「パプーシャの黒い瞳」を観てきました。
ストーリーは、
ポーランドを旅するジプシー一族に生まれたパプーシャことブロニスワヴァ・ヴァイスは、幼少時から言葉に強い関心を持っていた。彼らの言葉で人形という意味の愛称を持つ彼女は空想の世界が大好きで、詩を詠むことが生きがいの少女だった。やがてパプーシャは成長し、ジプシー一族で初の女性詩人となるが……。
というお話です。
ポーランドの地域を馬車を連ねてキャラバンを組んで旅をしているジプシーに産まれたパプーシャことブロニスワヴァ・ヴァイス。彼女は、ある日、森の中で盗品を見つけて、文字が気になります。ジプシーでは、文字はよそ者の呪文で悪魔の力だと言われ、文字を使う文化は無いのですが、パプーシャは、欲求を抑えられず、町に住む人に文字を教わってしまいます。
少女に成長したパプーシャは、まだ15歳なのに、父親の兄(自分の伯父)と無理やり結婚させられることとなり、あまりにも年齢が離れているので納得出来ず、決して彼の子供は産む事は無いようにと神に祈ります。結婚してしばらく経ったころ、ジプシーの所に、警察に手配されているので、匿って欲しいという青年が連れてこられます。ジプシーの命の次に大切な楽器を修理してくれている男の頼みなので、パプーシャの夫は、その男を匿う事にします。
夫が匿った男・イェジは、作家で詩人であり、彼の書いたものが政府の意向に添わず、逮捕状が出てしまい、追われることになったんです。パプーシャは、イェジと話をしながら、歌を口ずさみ、イェジは、パプーシャの詩人としての才能を見出し、これからも詩を続けて行く事を薦めます。そして、ジプシーたちは、イェジを仲間に加え、旅を続けて行くのですが、ある日、政府から、ジプシーを強制的に定住させ、子供たちは学校へ、大人は仕事に就くようにという政策が施工されます。
今までの暮らしからは一変し、職を探さなくてはいけないのですが、簡単に職が見つかる訳では無く、生活は、どんどん苦しくなって行きます。そんな時、匿っていたイェジの逮捕状が取り下げられ、イェジは、自由の身となって、ワルシャワに戻ります。その時に、パプーシャに万年筆を渡し、これからも詩を書き続けて、イェジに送るようにと話します。
自分の詩が認められ、詩を書きためて行くパプーシャですが、イェジが、パプーシャの詩集を出す為に、まずジプシーの文化などについて書いた本を出版したのですが、これが、ジプシーたちの怒りに触れて、彼らの秘密を暴いたと言われてしまい、イェジに詩を渡していたパプーシャも、非難の対象になってしまいます。ジプシーのコミュニティから追い出されてしまったパプーシャとその家族は、生活にも困窮し、パプーシャは、精神を病んでしまい、病院に入ったりという日々を過ごします。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、ポーランドの有名な女流詩人の伝記的映画なのですが、年代ごとに進んで行くのではなく、映画の中での現代を描いていたと思ったら、いきなり過去に飛んだり、未来に飛んだりするので、観ていて、あれ?これは誰だっけ?って思ってしまう部分がいくつもあり、とても観にくいなと思いました。スムーズに、産まれた時から、ずーっと流れてくれれば良いのに、前後するので、話はこんがらがるし、途中で眠くなっちゃうし、困りました。私は、何とか持ちこたえましたが、モノクロで131分もあるので、これ、寝ちゃう人も多いんじゃないかなぁと思いました。
それにしても、ジプシーの人達って、無理やり定住させられたんですね。全然知りませんでした。というか、ジプシーって、定住しないでウロウロしていて、どうやってお金を稼いでいたのかしら。昔なら物々交換とかもあったのかも知れないけど、でも、取り替えるものが無いですよね。だって、移動しているんだから、農業は出来ないし、家畜の生産ったって、ずーっと移動しているんじゃ、家畜だって、簡単には増えないでしょ。一か所で育てているならまだしも、そこら辺の野原で草とか食べさせるんじゃ、栄養も良く無いですよね。うーん、どうやって生活していたんだろう。不思議でした。
パプーシャが、伯父と無理やり結婚させられたのにも驚きました。伯父ですよ。近親相姦でしょ。それはダメだよね。昔は、メチャクチャだったんですね。恐ろしい事です。だから、パプーシャが、子供は産まれないようにって、神様に願っていたのも解る気がしました。だって、30歳くらい、年齢が違ったんじゃないかな。酷過ぎるでしょ。でも、夫は、酷い事もしていたけど、パプーシャの事を最後まで大切にしていたように見えました。良い人だったんだと思いますよ。
私は、この映画、まぁまぁ、お薦めしても良いかなと思います。モノクロだし、長いので、ちょっと眠くなるけど、でも、他の映画には無い雰囲気と、映像が観れると思います。美しいなと思いました。伝記なので、それ程、凄い問題とかは起きず、淡々と歴史を振り返って行く映画なので、単館系の映画が好きな方にのみ、お薦めって感じですかね。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・パプーシャの黒い瞳@ぴあ映画生活
- 立ったまま埋めてくれ―ジプシーの旅と暮らし/青土社
- ¥3,024
- Amazon.co.jp
- ジプシーを訪ねて (岩波新書)/岩波書店
- ¥864
- Amazon.co.jp