イタリア映画祭で「カプチーノはお熱いうちに」を観てきました。
ストーリーは、
アドリア海を臨む南イタリア・プーリアの小さな街のカフェを舞台に、恋に落ちたウェイトレス・エレナとアントニオのカップル、その友人、家族たちの、13年間を描くドラマ。友達の恋人を奪う形で始まった激しい恋は、やがて平凡な結婚生活を送るうちに輝きを失ってしまう。そんな時、エレナが病いに倒れて…。今秋、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
というお話です。
プーリアという南イタリアで、あるカフェに勤めていたエレナとゲイの友人のファビオがカフェレストランを始めます。エレナは、前のカフェで、友達の彼氏として現れたアントニオと出会い、友達の彼と解っていながら、恋に落ちてしまいます。急速に盛り上がり、近づいてしまった二人は、そのまま結婚に行きつきます。
アントニオという人物は、イケメンで身体も魅力的な男性なのですが、とても偏見が強く、ゲイは気持ち悪いとか、女はこうあるべきみたいな考え方を持つ人間で、エレナとは、意識も性格も全く違うのです。ですから、恋に落ちて、盛り上がって、結婚、妊娠となるのですが、根本的な性格が違うので、二人は、ハッキリ言って、合いません。
合わないながらも、夫婦としては、お互いに認めるように努力し、エレナもアントニオも、仕事をしながら、子育てをしていきます。観ていて、これくらいのすれ違いというか、合わない夫婦って、普通だと思いました。夫婦と言っても、それぞれ、個人の人間なんですから、感覚が違うのも当たり前。考え方が違っているのも当たり前なんです。

そして、エレナは、アントニオが浮気をして、帰ってこなくても、腹は立つけど、それを口に出して批判するとかはしないんです。相手を好きなら文句を言いそうなんだけど、このエレナ、プライドが高くて、悔しいので怒らないんです。でも、ある出来事が起きて、アントニオが通っている浮気相手の所に行って、話をする場面があります。でも、喧嘩をする訳では無く、冷静に話をするんです。
考えてみると、性格が違うのではなく、性格が似ているから、反発仕合い、お互いに分かり合えなかったのかも知れません。しかし、ある時、エレナが健康診断に行き、乳癌告知を受けてしまいます。それまで、健康だと思っていたエレナが病に倒れ、周りの人間も驚き、彼女を守るために、団結し始めます。そして・・・。あとは、映画を観てくださいね。
この映画、監督が、ラブストーリーを描きながら、闘病生活と、その周りの人々の状況を描きたかったとおっしゃっていました。それまで、若さに任せて、やりたいようにやっていた二人が、病気という出来事に当たって、気持ちも生活も変わって行く様子が描かれています。
やっぱり、病気はイヤですよね。動きたくても動けないし、ガンだと、早く判れば良いけど、若ければ、あっという間に進行し、切っても切っても、転移してしまうんですもん。簡単に言っているように思えるでしょうが、私、子供の頃から、父が何度かガンになったりしていたので、良く解るんです。私が、大学を出たころ、父は大腸ガンで、棺桶に片足突っ込んでいたので。今、ニュースで、俳優の今井さんが会見しているのを観て、同じ頃に大腸ガンで大変だったよねって家族で話せる幸せを感じています。今井さんも、大変だろうけど、回復出来て、私の父のように、安泰な隠居生活が送れるかも知れないので、頑張って欲しいです。
話戻して、エレナが乳癌だと解り、あまり良くないという事が判ってきて、アントニオは、好き勝手をしていた自分を恥じたのだと思います。それからは、エレナの為に生きるようにし、家族の為に生き始めます。そして、遊びまわっていたけど、本当は、エレナを愛していたのだという事に気が付き、優しい気持ちを取り戻して、抗がん剤の為に現実と夢が混ざってしまうエレナを、助けて行きます。

この映画、お勧めして良いと思うけど、今一つ、ラブストーリーが主なのか、闘病もののストーリーが主なのか、曖昧なんです。イマイチ、主題がまとまっておらず、惜しいなぁと思いました。面白いとは思いますが、邦題の「カプチーノはお熱いうちに」っていう題名も、合っていないような気がしました。エレナという女性の生き方と、彼女に関わった人々の生き方を中心に描いているということを前に押し出せば、何となく解るのですが、軽い恋愛映画っぽい題名とは、内容が合いません。これ、問題だと思うなぁ。一応、闘病ものなので、それを解って、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
イタリア映画祭 http://www.asahi.com/italia/2015/