舞台「マクベス」を観てきました。佐々木蔵之介さんが、1人でマクベスを演じるのですが、ちょっと、普通のマクベスとは設定が違うんです。
内容は、
何が患者にあったのか。何が彼に「マクベス」を語らせたのか。シェイクスピア4大悲劇の一つ「マクベス」を、ほぼ一人で演じきる。National Theatre of Scotland版“One-Man MACBETH"
舞台は精神病院。登場人物はたった一人の患者。そして時折見守る看護師二人のみ。 監視カメラが、患者の全ての動きを、逃さず捕らえて映し出す。 観客は、患者に内在する「マクベス」の登場人物たちを介して、あの忌まわしい物語を追体験する。いまだかつてない革新的に生まれ変わった『マクベス』。
というお話です。
ある精神病院に連れてこられたサラリーマン風の男。普通の男に見えるのですが、何かおかしいんです。そして、病院の服に着替えさせられ、病室に寝かされる男。何故、ここに居るのか、全く解りません。病院の職員たちが部屋を出て行く際に、彼はボソボソと「いつまた会おう、3人で?」とつぶやきます。職員たちは、気にせずに、部屋から出て行きます。
男は、1人、何かを語り始めます。それは、シェイクスピアの描いた「マクベス」でした。彼は、時にはマクベス、時にはマクベス夫人、時にはダンカン、マクダフ、バンクォーと、様々な役を、1人でこなしていくのでした。
マクベスの話は、簡単に書かせて頂くと、マクベスが戦いの後、荒野で3人の魔女に会い、預言を聞きます。マクベスが、スコットランド王になるという預言でした。そして、一緒に居たバンクォーの子孫がいずれスコットランド王になるというものでした。この預言を聞き、王位への欲望が膨らんでしまったマクベスを見て、マクベス夫人は、ダンカン王を殺してしまいましょうと囁きます。
マクベスは、ダンカン王の隙を付き殺してしまい、その後始末をマクベス夫人が行います。その事によって、マクベス夫人は気が違ってしまい、マクベスは、王という地位を手に入れたは良いのですが、いつまた、自分も狙われるのではないかと気が気ではありません。そして、子孫が王位に付くと言ったバンクォーの息子を殺そうとしてしくじり、ダンカンの息子のマルカムにも逃げられてしまいます。
ダンカンの家臣だったマクダフは、真相に気が付き、このままではいけないと、イングランドに逃げて力を借り、マルカムを次期国王にする為に、スコットランドに攻めてきます。そしてマクベスと対決し、復讐を成し遂げます。というお話なんですが、これを、1人でずーっと演じて行く訳です。
この男の演じているマクベスを観ていると、何か家族に起こったのかなという感じがしてきます。まず、最初に、病室に入ると、服を着替えさせられるのですが、結婚指輪を外しなさいと言われます。素直に外すのですが、それほど大切に思っていないようだったんです。だけど、紙袋だけは取られまいと抱きしめていたので、こちらには大切なものが入っている様子。
マクベスを演じていき、マクダフの妻子を殺す場面に来ると、紙袋から子供用の服を取り出し、それを水に漬けて、窒息死させるような仕草をします。大切な紙袋に子供の服、そして子供の殺害。このシチュエーションの中に、男が病院に入る前の出来事が、少し表されているような気がしました。マクベスの話の中にマクダフの妻子殺害はありますが、マクベスが自分で殺すという場面はありません。それが、自分で殺害したように演じているのです。
そして、最後の方で、浴槽に浸かり、顔を埋めて、まるで自殺でもするように浮かんできません。そのまま死んでしまうのではと思うのですが、立ち上がってきます。ここで、死んでしまいたいんじゃないかなと思わせます。何故なのかは解りませんが、やっぱり、子供の事が関わっているのかなという想像をしました。心に傷を負って、自殺してしまうかも知れないので、精神病院の隔離病室に入れられたのかなという考えに辿り着きました。
人間は弱いから、何か大きなショックに出会うと、もう、どうしようもなく壊れてしまう事もあるんです。私、いつも思うのですが、苦しくて苦しくて、死にたいと思っている人を、精神病院で薬漬けにして生かしておくって、その人にとっては、地獄なのではないかと・・・。もちろん、人の命は大切なんだと言う事も分かりますが、あまりにも残酷だと思うのです。私は、死にたいと思ったら、死なせて欲しい・・・。まず、思わないと思うけどね。
私は、この舞台「マクベス」素晴らしいと思って、お薦めしたいと思いました。でも、これ、「マクベス」を知っている人が観る舞台です。マクベスを知らないと、ちょっと解らないかも。でも、知っていれば、本当に楽しめましたよ。もう、この舞台、終わってしまったけど、また、再演があれば、ぜひ、観てみて下さい。佐々木さんのヌードは、最高でした!イイ身体してますよねぇ。TVでは脱がないけど、舞台では、毎度、脱いでいて、嬉しい限りです。(笑)
ぜひ、楽しんできてくださいね。
舞台「マクベス」 http://www.parco-play.com/web/program/macbeth/
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