舞台「メアリー・ステュアート」を観てきました。
内容は、
この作品の登場人物はメアリー・ステュアートとその乳母、そしてエリザベスとその侍女の4人。しかし、演じるのは2人の女優。メアリーを演じる女優はエリザベスの侍女を、そしてエリザベスを演じる女優はメアリーの乳母を演じます。それはまるで二人の言葉が合わせ鏡のように響き、その姿を映し出す万華鏡のように互いの心に響くと同時に、その哀しみや怒り、女として生まれたがための苦しみや喜びが劇場にこだまするでしょう。
という作品です。

まず、メアリー・ステュアートという人は、生後6日でスコットランド女王となり、フランス皇太子と結婚して、のちにフランス王妃となる。しかし、夫フランソワ2世の死により、スコットランド王妃に戻るのですが、反乱が起きて、今度はイングランドへ亡命します。イングランドに逃げるも、幽閉されてしまいます。
この幽閉されていた19年の間のお話が、この舞台に描かれている時期であり、エリザベスとメアリー・ステュアートの間にあった、確執や思いなどが2人の女優により表現されています。
場面場面で、2人の立場が入れ替わるのですが、それが、全く違和感がないんです。メアリーの場面になると、中谷さんがメアリー役で侍女が神野さん。エリザベスの場面になると、神野さんがエリザベスで侍女が中谷さんになるのですが、その立場の違いは明らかですよね。一方は支配者で、一方は下僕。それが、一瞬で切り替わるんです。普通なら、あれ?と思うと思うのですが、それが、違和感無く、その一瞬で、上に立つ者と下の者が入れ替わるんですよね。驚きました。
でも、衣装は、ほとんど変わる事が無いんですよ。そのオーラと仕草だけで、立場が入れ替わるというのが、あまりにも素晴らしくて、驚きました。

エリザベスは、映画でも描かれましたが、バージンクイーンと呼ばれる人で、国と結婚したと言われていますよね。彼女は、若い頃から、幽閉されて殺されそうになったり、恋をしても利用されるばかりだったり、とても苦労の多い人生を歩んできた人なので、他人を信じられず、とても冷徹な女性に見えるのですが、この舞台を観たら、メアリーに対しては、本当に殺して良いのか、とても悩んでいます。そこに情が見えたのですが、どうだったんでしょうか。
メアリーは、長身でとても美しい女性だったそうで、それに対して、エリザベスは、まぁ、並の女性だったのかな。もしかしたら、そこにエリザベスのメアリーに対する憧れみたいなものもあったのかも知れません。しかし、メアリーは、何度も結婚を繰り返し、女としての業に振り回された女性であり、美しくても、それが幸せに繋がっていたのかというと、そうでも無いところが、皮肉ですね。
2人の女性は、どちらも、国により、その運命を狂わされた人達なんです。女として子供を産み跡継ぎを残すという事が、これ程に、人生を狂わすのかという事なんです。エリザベスは、彼女の母親のアン・ブーリンが、女ばかり産み、王の息子を産めなかったばかりに処刑され、エリザベスも、王位継承権は無いと言われ、幽閉されるという運命をたどります。メアリーも、フランス皇太子フランソワと結婚し、フランス女王になるのですが、男の子を産めなかった為に、フランソワの死後、フランスに残る事が出来ず、スコットランドに帰国するしかありませんでした。

この時代、女性は、跡継ぎを産む道具くらいにしか思われず、その地位も低いものだったんですね。たとえ、女王となっていても、只のお飾りなんです。あー、本当に、現代に産まれていて良かったわ。子供を産んでいない私は、女としても扱われずに、無駄な人間くらいに思われていたんでしょうね。ヤダヤダ。
メアリーは、殺される前に幸せだった時期を思い出したのかしら。幸せと感じた時期はあったのかしら。女性の生き方という意味で、彼女の人生を観て、何が女にとって幸せなのかしらと、ふと考えました。結婚する事なのか、子供を産む事なのか、仕事をする事なのか、それとも・・・。答えは出ませんね。これから考えてみたいと思います。
この舞台、素晴らしかったです。美しいというのは、こういう事を言うんだろうと思います。舞台がキレイとか、衣装がキレイとか言う事では無く、演じている女優2人の姿が、とても美しいんです。オーラが輝いているので、これは、観るべき作品だと思いました。もし、まだ、観る事が出来るようでしたら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
メアリー・ステュアート http://www.parco-play.com/web/program/marystuart/
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