イタリア映画祭で「幸せの椅子」を観てきました。
ストーリーは、
昨年1月に57歳の若さで亡くなったマッツァクラーティ監督の遺作。イザベッラ・ラゴネーゼ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ジュゼッペ・バッティストンら演技派俳優のコミカルなやりとりがほほ笑ましい冒険譚。借金を抱える美容師のブルーナは、顧客の一人から急死する直前に宝が詰まった椅子の在りかを告げられる。これ幸いと、同じくお金に困っている刺青師のディーノと一緒に椅子を探し求めるが、謎の司祭が二人の後を追う。はたして二人は無事に「幸せの椅子」を見つけられるだろうか?
というお話です。
ブルーナは、エステ店を経営しているのですが、経営資金に困窮し、レンタル業者にレンタルしている美容機器を回収されてしまう始末。何とかお金を工面しなければ、お店は閉店に追い込まれるという状態の時に、刑務所に入っている女性からのネイルの依頼があり、訪ねて行くと、彼女は気管支に病気があるらしく、ネイルをしている途中で具合が悪くなってしまう。心配して介抱するブルーナに、彼女は、自分が残した遺産が、自宅のダイニングチェアに隠してあると話し、譲ると言います。
ブルーナは、彼女の遺産を探すべく、彼女の自宅に行くのですが、既に、家具は売られてしまっていて、そのダイニングチェアの行方は役所のオークション担当しか解らない。困ったブルーナは、自分のお店の向いに刺青店を開くディーノと協力し、担当者から椅子の行方を聞き出し、一つ一つ、当たって行くことにします。
そんなブルーナ以外に、刑務所の彼女の最後を看取った神父も、椅子に遺産が隠されている事を聞き、お金に困っている彼も、椅子を追うことになります。そして、椅子を追っていく途中に、ブルーナと出会った神父は、彼女と協力し、椅子を追っていくことになります。しかし、椅子は、バラバラに売られており、簡単に見つけることが出来ません。
いくつかの椅子を見つけたのですが、どの椅子にも遺産は入っておらず、イタリアの山地まで探しに行くブルーナとディーノですが・・・。後は、映画を観てくださいね。
お金に困っているブルーナは、突然、大金が手に入る情報を手に入れ、ここぞとばかり、探し始めるのですが、簡単には手に入りません。一人で追っていくのも困難で、向いの店のディーノに手伝いを頼むのですが、ディーノも、離婚して、養育費を払うのに困っているんです。景気が悪いイタリアで、突然の大金って、夢なんでしょうね。何となく、現在のイタリアの経済状況が解るような内容でした。
神父でさえ、お金に困っていて、トンデモナイ事をしでかしてしまうし、誰もが、大変なんだなぁと思ってしまいました。でも、椅子の行方を占い師に探してもらうっていうのが、笑ってしまいました。だって、神様を崇めている神父が、占い師を信じて、探してもらうって、可笑しいでしょ。普通なら、神頼みのはずなのに、なんで、そこで占い師というか霊媒師なんでしょ。もう、やっていることがめちゃくちゃでした。(笑)
でもね、ブルーナとディーノは、もちろんお金は欲しいんだけど、その追っている姿は、それ程、必死という感じには見えず、そこに余裕が見えて、この二人だったら、もし見つからなくても、それなりに解決して生きて行くんだろうなぁというように見えました。やっぱり、人間、余裕を持ってやらないと、神様も微笑んでくれないんです。
街から町へ、そして山にまで探しに行く二人の距離は、どんどん縮まって行き、何とも、イイ感じになって行くんです。そこで、お金よりも大切なものを見つけていくんですよね。人間、お金だけじゃなくて、大切なものがあるんだよねってことが描かれていました。ガツガツして、お金に執着していると、最後の最後で、神様にそっぽを向かれてしまうけど、そうでなければ、ポロッとお金が降ってくるかも知れません。そんな感じでした。
まぁ、良くあるようなお話だけど、良くあるからこそ、笑って、楽しめました。マッツァクラーティ監督の遺作であり、監督の温かさがこの映画に描かれていたように思います。私は、彼の最後の作品、ぜひ、皆さんに観て欲しいけど、日本公開、あるかなぁ。内容がありがちな話だから、何とも言えないけど、もし、公開があったり、DVDの発売があったら、ぜひ、観てみてくださいね。
ぜひ、楽しんでください。
若くしてお亡くなりになったマッツァクラーティ監督のご冥福をお祈りいたします。
イタリア映画祭 http://www.asahi.com/italia/2015/works.html
- まなざしの長さをはかって [DVD]/オンリー・ハーツ
- ¥4,104
- Amazon.co.jp