪が買取ろうと下見に来る。しかし内部には時間の流れを拒否するかのようにひっそりと住みついた老人がいた。バンパイアと噂される老人は、夜に外出して現代の街を観察する…。

というお話です。


私の血

神父である兄が自殺をしたと聞き、弟のフェデリコは驚き、教会に駆けつけます。自殺なので、教会には埋葬して貰えずに、地域の墓地へ。納得の出来ないフェデリコは、女が悪魔と取引して、兄をたぶらかしたというのを聞き、その女に悪魔と取引したという証言をさせようと色々な手を尽くすのですが、彼女・ベネデッタは、認めようとしません。


ベネデッタが悪魔とした取引の証拠を手に入れようと、神父たちも、色々な尋問らしきことをしたり、水の中に飛び込ませたりするのですが、どうしても、取引の証拠は出てきません。


私の血

フェデリコは、どんなにしても折れないベネデッタが気になりながら、自分は、兄の後を継いで、司教となる事を決意し、兄が来ていた服をそのまま受け継ぎ、枢機卿となります。そして、長い間、ベネデッタを監禁し、悪魔との取引という証拠を手に入れるために、ベネデッタを監視することとなります。


一方、現代に生きる伯爵と呼ばれる老人。いつの時代から生きているのか、長い間、その地に出没し、街を見下ろしている。ある日、古い教会がロシア人に売買されそうになり、そこを影ながら支配していた伯爵は、仲介業者に金を渡し、辞めさせるように促す。その取引をした店には、昔、教会で神を裏切ったとされるベネデッタにそっくりなウェイトレスが働いており、伯爵はその女性に惹かれて行く。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。


私の血

この映画も、観た後に、反芻して理解していく映画だと思います。今回は、私の解釈を書いていきますね。監督が描いていたものとも、皆さんが感じる事とも違うかも知れませんが、とりあえず、私の考えということで、理解してください。


フェデリコのお兄さんは、実際に自殺をしたのだと思うのですが、それは、ベネデッタが悪魔と取引して誘惑した訳では無く、ただ、お兄さんが美しいベネデッタを観ていて、欲望が出て来てしまったのだと思うんです。神父ならば、それを抑えられるはずなのに、それを抑えられない自分が居る事が判って、お兄さんは、神に仕える身でありながらと思い、自殺をしたのだと思うんです。


私の血

だから、ベネデッタは、悪魔とは取引していないんです。このベネデッタという名前は、イタリアの修道女ベネデッタ・カルリーニから来ていると思うのですが、この彼女は、幻視体験をして、イエスと心臓の交換をし、のちにイエスとの結婚を幻視したとされる神と交わった女性と言われます。まぁ、自分の妄想の中なんですけどね。で、その実在の人と重ね合わせると、彼女は罪を犯しておらず、神に仕え、神に全てを捧げた女性なので、どんなにフェデリコが証拠を見つけようと頑張っても、見つかる訳が無いんです。


私の血

そんなベネデッタを、長い間監視し続けるフェデリコは、その美しさに、自分も、兄と同じように、惹かれていたのだと思います。だからこそ、執拗に彼女を責め立てて行ったのだと思いました。神父なら、そこで、自分の罪に気が付くはずなのですが、フェデリコは、転職して神父になり、神父になる前は、2人の女性と寝たりと、色々、神に背くような事をしていたんです。だから、お兄さんと同じような考えには至らなかったのかなと思いました。


私の血

フェデリコのこだわりは、時を超え、何処までも続きます。それが、現代に続いていたのかなと思いました。でも、どんなに時を超えようと、真実はひとつであり、どんなに周りが責め立てようと、神への忠誠を失わないベネデッタは、美しく、光輝く女性だったのだと思います。最後の方で、ベネデッタの事を、「まるでマグダラのマリアのようです。」という言葉があるのですが、これが、この映画の真実を語っているのかなと思いました。映像がとても美しくて、とっても惹かれました。


私の血

私は、この映画、お薦めしたいと思います。宗教系のお話なので、理解するのが難しく、何ともふわふわする感じがあるのですが、観て、感じて、自分の解釈を見つけて良い作品だと思うので、楽しめると思いますよ。単館系の映画ですので、明るい映画が好きな方には、ちょっとダメかな。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





東京国際映画祭 ワールド・フォーカス部門「私の血に流れる血」

http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=123