【フランス映画祭】「ティンブクトゥ」過激派に支配された人々は、全てを奪われ息をも付けない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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フランス映画祭で、「ティンブクトゥ」を観てきました。


ストーリーは、

世界遺産にも登録されているマリ共和国の古都ティンブクトゥからそう遠くない、ある街でキダーンは妻のサティマ、娘のトーヤ、そして12歳の羊飼いのイッサンと音楽に溢れた幸せな生活を送っていた。しかし街はイスラム過激派に占拠され様相を変えてしまう。恐怖に支配され、過激派の兵隊が作り上げた法によって住民たちは、歌、笑い声、たばこ、そしてサッカーでさえも禁止されてしまう。毎日のように悲劇と不条理な懲罰が繰り返されていく中、キダーンと彼の家族は、混乱を避けてティンブクトゥに避難する。だが、ある日漁師のアマドゥがキダーンの飼っていた牛を殺したのを境に、彼らの運命は大きく変わってしまう。

というお話です。


ティンプクトゥ

この映画は凄かったなぁ。イスラム過激派の弾圧というのは、こういうものなのだという事が描いてあり、とても辛い内容でした。キツかったなぁ。

ある街がイスラム過激派の襲撃を受けて占拠されてしまい、住民たちは、過激派の作る法律によって、規制されることになってしまう。その街に住んでいたキダーンの家族は、近くのティンブクトゥに逃れて生活を続けて行くのですが、砂漠の中にテントを張って住んでいるような状況であり、決して、楽な生活とは言えません。

ティンプクトゥ

しかし街に戻れば過激派に何をされるかわからないので、その場で牛飼いをして生活を続ける方がましなんです。そして、家族で牛飼いをしているのですが、ある日、牛の一頭が川に入り、漁師の網を切ってしまいます。怒った漁師は、牛をその場で殺してしまいます。それを聞いたキダーンは、漁師に話をつけに行くのですが、思い余って、銃で撃ってしまいます。人を殺してしまったキダーンは、街を占拠している過激派の法律に従い、裁判を受ける事になります。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

この映画、私は、うだうだ説明を書くよりも、観て貰った方が、その恐さが伝わると思います。いつも、私たちは、TVのニュースで、イスラム過激派のテロとか、イスラム国との戦いをちょっとだけ観ることはあるのですが、この映画ほど、真実に迫って、その恐ろしさを描いているのは無いんじゃないかと思いました。

ティンプクトゥ

だって、過激派の人達は、自分たちが正義だと思っているから、悪気は無いし、優しい口調で、それは死刑だなとか、鞭打ちの刑だなとか、話しているんです。それは、その地を統治しなければいけなくて、正しい政治をする為だと思ってしまっているから、それが当たり前の事になってしまっているんですね。これって、怖いと思いました。


この村では、サッカーが禁止され、歌も禁止、もし破ったら、石打ちの刑とかに合うんですよ。日本だって、戦時中は、こんな感じだったんでしょうね。不条理な事を言われ、西洋の音楽を聞いたり、本を読んだりすると、警察に捕まったんでしょ。それと同じなんです。それが、今、現代に起こっているというのが、とても不思議に思いました。こんなに社会が進んで、何処に居ても電話が通じる時代に、戦時中と同じ事が行われているなんて、おかしいと思いませんか?

ティンプクトゥ

いつも、こういう映画を見ると、何が正しくて何が間違っているのか、自分の立ち位置はどちら側なのか、と考えてしまいます。過激派の人達から見れば、イスラム教の教えをキチンと守らなければならないのに、段々とそれがおざなりになっているので、正さなければと思うのだと思います。それは、宗教を信じて、信心深ければ、そういう考えになりますよね。それも正しい考え方だと思います。


でも、人間のやる事ですから、ある程度の遊びが無ければ、人間はキレてしまう。だから、宗教でも含みを持たせた運用にして行かなければならないと思っている人々も間違いではありません。どちらも正しいんです。そして、その中にいる自分は、どちらを信じるべきなのかという事です。それは、難しい選択であり、簡単には決められませんよね。

ティンプクトゥ

そして恐ろしいのは、優位な立場に立った方の人間が、「囚人と看守」の関係と同じように、気持ちが変わって行ってしまうという事。ドイツ映画で「es(エス)」というのがあったのですが、実験で、ある施設に、ある者は看守、ある者は囚人に分けて、入れて観察するという内容なんです。すると、看守になった方は、段々と囚人を思い通りに動かし、虐待したりという行動をして行くのですが、この過激派に占領された地域も、同じような事が起こって行くんです。恐ろしいですよね。

ティンプクトゥ

もう、人を人と思わなくなり、まるで、自分たちのペットか、家畜くらいにしか思っていないようになっているんです。こんな事が、実際に起こっているのだと思うと、なんだか、耐えられません。同じ世界に生きているのに、これ程に違う人間が居るなんて、何とかならないのかと思う事しか出来ません。

私は、この映画、お勧めしたいと思います。あまり心臓の弱い方は、観ない方が良いかな。でも、同じ世界に生きていても、こんな恐ろしい事に合っている人々も居るのだという事を知るべきだと思いました。日本では、何も伝わって来ませんもんね。日本のマスゴミは、スキャンダルか自分たちの利益が損なわれるニュースしか真剣に流さず、海外の大きな問題なんて、どこかから持ってきたフィルムを流すだけで、他人事のように適当に伝えるだけ。酷いレベルです。報道関係者の意識が低すぎます。


ティンプクトゥ

こういう問題作は、もっと話題に上げるべきだと思いました。話し合わないと何も変わらないし、知らなければ、誰も助ける事は出来ません。心ある人が居るなら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ



ティンプクトゥ



ティンブクトゥ(仮題)@ぴあ映画生活