【イタリア映画祭】「人間の値打ち」お金に翻弄され、自分の価値さえ判らなくなって行く人々。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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イタリア映画祭で「人間の値打ち」を観てきました。


ストーリーは、

お金をめぐって交錯する人々の思いをミステリータッチで追っていく。不動産業が厳しいディーノと投資で一財産を築くジョヴァンニ。接点はお互いの子供だけだった二つの家族が投資話で関係を深めていく頃、ジョヴァンニの家の近くでひき逃げ事件が起きる。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では最優秀作品賞をはじめ、7部門を制し、米アカデミー賞外国語映画賞のイタリア代表にも選ばれた。

というお話です。


人間の値打ち

この映画では、3人の人物に視点を当てて描かれていきます。まず、ディーノ。彼は、高校生の娘が付き合っている彼氏の親が投資家で成功したジョヴァンニだと知り、自分も一口おこぼれに預かりたいと思って、娘を彼氏の家に送りながら、ジョヴァンニに近づく機会を狙います。庭をうろつき、都合よくジョヴァンニがテニスをやっているところに遭遇し、一緒にテニスをプレーする仲になって行きます。

ディーノは、町の不動産屋を営んでいて、それほど事業が成功しているようには見えません。ジョヴァンニと出会い、投資で一儲けして楽になりたいと思い、銀行から70万ユーロ(1億500万円位かな。)を自宅などを担保にして借り、そのお金をジョヴァンニが40%の利益が出るという投資に注ぎ込んでしまいます。しかし、そんなに簡単に上手く行く訳は無く、社会情勢により利益はマイナス。ディーノは、銀行にも返済を迫られ、苦しい立場に立たされます。そして・・・。

人間の値打ち

次に、ジョヴァンニの妻・カルタの話。彼女は、成功したジョヴァンニと結婚し、何不自由のない暮らしをしています。昔、女優の卵のような事をしていたらしく、町で見つけた老朽化の激しい劇場を復活させるべく、運動を始めます。夫の資産があるからこそ、劇場復活の為のお金も出せて、そのプロジェクトを立ち上げる事が出来たのですが、人々をまとめる為の能力は備わっていなくて、あまり上手く仕事は進みません。自分には力が無いのだと感じ、元気を失くすのですが、その彼女に優しく手を差し伸べる演出家の男。二人は、盛り上がり、夫の目を盗んで、密会をすることに。そして・・・。

人間の値打ち

ディーノの娘・セリーナは、ジョヴァンニの息子・マッシミリアーノと付き合っています。彼は、優等生であり、ステキな男の子ではあるのですが、彼女には、少し物足りません。学年末の最優秀生徒に選ばれなかった彼は、荒れてお酒を飲んでしまいます。そんな彼を迎えに来て欲しいと友達から連絡を貰った彼女は、気になっていた男の子と一緒に、彼を家まで送る為に、夜道を車で走ります。途中、自転車で走っていた男性を引っかけてしまい、恐くなった彼らは、そのまま放置して、家に帰ってしまいます。その後、その男性が亡くなったことが解り、車を運転していたのは誰かを警察が探し始めます。そして・・・。

それぞれの人物が遭遇した出来事が描かれているのですが、同じ時系列を描いているので、ところどころで、彼らが交差しているのが解って、とても面白いと思いました。この人が思っている事と全く違う状況が、実際には起こっているという事が解り、「あー、だからそうなったのね。」と、後から解るんです。結構、面白く観させていただきました。

人間の値打ち

ただ、内容が、二組の夫婦と、その夫婦の子供たちの話なので、同じ映画祭で上映された「われらの子供たち」という映画と、少し内容がかぶります。自分の子供を守るべきなのか、どうやって守るのかという事が、内容の最後の方に描かれていて、まぁ、この映画は、子供を守ることが主の映画ではないのですが、人の考え方の違いを感じました。

ディーノという男性は、利益を得たいと思い、どんどん泥沼に入って行くタイプで、バカな男だと思いました。投資というのは、余裕があり、失敗しても良いお金のみを使わなければいけない物なのに、自分の全財産をかけてしまうなんて、アホのやることです。そして、最後の方でもがいて、娘まで利用してしまう。マジで酷い男だと思いました。

人間の値打ち

カルラは、自分が恵まれた環境にあることに気が付いていないんです。全ては、夫のお金の上に成り立っているのに、自分の力で出来ていると勘違いしてしまっているんです。しかし、それを指摘され、自分の手の中には何もないと知ると、夫に付いているしかないという事に気が付くんです。良く居ますよね、夫の力だけなのに、夫の力は自分のものと勘違いしてしまう女性って。夫に捨てられたら、何も持っていない癖に、周りに横暴に振る舞ってしまう。能力が低い証拠です。そんなバカな女にならないように、気を付けましょうね。夫の職業は、妻の能力ではありませんので。私は、夫が誇ってくれる位の自分になりたいと思っているんだけどね。難しいです。(笑)

人間の値打ち

セリーナは、裕福で優等生のイケメンのマッシミリアーノが気に入っているのですが、やっぱり物足りないんです。で、ある日、出会った男の子に好意を持ち始めます。彼は、昔、薬物所持で捕まった事があり、とても良い子なんですが、今度、犯罪に関わったら、刑務所に服役しなければならないんです。だから、あまり派手な行動をしないようにしているのですが、事件は、知らないうちに忍び寄ります。この彼は、とても可哀想な境遇であり、彼女が惹かれるのは当たり前だと思うような男の子です。でも、この彼の事によって、事件は難しい方向に向かってしまうんです。

人間の値打ち

この映画、私は、とても面白かったので、お勧めしたいと思います。人間の汚い部分が解りやすく描かれていて、誰が観ても、うーん、そうだよなぁ~と考えてしまう内容だと思いました。日本公開、して欲しいな。今の日本の経済状況にも似ている気がしますもん。ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ


P.S : これ、感想が長くなってゴメンナサイ。面白かったのよ。(笑)




イタリア映画祭    http://www.asahi.com/italia/2015/