舞台「グッドバイ/GOODBYE」を観てきました。
ストーリーは、
昭和23年、小説「グッド・バイ」は、太宰治が新聞連載を予定し13回分まで書いた時点で入水自殺を遂げ、絶筆となった。
田舎に妻子を残し単身東京に暮らす男・田島周二は、雑誌編集者という体裁の裏で闇商売でしこたま儲け、 はたまた何人もの愛人を抱えているという不埒な男。 しかし一転、妻子を呼び寄せ闇商売から足を洗い、真面目に生きようと愛人たちと別れる決心をする。
田島が愛人と別れるため手を組む美女・キヌ子、彼の多くの愛人たち、そして彼らを取り巻く人々をKERAが新たな視点で描き出す。
という内容です。
観てから、随分時間が経ってしまいました。感想を書く前に映画祭が入ってしまい、どうしても書くことが出来ませんでした。10月17日に観たので、1ヶ月は経たないけど、随分前のような気がします。
「グッドバイ」と言うと、太宰治ですよね。でも、未完に終わっている作品なので、どうなるのかは、脚本家が決める事。今回は、ケラリーノさんの作品でした。面白かったですよ。
編集者の田島は、超イケメンで、女にだらしがないのですが、話を聞いていると、どの女性も、ちゃんと愛しているんですよね。不思議でしょ。でね、田島に悪気は無いんです。騙してやろうとか、自分の欲の為に利用しようとか、そういうのではないんです。それぞれの女性を、それぞれに愛していて、どの女性も捨てきれない。
そんなの理解出来ないという方もいらっしゃるとは思いますが、私は、この気持ち、ちょっと解るなと思いました。だって、イタリアンパスタも好きだけど、お蕎麦も好きだし、たまにはラーメンも食べたいでしょ。それと同じなんですよね。それを食べている時は、それが一番だと思うんだけど、他のものを前にしてしまうと、それも食べたくなってしまう。そして、一口入れてしまうと、それが一番だと思ってしまう。人間の脳って、不思議なんです。
だけど、女性の側から見れば、許せないですよね。妻も子供も居るんですから、そりゃ、妻はムカつくだろうし、もう、この人はダメなんだわって諦めてしまうのも解ります。例えば、奥さんは、帰って来てくれれば、別に、それでいいと思っていても、愛人たちが騒いで、別れて欲しいとか言われると、もう、面倒になっちゃうでしょうね。人によってでしょうが、私は、あまり人間に執着が無いので、面倒だと思ったら、ハイハイって別れるタイプです。この奥さんも、そうだったんじゃないかな。
別れる為に一緒に芝居を打ってくれたキヌ子が好きになっちゃって、言い寄るのですが、あっさりフラれ、他の愛人とは別れてしまい、妻には離婚されてしまい、田島は、結構、ショックを受けたようで、落ち込んでいます。まぁ、それまで順風満帆だったのに、全てが無くなると、なんだか、何をして良いのか、判らなくなっちゃうんでしょう。
そんな田島に、ある事件が起こり、ちょっと面白い展開になるのですが、それは、また、この舞台が再演された時に楽しんでください。だって、ネタバレしちゃうと、面白く無いでしょ。でも、最後の展開には、スッキリして、気持ち良くなりました。ハッキリ言って、ハッピーエンドです。やっぱり、こうでなくてはね。太宰だと、どうしても、暗くなりがちだけど、こういうラストになってくれて嬉しかったです。

中村トオルさんはもちろん、他の方達も素晴らしいのですが、特に、今回も素晴らしいと思ったのは、小池栄子さん。やっぱり、マジで上手いですね。彼女は、観る度に美しく、魅力が増していき、目が離せない女優さんだと思います。本当に、彼女の作品は、全部観たいと思うほど、魅力的だと思いました。TVなどでは、主演が少ないけど、舞台では、その才能を十分に解き放っていて、まさに舞台の華になっていました。
小池さんって、女性版堺雅人だと思うんです。だから、小池さん主演でドラマとかやっても、絶対にウケると思うんだけどな。最初は、インパクトが少ないかも知れないけど、良い原作なら、彼女の上手さなら、飛び抜けると思うんですけど。ま、でも、本人が舞台を楽しんでいらっしゃるなら、舞台で頑張って欲しいけどね。
私は、この「グッドバイ」という舞台、超お勧めでした。もう、先月、終わってしまった舞台だけど、もし、再演があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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