【演劇】「ペール・ギュント」イプセンの戯曲にちょっと手を加えてました。でも演じる人が・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「ペール・ギュント」を観てきました。


ストーリーは、

落ちぶれた豪農の息子で、母と共に暮らしている夢見がちな男ペール・ギュントは、かつての恋人イングリを結婚式から奪取して逃亡する。しかしイングリに飽きたら彼女を捨て、トロルの娘と婚礼寸前まで行くが逃げ出す。純情な女ソルヴェイと恋に落ちるが、彼女を待たせたまま放浪の旅に出る。山師のようなことをやって金を儲けては無一文になったり、数々の旅をして、年を取り、故郷に戻って散策していると、ボタン職人に出会う。ボタン職人は、ペールに、善人や悪人だった人々は天国や地獄に行くのだが、どちらでも無い、中堅の人は、溶かされてボタンになるんだと話します。末路がボタンだというのが我慢ならないペールは、自分が善人か悪人であるという事を証明してくれる人物を探し、ボタン職人に説明してもらおうとするのですが。

というお話です。


ペール

イプセンの有名な戯曲をちょっとアレンジして、舞台化していました。ペール・ギュントと言えば、好き勝手に生きていた男が、年を取って、人生の終りに近づいた時に、お前は何もやらなかった奴だから、ボタンになるしかないよと言われ、必死で、自分が生きた意味を探すというお話です。今回は、戦時中に産まれた胎児がネックになっていて、その胎児が、ペール・ギュントとどう関わってくるのかという事が、最後の最後で判ってくるというところが、面白いと思いました。

話については、古典なので、あまり書くことが無いんです。人間の人生なんて、どんなに頑張ったり、金持ちになったり、有名になったり、名声を手に入れたりしたとしても、結局は同じで、悪人か善人以外は、誰もが同じで、また産まれ変わる運命にあるんです。天国に行き、神様の側に使えるか、地獄に行き、閻魔様の地獄で苦しむか以外は、何も無いんです。まぁ、でも、産まれ変わる方が良いよね。ずーっと天国に居たって面白く無いだろうし、地獄で苦しむのも面倒だし、それなら産まれ変わって色々な人生を味わうのも良いんじゃないの?それが魂の醍醐味じゃん。この話を観て、そんな風に思いました。


ペール

舞台の演出は、とても美しかったんです。大きなビニールを使って、波を表したり、風を表したり、それによって、空間を仕切ってみたり、時には映像用スクリーンになったりと、色々に使われていて、その動きが美しいと思いました。それだけで、舞台の世界が変わって行くというのが、不思議で面白く映りました。

役者さんたちは、申し訳ないけど、あまり上手いと唸らせてはくれませんでした。内さんって、これまでも舞台はやっていらっしゃると思うので、もっと自然に、グイグイくる人なのかなと思っていたのですが、どーも、表面的に見えてしまって、ちょっと残念でした。特に、世界を周って、富豪になったり、預言者になったり、皇帝になったりという、一人で生きて行く部分で、嫌にワザとらしく見えてしまったんです。お母さんが居る部分では、それ程、目に付かなかったんですけど。うーん、勿体無いと思いました。

それから、ソールヴェイを演じていた藤井さんですが、とても可愛いのですが、歌がダメでした。申し訳ないけど、音が外れると、私、気持ち悪くなってしまうんです。下手とは言いませんが、時々、音が外れるのが辛くて、残念でした。”女子ーズ”でも、ブルーで頑張っていたし、好きなタイプの女優さんなんだけど、今回は、ちょっと・・・。

ペール

周りに、前田美波里さんや、堀部さん、加藤さんなどが居たし、白井さんが演出なので、十分に満足出来る舞台だったと思うのですが、私は、ちょっと、主役とその周りが辛かったなって思ってしまいました。まぁ、イプセンの話なので、スッキリ結論が出るようなストーリーでは無いから、それも辛く思えてしまった原因だったのかも知れません。

この舞台、私は、まぁ、お薦めして良いかなと思います。舞台は美しいです。でも、ちょっと違和感を感じてしまったので、完璧にお薦めしたいとは言い難いです。ゴメンナサイ。まだ、今週末に地方で上演するので、もし、行けるチャンスがあったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




ペール・ギュント 神奈川芸術劇場    http://www.kaat.jp/d/pg_kaat



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