【TIFF2015】「ルクリ」不思議な世界を積み重ねて、彼らは何処に辿り着いたのか。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

2作目

東京国際映画祭 コンペティション部門「ルクリ」を観てきました。


ストーリーは、

人里離れた土地で、自給自足の生活を送る数名の若者たち。突如戦闘機の轟音が鳴り響き、地域に戦争の気配が満ちていく…。時代を覆う不条理な空気を、個性的な音響と映像で描いていく問題作。荒れ狂う戦火が迫るギリギリの淵にある小さな農村。恐怖におびえる住民たちの生活は、ふたりの男により揺さぶられる。復讐心に燃える謎の男ペードゥからふたりの男は逃れてきたと言う。
というお話です。


ルクリ

あらすじを読むだけでは、何が何だか分からないと思うのですが、ハッキリ言って、観た後も、良く分かりません。(笑)でも、とっても不思議な感覚があって、観た後で、反芻(はんすう)していくと、そこに、キリスト教的なものが見えてきたり、創世記が見えてきたり、と、色々なモノが、色々な面から見えてくるんです。


これは、ファンタジーというのかな。感じる映画で、時間の流れ、話の流れとか、内容などを考えると、全く結びつかなくなったりして、訳が解らなくなるのですが、落ち着いて考えを巡らせていくと、確実では無いけれど、自分の解釈が出来て行くんです。


そこまで戦火が迫っていて、戦闘機の音や爆撃音などが響いてくる村に、男とその姉らしき女性と、もう一人の女性が住んでいます。姉は、もう食べるものも無いのに、いつまで彼女を置いておくのかと男に聞くのですが、男は出て行けとは言えないと言います。女性は、どうも、男の元妻らしいことが解ってきます。


ルクリ

そんな家に、2人の男がやってきます。一人は、鳥と仲良しのようで、一人は、何故か聖痕らしきものがあります。ペードゥという男から逃げてきたという2人。戦火が迫っているのに、その上、誰かが追ってくるというピリピリした緊張の中、家が停電したり、不思議な事が続きます。


家に住む男は、元妻に、色々大変だけど、一緒に居られることになって良かったと言い、女は、2人の間には、もう何も無いのだと話します。


朝になり、ペードゥという男が家にやって来て、何故か、逃げていた男たちを探すのではなく、家に住んでいた男を連れて、野原を移動し、海までやってきます。そして、ペードゥは、「俺たちは、火花として外に飛んで出てしまったものを狩るものだ。火の子が他に飛び散らないように集めるのだ。」と話します。そして、夜が明けると、家に住んでいた男は海に一人きり。


姉の女は、男2人と不思議な森の中に居て、細い蛇を慈しみながら持ち上げ、そして、愛しそうに野に放ちます。そして・・・。後は、映画を観て、考えて下さいね。


ルクリ

ペードゥという男は、監督が言うには、聖書のペテロから来ているとおっしゃっていました。ペテロ(シモンペテロ)というと、カトリック教会では、初代のローマ法王としています。この映画の中のペードゥと仲間は、私には、十字軍的に見えてしまい、強硬に教えを守れと迫るように見えて、そこから逃げている2人は、天使と御子(キリスト)のように見えました。本当は、宗教とは、人に押し付けるものでは無く、人の中から沸き上がり、信仰が強くなって行くものなのに、外力により、信仰を強くさせようと強硬するのは間違っているのだと暗に言っているようで、だから首長であるキリストと天使が逃げるような形になったのかなと思えました。


そして、ペードゥに拉致された男は、海で解放され、戦火からも遠ざかり、緊張は消えて、新しい道を歩いて行けると言う事なのかなと思えました。突然に消えてしまったペードゥは、男が、これは間違っていると確信し、認識したので、消えてしまったのかな。ちなみに、男の元妻が戻って来て居た描写も、もしかしたら、男が望んでいたからこそ、そうなっていたのかなと思いました。


ルクリ

最後に、森の中の、逃げていた男2人と姉の女性の3人ですが、彼らは、自由な信仰と、迫っていた戦火から逃れて、美しい場所へ辿り着きます。そこは、エデンのようでエデンでは無く、男と女は蛇に騙されて、エデンを追放されたのでした。そこで普通なら、蛇を恨んでしまうと思うのですが、エデンは追放されたけれど、新しい地上は、エデンにも勝る楽園とする事が、これからの行いで出来るのだと気が付いたように見えて、蛇を愛おしそうに抱き上げ、そっと逃がしてあげるんです。きっと、それは、全てを許して、新しい道を歩いて行こうという気持ちになったのかなと思いました。


ルクリ

なんか、私の感想、解らないでしょ。この映画、観ていれば、この感想の言う事が判ると思うのですが、言葉で、この映画の流れを伝える事は無理なので、感想も、理解するのが難しいと思うのです。でもね、こんなにバラバラしているけど、なんだか、最後には、希望が見えてくるんですよ。それが、何なのかは解らないんですけど、でも、何となく気持ち良くなるんです。伝わるかなぁ。


この映画、私は、お薦めしたいのですが、これ、普通の映画ファンには、解らないと思います。監督がおっしゃるには、タルコフスキーの映画に近づきたいと思って作っていたそうです。スミマセン、私は、タルコフスキーの映画をちゃんと観た事が無いので、何を言っているのか分かりませんでしたが・・・。(笑)


ルクリ

不思議なお話です。でも、何か惹きつけられるものがあり、気になりました。小さな鳥が可愛かったです。とても良く懐いていて、鳥を飼うなら、あういう鳥が良いなって思うような感じでした。


気になったら、ぜひ、観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




東京国際映画祭 コンペティション部門「ルクリ」

http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=25