「チャイルド44 森に消えた子供たち」を観てきました。実は、随分前に観たんですけど、感想アップが遅くなってしまいました。ゴメンナサイ。
ストーリーは、
スターリン政権下にある1953年のソ連。9歳から14歳までの子供たちが変死体となって発見される事件が発生する。現場は山間の線路沿いに限定され、全ての被害者は裸で胃が摘出されており、直接の死因は溺死であった。秘密警察の捜査官レオ(トム・ハーディ)は、親友の息子が犠牲となったことから捜査に乗り出すことに。だが、それを契機に元同僚に追われ、妻ライーサ(ノオミ・ラパス)にいわれのない犯罪の容疑が掛けられてしまう。窮地に立たされる状況で、真相をつかもうとする彼だが……。
というお話です。
まだロシアがソ連と呼ばれていた1953年頃、秘密警察の捜査官レオは、その厳格な仕事ぶりから、良い地位に付き、体制に反対するスパイをあぶり出して、逮捕する仕事をしています。スターリンの作り上げたソビエト連邦は、理想の国とされ、国民が幸せなら、犯罪など起こるはずがないという考えのもとなので、秘密警察は、犯罪を取り締まるのではなく、スパイを探す仕事をしていたんです。
そんなある日、レオの親友の息子が、線路脇で死んでいるのが見つかります。どう見ても他殺死体なのに、ソ連は楽園なので犯罪など起きないとなっているので、事故死として処理され、家族も訴える事が出来ません。おかしいと思ったレオは調べ始めるのですが、楽園に犯罪者は生まれないのだから、事件として捜査を始めたレオに、秘密警察の手が伸びてきます。妻のライーサがスパイだと疑われ、追い詰められた彼女を頑固として告発しないレオは、秘密警察を追われ、地方の警察に追いやられます。左遷ですね。
地方に行ってみると、なんとそこでも、子供たちのおかしな死体が何体も見つかっていて、全て事故死として処理されている事が解ります。レオは、自分が調べるしかないと思い、秘密警察に目を付けられながらも、隠れて捜査を続けます。そして、新しい警察の所長に協力を仰ぎ、二人で捜査をして行くと、連続殺人鬼が列車を使って移動し、その沿線で殺人をしている事が解ります。そして、その列車の終点にある工場で働く技術者に目を付けます。
秘密警察は、楽園には犯罪者は居ないという考えを貫き、レオに捜査を止めさせようと、妻のライーサを利用したり、レオの親友に手を伸ばしたり、執拗に阻止をしてきます。レオは、秘密警察の手を掻い潜り、犯人を捕まえる事が出来るのか、それとも・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、友人が、原作がとても面白いんだよと教えてくれて、期待して観に行きました。確かに、ソ連という、共産主義で誰もが隣人を監視しているような世界であり、その中で、正義とは何かを説いていく内容が、とても面白かったのですが、今一つ、描き切れていないような気がしました。原作が長いらしいので、それを、この時間内に収めるために、随分、簡略化したり、削ったりしたのでしょう。緊迫感はあるのですが、今一つ、秘密警察の仕組みが解らなかったのと、ドス黒い恐さが描けていなかったような気がしました。
それにしても、楽園だと犯罪者が居ないって、どういう発想なのかしら。楽園だからこそ、面白く無くて、ゲーム的に人が殺したくなる奴が出てくるはずなんだけどね。今の日本が、ちょっとその傾向がありますよね。安全神話があって、みんな良い人的な考え方を捨てられない人々のせいで、犯罪が増えて行く。性善説がまかり通ったのは、昔の事。今は、隣を見れば外国人が居る時代です。騙される奴が悪いという考え方の韓国人が横に居るのに、何故、安全だなんて言えるんです?世界遺産の舞台で、平気で約束を裏切る国の人間なんて信用出来る訳が無い。
話を戻して、ソ連の時代、暗かったんでしょうね。誰もが、隣人を疑い、いつ捕まるか、ドキドキして生活しているなんて、生きている意味が無いような気がするけど、仕方がないのかな。映画の中でも、ライーサがレオと結婚した理由が、本心かは分からないけど、秘密警察の人の申し出を断ったら怖いからだっていう場面があるんですけど、そんな哀しいですよね。好きでも無い人間と、仕方なく結婚するって、まぁ、昔は、日本でも、あったんだろうけど、ライーサみたいに、逮捕されるかも知れないから、仕方なく結婚するって、酷いと思いました。
でも、ライーサも、レオの優しさを理解して、段々と惹かれていってくれるのなら良いけど、どうなんだろう。私は、2人を観ていて、この事件を2人で協力して解決して行くにつれ、お互いを理解しあったのではないかなと思いました。それまでは、SEXの場面などを観ると、ライーサの目が冷めていたので、嫌がっていたんだろうなって思うけど、最後の方は、お互いを見つめる目が優しく見えたので、良かったなって思いました。
なんか、犯人に関しての内容が、全く描かれていなくて、原作もそうなのかなって思いました。ロシアの状況と、秘密警察との戦いと、犯人を追い詰める過程は描かれていたのですが、犯人はどういう人物で、何が動機で、何故、猟奇的な事をするのかという事が、サラッとしか描かれず、それだけかいっ!って驚いてしまいました。もう少し、描いて欲しかったけど、これだけの内容を1本に仕上げるには、そこを切るしか無かったのかしら。やっぱり、原作を読んでみようかな。
感想が長くなりましたが、私は、お勧めしたいです。面白いんだけど、これ、原作だと、もっと面白いんだろな。だって、これ、映画で描き切れていない部分が、沢山ありそうな気がするんですもん。トム・ハーディのロシア人役、見ものですよ。驚くほど似合っています。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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