「天使が消えた街」容疑者の容姿や年齢により、事実が捻じ曲げられ真実が隠されていく。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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天使が消えた街」を観てきました。


ストーリーは、

2011年イタリア。4年前にイギリス人女子留学生が殺害され、世界的に話題になった事件の控訴審が迫っていた。この事件の映画化を依頼された監督トーマス・ラング(ダニエル・ブリュール)はイタリアで調査をするものの、メディアは市民に対して扇情的な報道ばかりだった。被告のアメリカ人留学生は本当に被害者を殺害したのかわからない状況で、トーマスは創作に苦悩し……。

というお話です。


天使の消えた

これは本当にあった事件を題材にしています。実際にイタリアで起こった、女子留学生殺害事件。アメリカから留学していた女子大生が、同じ部屋に留学していた女子大生に殺害されたのでは?という事件です。TVのワイドショ-などで話題になった事件です。殺害された子も殺害されたのではと疑われていた子も美しい女子大生で、それまでは、何の変哲も無い、普通の女の子でした。

天使の消えた

ある日、女子大生が留学先の部屋で惨殺されていて、容疑者を洗っていくと、ある男性が容疑者として浮かび、その容疑者の男に指示したのが、同室の女の子であると判ってきたんです。もちろん、同室の女性は容疑を否認するのですが、彼女が付き合っていた男性と、彼女が被害者に紹介したらしい男性は、彼女に指示されたと話し、どこまでも話のつじつまが合いません。

そんな事件を映画化しようと動き出した映画監督のトーマスは、どんなに調べても、彼女が犯人だという確証は得られず、真犯人の目星も付きません。調査を進めていくうちに、段々と、メディア関係の人間に埋もれて行き、誰もが怪しく見えて来て、自分の妄想の世界に入り込んでいきます。


天使の消えた

トーマスは、事件の調査をイタリアで進めているのですが、私生活では、妻との離婚が成立するかという難しい時期であり、娘と別れたくないという気持ちもあって、この事件の被害者の父親や、加害者かもしれない女性の父親の気持ちが痛いほど解り、どちらにも肩入れが出来ません。そして、冷静にどちらの立場も考えてみるのですが、あまりにも、被害者、加害者の気持ちよりも、マスコミの思い込みの報道が進んでしまっていて、事実とは裏腹に、ただ、噂という話が広がって行ってしまう恐ろしさを目の当たりにします。

マスコミは、まるでダニのようにエサに食いつき、元の形を留めないほど、エサを食いつくしてしまいます。もう、既に、そこに真実は残っていないんです。誰が本当の事を言っていて、誰が嘘を言っているのか、冷静に見つめて、証拠集めをしていれば、問題なく解決出来たはずの事件が、どこまでも食い尽くされてしまうという状態をみせられたトーマスは、振り回され、真実が見えなくなり、真相を描くことが出来なくなってしまいます。そして・・・。あとは、映画を観てくださいね。

天使の消えた

この映画は、申し訳ないけど、ハッキリ言って、何が描きたかったのか、私は、理解が出来ませんでした。映画の監督が事件を追っていくのですが、サスペンスとして事件を追っていく面白さを描きたかったのか、真実が曲げられていくというマスコミの恐さを描きたかったのか、マスコミに踊らされていく視聴者の目線を描きたかったのか、それとも、同室の生意気な女を殺していながら逃げてしまう女子大生の腹黒さを描きたかったのか、良く解りませんでした。どれも恐ろしいのですが、実際の事件も解決していないので、何とも言えません。

天使の消えた

この事件は、結局、容疑者は無罪とみなされ、アメリカに戻って雲隠れしてしまったと思うのですが、酷いですよね。殺された女性のご両親は、納得が行かないと思います。どう見ても、この事件は、同室の女とその彼氏が殺人をしているとしか思えないのに、それが証拠不十分で釈放って、あり得ないでしょ。疑わしきは罰せずというのは、やっぱり、納得が行きません。こういう人間には、こっそりセンサーでも埋め込んで、何年かは調査を続けるべきだと思うけどね。

天使の消えた

そして、主人公の映画監督は、事件を追う内に、私生活のこととリンクしてしまって、自分の娘が心配になってしまったり、酒場で出会った女子大生と仲良くなって、その彼女と被害者がリンクしてしまったりと、精神的に混乱してしまいます。

イタリアで出会ったマスコミの女性とも関係を持ってしまったり、その彼女に紹介されたフリーの記者に振り回されたりして、映画の脚本は、全くまとまりません。まぁ、事件自体が、解決しないのだから、映画化も難しいのかも知れないけど、でも、フィクションで描けば良いのだから、やろうと思えば、いくらでも出来るはずなんですけどね。

天使の消えた

そんな訳で、ハッキリしない映画でしたが、とりあえず、まぁまぁ、お薦めしておきましょうか。映画としては、スッキリしないし、何とも、もどかしい内容なのですが、雰囲気が美しくて良いんです。そして、マスコミというものに、誰もが振り回されて、裁判でさえ、それに惑わされて、本当の決断が出来なくなるということを描いていて、面白いと思いました。日本も陪審員制度を取り入れたのだから、これは、気を付けなければいけない事です。だって、マスコミによって、正しい判断が下されなくなるのですから。この制度も、少し考えるべきだと思いました。ぜひ、観に行って観てください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ





天使が消えた街@ぴあ映画生活



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