「この国の空」戦争中、国に残った人々はこんな風に暮らしていたんですね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「この国の空」を観てきました。


ストーリーは、

終戦が近い東京で、母(工藤夕貴)、叔母と共に暮らす19歳の里子(二階堂ふみ)は、何度も降り掛かる空襲に恐怖し、結婚適齢期なのに戦況が悪化し結婚など望めそうもない状況に不安を抱いていた。そんな中、丙種により徴兵を免除され、妻子を疎開させ一人で生活している隣人・市毛(長谷川博己)の身の回りの世話をすることに楽しみを見いだした里子に、いつしか自らのうちに潜む女性としての本能が芽生え……。

というお話です。


この国

昭和20年の夏、戦争は続いていて、もうすぐ本土決戦になるかも知れないという噂が流れて、日本に残っている人々は、不安な毎日を送っています。東京の杉並辺りに住む里子は、19歳になり、女学校を卒業し、役場のお手伝いをしています。母親との二人暮らしで、父親が残してくれた不動産賃貸の収入で、何とか暮らしています。お隣に、市毛という銀行に勤めている男性が住んでいて、彼は、妻子を疎開させ、自分は、こちらで仕事を続けているという状況でした。

この国

女二人で住んでいる里子は、男一人の市毛と、お隣通しという事で、お互いに助け合って暮らしていました。市毛のような銀行員は、出張があったり、泊まり込みの宿直のようなものがあったりで、毎日、家に帰れない事もあり、里子に家の管理を任せ、換気などもお願いしています。その代り、女だけでは難しい事を市毛が助けていました。

この国

ある日、横浜に住んでいた母親の姉が、空襲で焼け出され、里子の家に転がり込んで来ます。食事の配給も少なく、姉の面倒まで見れないという母親に、里子は、家族なんだから、一緒に暮らせば良いと説得し、女3人が、一つ屋根の下で暮らすようになります。

里子は、終りの無い戦争の中、従妹の結婚式に出席し、自分も近いうちに男性と結ばれるようになるのだろうかと、期待が膨らみ、女性としての意識が大きくなっていきます。そして、隣の市毛を、男性として意識するようになっていきます。そんな里子の変化に、市毛も気が付き、段々と惹かれて行きます。

この国

市毛には、疎開させた妻子が居るのですが、明日にも赤紙が来て、戦争に行き、死ぬかもしれないという不安の中、目の前の魅力的な若い女性に目が行ってしまいます。そして、里子も、明日にも空襲で死ぬかも知れないし、もし本土決戦になれば、米兵の慰みものになってしまうかもという不安の中、好きな人と結ばれたいという思いが大きくなります。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。


この国

この時代、ちょうど年頃の女性なら、こんな風な思いになるだろうなと思いました。チラシにもあるように、「愛も知らずに空襲で死ぬのでしょうか」という台詞がピッタリですよね。だって、いつ死ぬかも分からず、先も見えない毎日で、周りには、同年代の男性はほとんど居ないんです。


19歳の里子に対して、市毛は、38歳なんですね。普通の時代なら、20歳近くも離れているのだから、それほど恋愛対象にならないと思うのですが、この時代は、彼女の周りの一番近い男性が、彼だけなんです。平常時に戻れば、なんだこんなオッサンって言われちゃうかも知れないけど、この時代だからこそ、こんな事も多かったのではないかと思います。

この国

そして、この映画では、恋愛だけでなく、家族の絆も崩れていくという事が描かれているんですね。母親の姉である叔母が、空襲で焼け出され、家族を亡くして、里子の家に転がり込んで来るのですが、母親は、最初は仕方なく受け入れるのですが、段々と険悪になって行きます。迷惑だから出て行って欲しいとか、ご飯の事で言い合いをしたりとか、浅ましくなって行くのが分かるんです。これは、とてもイヤでした。家族でも、食べる物が無くなったりしていくと、こんなにも争ってしまうという事が描かれていて、辛いなと思いました。

この国

戦争によって、人生を左右されてしまう人々の姿が、とても良く描かれていて、とてもショックでした。辛い映画です。でも、私は、この映画、お薦めしたいと思います。どんな人間でも、戦争というものが起こったら、変わっていってしまうものなのだという事が、良く解ります。戦争は、絶対に起こしてはいけません。そんな事を、強く思わせる映画なので、ぜひ、観て欲しいと思いました。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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