【演劇】「アドルフに告ぐ」戦争により人生が変わってしまった3人のアドルフ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「アドルフに告ぐ」を観てきました。


ストーリーは、

1983年、イスラエル。1人の日本人男性がひっそりと墓地の一角に佇み、ある墓の前に花を供えた。彼の名は峠草平。40年前、3人の「アドルフ」に出会い、そしてその数奇な運命に立ち会うことになった彼は、全ての終わりを見届けた今、その記録を1冊の本として綴ろうとしていた。


時は1936年8月、ベルリンオリンピックに湧くドイツへと遡る。協合通信の特派員であった峠草平は、ベルリンオリンピックの取材にドイツに派遣されていた。取材中にベルリン留学中の弟・勲が殺され、その事件さえも揉み消されてしまう。


勲の遺した謎を追って日本へ戻り、弟が恩師である小学校教師にある文書を送っていた事を知り、それを受取る。そこには、ヒトラーの出生に関わる重要な秘密が書かれており、それを発表すれば、ヒトラーは失脚を免れない。文書を追うドイツ親衛隊やゲシュタポ、日本の特高に、文書を手に入れた峠は追われる事に。


一方、日本に住むアドルフ・カウフマンは、ドイツ総領事館職員の父親と日本人の母親の間に産まれたハーフで、友人のアドルフ・カミルと仲が良かった。カミルはユダヤ人であり、ヒトラーを指示するカウフマン家では、ユダヤ人とは仲良くするなと言われていたのですが、2人はとても仲が良く、幸せな時間を過ごしていました。しかし、カウフマンはドイツのナチスの幹部養成所に送られ、ヒトラーユーゲントとして育成されてしまう。


ヒトラーの有能な部下として育ったアドルフと、日本のパン屋のアドルフ、そしてアドルフ・ヒトラー、この3人のアドルフは、ヒトラーの秘密文書によって、運命を狂わされて行く。

というお話です。


アドルフ


このお話、手塚治虫先生の漫画を読んだ時、衝撃でした。ヒトラーが、既に狂っていると解っていても、誰もそれを止める事はせず、どんどん、狂った方向に突き進んでいく。そして、周りの人間に、どんどん影響が出て行ってしまう。これ、ヒトラーのことを描いていますが、日本も同じだったんでしょうね。軍部の人間が、どんどん狂っていくのに、それを周りが止められなかったって事でしょ。同じ事が、日本内部でも起こっていたんでしょうね。恐ろしい事です。


アドルフ

アドルフ・カウフマンという日本人とのハーフのドイツ人と、アドルフ・カミルというユダヤ人と、アドルフ・ヒトラーというドイツの総統であり、ドイツ人であり、ユダヤ人の血を引く人間と、この3人が、3人とも、自分の居る場所というか、故郷が無いように思いました。カウフマンは、日本人でありドイツ人で、どちらの国に行ってもハーフでしょって言われるんですよね。カミルは、ユダヤ人であり自分の国を追われ、自分の国が欲しいと言って、イスラエルという国を創って行く。ヒトラーは、ドイツの総統だって言いながらも、ユダヤ人の血を引くことで、自分の身体の中の血を呪っているだろうし、ユダヤ人が汚いと言いながら自分も汚いのだと思って、精神のバランスがおかしくなってしまう。


アドルフ

人間って何なんでしょ。ドイツ人だろうが、ユダヤ人だろうが、同じ人間なのに、優劣を付けようとして、相手を倒そうとする。でも、血なんて、どこから繋がっているか解らないから、自分の中にも同じ血が入っているかも知れない。とっても無駄な戦いですよね。まだ、領土を広げるとか言って、戦争をする方が解り易いです。民族紛争とか、宗教戦争は、たちが悪すぎます。


同じ顔をしているのに、ユダヤ人だとか言って、迫害するって、どーなのよ。ユダヤ人って、人種じゃなくて、ユダヤ教の人って事でしょ。アーリア人がユダヤ教に入っていれば、ユダヤ人になるんだよ。おかしいでしょ。同じアーリア人でも、ユダヤ教を信仰しているとユダヤ人って、納得が行きません。という事は、日本人だって、ユダヤ教に入信していればユダヤ人ってことだよね。変なの~。

イスラエルとか、勝手にユダヤ人が国を創って、そこに居座れば、そりゃ、戦争になるわなぁ。そこに住んでいた人達が居るんだから。だって、日本の大久保に住んでいる韓国人たちが、いきなりバリケードを作って封鎖して、ここは韓国だっていうようなもんでしょ。同じだよね。困っちゃうだろうなぁ。


アドルフ

そんなアドルフたちを見ている峠さんは、弟を突然に殺され、その文書の為に職を追われ、警察にも、ナチスにも追われ、何処までも逃げるんですけど、どこに行っても、女性に出会って、上手く行っちゃうんです。あんなオッサンなのに、何がイイんだか、どの女性も峠が好きになるんですよ。不思議でしょ。まぁ、逃亡して、その先々で女性に出会うって、男性にとって、夢なのかも知れませんね。


アドルフ

戦争というものの悲惨さを描いていて、こんな狂った世界を、二度と作ってはいけないと言う事を描いているお話だったと思います。でも、原作でも舞台でも、まだまだ戦争は終わらないと描いてあるんですけどね。


舞台は、原作に忠実だったと思います。あのイメージを、そのまま舞台に反映していました。特に、”アセチレン・ランプ”の役が、原作漫画そっくりで、驚きました。そうそう、そのイメージなのよって感じなの。鶴見さんの峠も合っていたなって思いました。アドルフは、ヒトラーは、超上手かったけど、カウフマンとカミルは、申し訳ないけど、それ程、共感出来るというか、惹き込まれませんでした。上手いんだろうけど、なんだろうなぁ。イマイチ、表面的というか、原作が衝撃なので、それ以上には見れなかったという事なのかな。


アドルフ

一つ文句がありまして、最後にカミルが倒れた時、仰向けに倒れるので、呼吸でお腹が上下しているのがとても気になりました。そこで息絶えるというなら、お腹を横に向けて、呼吸を分からせないか、お腹の上にゆったりとした衣装を付けさせておいて、呼吸を分からなくするか、何かしてくれないと、息荒いねって、声をかけたくなっちゃうのよね。今まで、舞台でそんな事が気になった事が無いので、演出で、見えないようにしていたんだと思うんです。やっぱり、いくら舞台と言えど、気にして欲しいかなと思いました。


アドルフ

私は、この舞台、楽しめましたが、もう、この舞台、終わっちゃうのよね。スタジオライフ版が、今後、東京の紀伊國屋で上演されるらしいので、ちょっと、これとは違うと思うけど、気になったら、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ


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