「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」を観てきました。
ストーリーは、
1981年のニューヨーク。モラルを無視したつぶし合いが平然と行われている石油業界に乗り込み、公明正大なビジネスを経営理念に掲げた会社を夫婦で立ち上げたアベル(オスカー・アイザック)とアナ(ジェシカ・チャステイン)。全財産を投げ打って事業拡大に必要な土地の購入に取り掛かるが、それを待っていたかのようにオイルの強奪、脱税の嫌疑といった思わぬ問題が降り掛かってくる。アベルたちの悪評が広がり、銀行の融資も絶たれ、アナとの仲も揺らぎだす。
というお話です。
石油販売の会社を始めたアベルは、自分の理想とする公明正大なビジネスを推し進め、ニューヨークで手を広げて行く。夫婦で始めた会社であり、アベルが経営、営業をし、経理関係を妻のアナがやっています。そして、全財産をかけて、石油の貯蔵タンクごと土地を購入し、事業拡大を行おうとするのですが、その契約直後、アベルの会社の石油を積載したトレーラーが強奪されるという事件が起こります。
トレーラー強奪が続き、その上、脱税をしていると疑われて、彼の信用は地に落ち、銀行から借りるはずだったお金が借りられなくなります。土地買収の約束の期日までに、支払いが出来ないと、手付金だけ取られて、土地は手に入りません。ただ、負債のみが残ってしまう事になり、アベルは破産する事になってしまうんです。
信用を取り戻す為には時間がかかるので、どこかからお金を借りるしかないという状態になり、知り合いを周り、少しづつでもお金をかき集め、最後の最後に、サラ金のような裏の金貸しから借りるしか手が無くなり、仕方なく、アダムは、ギャングに借金をお願いするために、彼の家を訪ねます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
1981年という設定で、一番ニューヨークで犯罪が多かった時期のお話らしいのですが、オイルが盗まれるなんて事も、あり得たのかも知れませんね。でも、売るのが大変そうだなぁ。この場合、精製されたオイルじゃないようなので、購入するのは、精製が出来るオイル会社しかないんですよね。だから、アダムは、この中に盗んだオイルを購入している奴がいると言いきっていたのだと思いました。でも、1981年に、そんな事、出来たのかしら。
盗んでいたタンクに「スタンダード~オイル」と書かれていたので、ロックフェラー系ですね。1911年にロックフェラーが始めたスタンダードオイルは、独占禁止法に基づき、34個の会社に分けられて、BP、エッソ、モービル、シェブロンなどなどに分けられたので、その中のどれかから別れてアダムの会社は作られたのかな。今、また、石油会社の整理が進んで、エッソとモービルは1つになり、BPはいくつもの会社を吸収合併したので、石油会社って、減りましたよね。1981年も、そろそろ石油会社って、下火になって来ていたんじゃないかしら。それで会社を始めるって、すごい勇気がいるよね。
そして、このアダム、公明正大って、なにバカな事言ってんの?キレイ事をやっていて、会社なんて出来ませんよ。社員を養っていけないもん。会社を作って社員を雇うのなら、社員の生活に対しての責任があるでしょ。簡単に失敗しちゃったでは済まないんです。だから、どの会社も、始めたばかりの小さい時は、汚い事もやって、お金を蓄えて行かないと、キレイな会社にならないんです。まず、基盤を、お金を固めてから、キレイな事をやろうよ。いくらなんでも、アホかって思ってしまいました。
まぁ、アダムも、最後の方には、それが解ったんじゃないかな。良い奥さんが居て、良かったね。あの奥さんじゃなかったら、アンタの会社、潰れてたよ。ハッキリ言って、アダムは経営者としては不合格だと思います。平然と人を切り落とし、ライバル会社を踏みつぶして行く覚悟が無ければ、生存競争に勝てません。可哀想とか、残酷とか、言っていたいなら、どこかの会社に勤めろって。お前みたいな甘い事を言っている奴、たまにいるけど、次の年には居ないからね。地べたを這いつくばってください。
と、キツい事を書いていますが、これ、マジですから。だから、この映画を観て、結構、気分が悪くなりました。正義は勝つなんて、社会ではあり得ません。特に石油業界ではね。石油業界は、アメリカの動脈のようなもんだから、舐めた事をやっていると、周りに喰い殺されますよ。まぁ、映画だから良いけどね。
私は、この映画、まぁ、お薦めしようかな。オイル業界というものの仕組みが、少し解るかも知れません。そして、やっぱり内助の功というか、妻が出来た人でないと、会社の経営って難しいと言う事が分かります。男の考えだけだと、偏ってしまいがちだから、女の考えを組み込んでいかないとね。これは、アダムの話のように見えますが、本当は、それを支えたアナの話であると言えます。彼女がヒーローです。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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