「だれも知らない建築のはなし」建築家の未来を潰したのはあなた達なんだけどね。自覚して欲しいよ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「だれも知らない建築のはなし」の試写会に行ってきました。


ドキュメンタリーなので、内容は、

一見しただけだとカオスのようにも感じる、現代の都市を構成するさまざまな建築物や建造物。それらは、時代の社会を背景に建築されてきた。安藤忠雄や磯崎新、伊東豊雄、レム・コールハース、ピーター・アイゼンマンなど世界的な建築家たちが、どんな夢を見て、そしてどのように社会との接点を見いだしながら建築物を造ってきたのかを語る。第14回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で上映された作品に追加撮影した映像を加え、高度経済成長期から現在の日本の建築界の変遷をひもとく。

という映画です。


建築の話

これ、建築の仕事をしている人が観たら、何バカな事言ってんだって思うでしょう。日本の建築業界をぶっ潰した本人たちが、言いたい放題を話しているんだから、大笑いです。インタビュー形式で、建築業界の過去から未来について話しているのですが、バブル前の話から始まって、未来を憂いているというお話なんです。

実は、この試写会、トーキョー女子映画部の部活で観せて戴いて、その後、座談会をしたんです。で、まず、オッサンたちに対しての文句を言う前に、基本を書いておきましょう。座談会の時に、気になったので、一般の方の疑問に対して、説明をしてみます。


建築の話

建築家と建築士って、同じなのか違うのか分からないとのことですが、同じです。いや、正確に言うと違うのかな。建築家というのは、勝手に名乗っているだけで、全て自称です。「建築家」という職業はありません。職業として認定されているのは、「建築士」だけです。建築家と名乗っている人間は、偽者も多いという事です。


「建築士」と言うのは、建築の仕事をする、法律的に認められた弁護士などと同じ資格です。しかし、建築家というのは、何の免許を持っていなくても名乗って良いんです。ですから、気を付けてください。仕事を頼むのでしたら、必ず「建築士」の免許を持っている「建築家」に頼んでください。でないと、違法建築などを勝手にやっても、処罰する術がないんです。やり逃げされる恐れがあるという事です。


建築の話

もう一つ、日本の建築家は世界に出て交流するのが難しいの?という事。もちろん、言葉の壁はあるのでしょうが、一番の問題は、建築基準法と消防法。日本は地震国なので、他の国の常識的な考え方と異なります。まず、直ぐに避難出来るのか、建物が揺れに耐えられるのかという事が先に来てしまいます。デザインとか使い勝手は、二の次なんです。それを学生の頃から叩き込まれるので、いざ建築家として社会に出ると、その考え方を変えるのが難しいんです。海外に行っても、どうしてもその考え方が先に出てきてしまう。


私がシアトルの建築士と仕事をした時、あちらはあちらの常識があるので、どうしてもお互いに曲げられないものがありました。例えば、基礎幅などは、日本では15cm以上で良いのに、シアトルでは20cm以上なければならず、図面を15cmで描いてくれと言っても、法律違反になるからそういう図面は描けないと言われました。日本では、基礎を頑丈にするより、建物全体を軽くして、全体で揺れに対処することを考えるのですが、あちらでは強ければ良いんです。杭もあまり打たないようでしたし、考え方が違うんです。ですから、日本の建築の考え方だと、世界で通用する為には、脳の方向転換をしなければならず、難しいのかなと思いました。


建築の話

では、文句に行きましょうか。やっぱり、このオッサンたち、全く自覚してないんですね。この磯崎という人物が、その人脈を使って、バブル期に好き勝手をして、裏金という汚い構造を作り上げたことが、全ての根源だと思っています。その子分だった伊東が、それを受継いで、建築業界の汚い部分をどんどん広げてしまったと思います。そのせいで、不動産、建築業界というのは、金に汚くて、裏世界の人々とのつながりが濃くなり、どんな仕事をしても疑われるようになってしまったんです。

安藤さんは、そんな表向き涼しい顔をして汚いことをやっているこの人たちとは、一線を画して頑張ってきた一人だと思っています。ですから、安藤さんは尊敬しています。そんな安藤さんがおっしゃっていたのが、今、大学出のホワイトカラーばかりが増えて、大工や左官など、本当に仕事をしてくれる人が減っていると嘆いていました。確かに私もそう思っています。

