1作目
東京国際映画祭2015 コンペティション部門「スリー・オブ・アス」を観てきました。
ストーリーは、
イラン南部の小さな村。大家族の中の大勢の兄弟のひとりとしてイバットは産まれた。兄弟たちはみなそれぞれの道を歩むが、イバットは反政府運動に関心を持つようになる。弾圧的な政府により逮捕され、長期に渡り投獄されてしまうイバットであるが、彼はそんなことでひるむ男ではなかった…。
というお話です。
イランで暮らしていたイバット。大家族に産まれ、兄弟は12人。大きくなって、それぞれに暮らして行こうという時に、イバットは、パフラヴィー朝の皇帝(シャー)に支配されている自国を良しとせず、皇帝反対という立場を崩さず、民主化を叫んでいたので、秘密警察に捕まってしまいます。拷問をされたりと、7年半の間、投獄され、パフラヴィー朝の衰退に伴い、刑務所から釈放されます。そして、ホメイニ氏が代表になり、民主化が進むと思いきや、イスラム共和制を立ち上げてしまい、イバットたちの望んでいる社会とはなりません。

イバットは、妻と息子を連れて、イランから山を登って逃れて、フランスに亡命します。新しい土地パリにて、生活基盤を作り始めます。イバットは、イランに居た時に弁護士の免許を持っていたので、フランスでも弁護士として仕事がしたいと思い、弁護士免許取得の勉強を続けます。そして、めでたく弁護士となったイバットは、活動を始め、地域のコミュニティを広げて、苦しんでいる人達を助けることを始めます。イバットの活動を支援してくれる人々も増えて、革命から始まったイバットの思いは、大きく広がって行きます。後は、映画を観て下さいね。
この映画、とても面白かったです。イランのクルド人の方の歴史を描いているのですが、こんなに過酷な事が沢山あっても、力強く生きているという姿が描かれていて、普段、知る事の無い内紛やら、宗教の違いの問題など、難しいのだなと思いました。イバットは、逮捕されて、拷問とかされるんですけど、何故か、笑えるようなお話になっているんです。別に、拷問が面白いとかでは無く、そんな事をされても、めげずに前を向いて、ジョークを飛ばしていくイバットの人柄が、とても面白くて、笑えるんです。だから、映画も暗くならないんですよ。

クルド人って、ニュースでは聞くことがあっても、どんな人達で、何処に住んでいて、なんで内戦の火種になったりしているのか、全く解りませんよね。この映画では、一応、イランでは、皇帝の好き放題だったので、それを辞めさせたいと思っていたとか、ホメイニが民主主義を進めてくれると思っていたけどダメだったとか、そういう活動をイバットがしていたのは解るんですが、なんでクルド人ということが、それに関わっているのか、映画を最後まで観ても、解りませんでした。
でも、クルド人っていう人達が、別に、特殊な思想の持主だったり、特殊な宗教を持っている訳では無く、普通の人々と普通に暮らしているということは、解りました。ぶっちゃけ、クルド人って、クルド語を話す人達なのかな。クルドっていう国は無かった訳だし、どこら辺で、自分はクルド人だって判るのか、教えて欲しいなって思いました。日本にいると、宗教の対立も無いし、クルド人はこんな人ですっていう説明も無いので、誰か説明してくれないかしら。この映画を観て、もっと、クルド人とかの事を知りたいなと思いました。

イバットという男性は、とても誠実な人で、誠実だからこそ、長い物には巻かれろ的な考え方は出来なかったし、逮捕されても、拷問されても、考えを曲げる事が無かったんだと思うんです。信念ですよ。そんな彼は、パリに渡り、苦労をして、しあわせを掴んだと思います。やっぱり、一度でもサバイバルをした人は、何をやっても、諦める事が無いので、成功しますよね。何でも中途半端にやっていたのでは、何も成し得ないんです。やっぱり、やるとなったら、1番にならないとね。2番はダメなんです。

あまり上手く映画の説明が出来ていないような気がするけど、でも、この映画、とても面白かったです。そして、とても興味深い内容でした。あ、これ、実在の人物のお話です。この映画監督のお父さんがたどった歴史を、息子が映画にして、自分が主演したんです。だから、映画に出てくるイバットの息子が、自分だったんですね。もちろん、フィクションも交えていると思いますが、良く出来た映画だと思いました。最後に、本物のイバットや、その家族、協力者の写真なども出てきますよ。

私は、この映画、とてもお薦めしたいと思います。日本では、あまり知る事が出来ない国や人種のお話を知る事が出来るので、面白いと思いますよ。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
東京国際映画祭 コンペティション部門 「スリー・オブ・アス」
http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=1