【イタリア映画祭】「生きていてすみません!」イタリア社会で女性が台頭するのはとっても大変!(笑) | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

イタリア映画祭で「生きていてすみません!」を観てきました。


ストーリーは、

実在の女性を題材にした喜劇で、またもやヒットを飛ばした。セレーナは飛び抜けた才能を持つ建築家。国外で活躍するが、故郷のイタリアが恋しくなり、帰国する。だが、待ち受けていたのは女性にとって厳しい就労状況。別の仕事を掛け持ちして、なんとか生計を立てる。やがて、建築家の仕事を得られるチャンスが訪れるが・・・。

というお話です。


生きていて

これ、身に詰まされましたぁ~!!

セレーナは、産まれて直ぐから、その才能を発揮し、神童と言われるほどで、素晴らしい大学へ進み、博士号をいくつも取って、海外で建築家として成功しました。そして、故郷のイタリアに帰って仕事がしたいと思い、帰郷するのですが、イタリアでは、女性の建築家など相手にされず、仕事も無くなり、アルバイトでカフェで働きながら、建築の仕事をするという生活を始めます。

カフェのオーナーは、イケメン男性で、バツイチ、子供は妻が引き取ったとのことで、ウェイトレスの注目の的でした。ある日、オーナーのフランチェスコに飲みに誘われ、行ってみると、なんとゲイ!そろそろ結婚をと思って、フランチェスコを標的にしていたセリーナは、夢破れ、フランチェスコと奇妙な友情で結ばれる事となる。


生きていて

一方、セリーナは、道に迷ったところで、ある集合住宅のリメイク工事のコンペを知り、集合住宅に住む人達が、不便で生活に困っている事を解消してあげようと、コンペの計画を練り始める。コンペに参加し、自分のプロジェクトを発表しようと行くのですが、そこは建築業界。まず、女性が一人でプロジェクトを語るなど、あり得ないと思っている行政及び審査員は、ボスは誰ですか?と聞きます。セリーナは、もちろん建築業界の現状を知っているので、仕方なく、ブルーノ氏のアシスタントですと名乗り、プロジェクトを説明します。


生きていて

セリーナの案は素晴らしいモノで、プロジェクト案が通り、集合住宅のリメイク工事に着手する事に。行政側の代表設計事務所に訪ねて行ったセリーナは、またも、女性では相手にされていないことを知り、仕方なく、ブルーノ氏のアシスタントとして、仕事を始める事になります。ブルーノ氏は日本に出張中と言い訳をしているのですが、TV会議でブルーノ氏に出て貰わなくてはならなくなり、仕方なく、フランチェスコをブルーノとして、TV会議に出席させることに。プロジェクトは、成功するのか。セリーナは、仕事も結婚も出来るのか。しあわせは来るのか・・・。後は、映画を観て下さいね。


この映画、超面白かったです。これ、日本公開して欲しいなぁ。だって、イタリアの社会って、日本と同じなんですもん。やっぱり、女性が卑下されているというか、表向きは、平等という事になっているけど、何かの決断となると、どうしても、女性だけ、評価がマイナスから始まってしまうんです。それは、意図してやっている訳では無く、歴史の中で意識の中に染み付いてしまった事なんですよね。


生きていて

それは、女性の中にもあって、同性が男よりも上に行くのを喜んであげられないんです。男性の目もキツいですが、同性の女性の目も、厳しいんですよね。なんで同性の努力や能力を喜んであげられないんだろう。いつも不思議に思うのですが、日本もイタリアも同じように、意識の中に沁み付いているようですね。


そんな事が、この映画の中に、とても良く描かれています。そして、ゲイの事も、フランチェスコが、息子に自分がゲイだっていう告白をしたくても出来ないっていうエピソードが、イイとこ突いてるなぁって思いました。子供に言うのは難しいよね。でも、いつかは言ってあげないと、不思議に思うから、可哀想です。


生きていて

すみません、私も、恥ずかしながら建築士なので、このセリーナと同じ事を何度も味わった事があります。だから、私は、男性の人と組んでいたんですけどね。ここに描かれている事、マジであります。監督も、本当に建築士の女性に話を聞いて作ったと言っていましたが、いやぁ、イタリアも日本も同じですね。ビックリです。まず、女性一人の名前では、相手にされません。会えたとしても、”あ、女性ですか。”という態度になります。だから、必ず男性を連れて行くんですけどね。


生きていて

で、こういうコンペですが、以前も書いたと思いますが、ほとんどの場合、既に談合していて、誰がコンペを落とすのかは決まっています。今回は、誰の案で行くから、当て馬としてプランを出してくださいと言われ、何度かそれに参加すると、順番で、自分の案が通ります。だから、あの人の案が通ったんだ、素晴らしいんだろうなって思うなかれ。たまたま順番がその人だっただけです。プランで見ていることは、ほとんどありません。全てが、コネとお金の世界です。だからこそ、真面目に正面から行こうとする女性は、弾かれるんです。ま、随分長い間、そんな世界に居るので、それも、それ程、気にならなくなりましたけど。(笑)


だから、この映画に描かれている彼女の立場や気持ちが、痛いほど解って、辛くなりました。大笑いもしたんですけどね。いつになったら、建築業界も、女性を正面から受け容れてくれるのかしら。私が生きている間は、無理かしらねぇ。


生きていて

この映画、私は、超・超・お勧めしたい映画です。すっごく面白かったんです。建築に関係無くても、女性の立場が、日本と同じようなんだってことが解るし、笑いのツボも同じだし、なんたって、日本の描き方が面白い!金色の招き猫って、笑えるっ!とにかく、日本公開して欲しいと思った作品でした。これは、受けるんじゃないかなぁ。腐女子にもお勧めよっ!最後もスカッとするし、気持ち良くなれる作品です。ぜひ、観てみて下さい。イタリア映画祭のこの映画のチケットは、既に前売りが完売だったので、当日券を手に入れるか、日本公開を叫んでください。(笑)

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




イタリア映画祭   http://www.asahi.com/italia/2015/