建築の話

職人が減った原因は、低価格の住宅を推し進めたせいなんです。彼らの技術に払っていた金額をどんどん下げていったせいで、彼らはやる気を無くして、良い技術を持った職人は辞めてしまい、弟子を育てる事も無く、職人が減ってしまいました。職人さんって、技術でお金を貰うでしょ。低い賃金なら、面倒なことはやりたくないんです。すると手抜きになって、仕上げが汚くなり、お客から文句が来て、もっとやる気を失くすんです。

もっと技術に対して敬意を払い、払うものは払うようにしない限り、良い職人は増えません。もっと、技術を大切にする社会にならない限り、技術者は減るばかりだと思います。タ○ホームとか、ア○フルホームとか、安さを売っているメーカーは、諸悪の根源でしょ。住宅は、安いものではありません。一生の買い物です。安いものが良い訳が無い。当たり前の事を、良く考えて欲しい。

建築の話

この映画の中で、建築家が必要無くなってきていると嘆いていましたが、確かに、あなた達(磯崎や伊東)のような、口先だけでお金に汚い建築家は必要無くなるでしょう。もっと技術者に近い建築家が増えていくと思います。何故なら、建築家は、芸術家では無いからです。芸術をやりたいなら、自分の金で自分の材料で自分の土地で創り、それを作品として売り出せば良い。人の金=税金で好き勝手をやるなという事です。国はパトロンではありません。税金は国民が、国が良くなるために払ったお金です。勘違いするなっつーの。

建築の話

もちろん、私だって、建築を始めたころは、アトリエで、カッコイイ建物=無駄な建物を作り、有名になれたら良いと思ったこともあります。でもね、それは暮らす人の為の建物では無いんです。震災もあり、生きるのに大変な時代、暮らす人々の為になる建物が必要だし、自然と共存出来ることが大切になってきています。だからこそ、偉そうに”俺がオレが”のオッサン建築家は引退して欲しい。

福島で復興の為にとか言っているけど、今、税金が流れているのは福島だから、そこに行っているんでしょ。税金狙いの仕事は止めてくれませんか。それよりも、川崎の簡易宿泊所のような場所を、どうやって、安価でリフォームして安全に出来るかとか、そういう仕事の方が急ぎじゃないの?お金がたくさんある福島なら、若い建築士が行って出来る事なんだから、有名な建築家が行くこと無いでしょ。有名なら、他の人が手を付けられないような、予算が無いところとかに行って、自腹で手伝うとかするべきじゃないの?

建築の話

あー、文句を目いっぱい書かせてもらって、少し、スッキリしたかな。だって、こんなインタビューを公開して、偉そうな事言って、お金儲けしようなんて、どこまで貪欲なんだって思ってしまって、腹が立ったんです。もう80歳とかですよ。いい加減に若い建築家に譲ったらどうですか。老害とはこのことです。

色々書きましたが、この映画、一般の方が観ても、良く解らないと思います。専門的過ぎますから。こんな映画を観たよって、ちょっとインテリぶるには良いかも知れませんね。でも、この内容に対して、良い映画だったというようなら、全く内容が解っていないという事です。建築業界の若者が観るかな~。でも、有名建築家たちの話に騙されないでね。自分の目で社会を見て、何が正しいのか見極めてください。

建築の話

スミマセン、もし、ここまで面倒臭がらずに読んでくださった方がいらしたら、ありがとうございます。つい、私の専門的な事だったので、エキサイトしちゃいました。私、自分も建築家のつもりですし、20世紀のモダニズム建築の巨匠たちを尊敬していますし、バウハウスで学んだ方々の考え方は素晴らしいと思っています。


だけど、まず、自分が儲ける事を考えている日本の有名建築家は軽蔑しています。私の代では、そういう建築家を倒すことが出来なかったので、若い建築を目指している方々に、ぜひ、頑張って欲しい。そして建築士の地位を上げ、安かろう悪かろうという建築を止めて、安心して住める街に寄り添って欲しいな。ごめんなさい。映画のブログなのに、私的な考えをダラダラ書いてしまい、申し訳ありませんでした。カメ



だれも知らない建築のはなし@ぴあ映画生活


自然の家 (ちくま学芸文庫)/筑摩書房
¥1,404
Amazon.co.jp

建築家なしの建築 (SD選書 (184))/鹿島出版会
¥2,160
Amazon.co.jp