「セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター」光を描くのがフォトグラファー。空間を切り取って。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター」を観てきました。


ドキュメンタリーなので、内容は、

30代で写真の世界に足を踏み入れたセバスチャン・サルガドは40年かけて世界中を回り、何年も費やしたプロジェクト作品を多数発表。写真家であると同時に環境問題にも取り組む彼は、2004年に地球上の最も美しい場所を探すプロジェクト「Genesis」を始める。そして遊牧民のシベリア横断や、熱気球から撮影した水牛の群れなどを写真に収めていく。
というお話です。

サルガド

ドキュメンタリー映画なので、それほど感想というものは無いのですが、ちょっと書いてみましょう。

セバスチャン・サルガドは、学生の頃に今の妻・レリアと知り合い、息子であるジュリアーノが生まれる。経済学を学び、エコノミストとして働いていたのですが、アフリカへの出張で感じる所があり、29歳で高額の仕事を辞めて、一から写真家としてスタートをしました。レリアも、彼の作品を後押しする為に、マネジメントなどの周り、彼を後押ししました。

サルガド

社会派の写真家として活動し始め、貧困、飢餓、過酷な労働、難民、内戦などを追い、第一線で働く写真家として名を馳せて行きます。彼の写真は、何か、心に訴えるものがあり、その1枚を観るだけで、物語が聞こえるような、そんな写真です。

そして、社会派の写真家として沢山の作品を世に送り出していたのですが、ルワンダ内戦の悲惨な状況を目の当たりにし、傷つき、心を病んでしまいます。家族とブラジルの故郷に戻ったセバスチャンを待っていたのは、荒れ果てた故郷の土地でした。妻のレリアは、この土地を復活させようと提案し、セバスチャンと共に、故郷の土地を再生する活動を始め、土地は、少しづつ、命を吹き返し始めます。そして、セバスチャンは、自然と向き合い、社会派の写真家から、自然派の写真家へと転身します。

サルガド

周りには、今更、社会派の写真家から転身するのは難しいと言ったのですが、それでも、出来る事をやると言って、自然と向き合う写真家として活動を始めるんです。驚いたのは、シロクマの写真を撮る時に、近くにシロクマが寄って来ていて、とても良い写真が取れそうなのに、近すぎて、シロクマ以外に何も無いから、良い写真が撮れないと言うんです。シロクマの観察写真では無いから、シロクマだけを撮るのでは、写真家の写真では無いと言う事なんです。おおー!そうなんだと思いました。かわいいと、つい、それだけ撮ってしまいがちなのですが、それと周りがあるからこそ、写真としてのバランスが取れるんですね。

サルガド

そして、自然を撮る時に、自分は、それに影響を及ぼしてはいけないという事を、とても分かっていて、写真は撮るけど、それに触れたり、指示をしたり、という事はしないんです。自然を、そのまま、写真に収めると言う事を徹底しているんです。

サルガド

ドキュメンタリーなので、凄いことが起こったりする事は無く、セバスチャン・サルガドの経歴を写真を使いながら、追って行くという内容なのですが、その写真が、あまりにも美しいので、気持ちが良くなって行くんです。そして、申し訳ないけど、気持ち良くて、眠くなるんです。まるで、自然の魔法にかかるように、気持ちが落ち着いていくんですよ。


サルガド

あ、でも、社会派の写真家だった時の写真は、辛そうなものが多いです。過酷な労働を強いられる人々の姿とか、内戦の中の哀しい光景とか、そういうものが多かったです。そこから、自然派の写真になると、全く空気が違うんですよ。何となく、上からマイナスイオンが降ってくるような、そんな写真なんです。大きく息が出来る感じかな。すごいでしょ。

昔、大学で、写真学というのがあって、構成とか色彩とか、知識だけは詰め込まされたのですが、この映画を観て、その意味が、少し判りました。空間を切り取るんですね。写真を撮るのではなく、空間を切り取るという意味が分かりました。今更ながら、お恥ずかしい話です。(笑)

サルガド

私は、この映画、お薦めしたいと思います。とても美しいし、一般の方も、この映画を観ると、写真の撮り方ってこういうものなんだって言う事が、何となく、分かるのではないかと思いました。私も、デジカメを持って行って、何かを撮ってみようかなと思いましたもん。何事も、やってみる事が大切です。ぜひ、この映画、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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