イタリア映画祭で「ラスト・サマー」を観てきました。
ストーリーは、
親権を失った母(菊地凛子)とその息子が過ごす最後の4日間を静かなタッチで描いたドラマ。南イタリアの洋上に浮かぶヨットに、日本人のナオミが乗り込んでくる。英国人の元夫に親権を奪われて長年会うことが出来なかった6歳の息子、ケンとの最後の別れが許されたからだ。乗組員たちの目が厳しい中で、ナオミはケンとつながろうとするが、思い通りには進まない。
というお話です。
南イタリアのヨット上でくつろぐ人々。しかし、彼らはヨットの従業員であり、主人の居ないヨットでくつろいでいるのでした。そこへ、日本人の女性が一人、乗りこんで来ます。彼女は、ナオミと言い、何年かぶりに息子に会いに来たんです。
ナオミは親権を失っており、息子は英国人の父親と祖父母たちと暮らしています。裁判で争って、夏の4日間だけ、息子と会えるという権利を貰ったのでした。ナオミがヨットで待っていると、もう一台のヨットが着き、6歳の息子が到着します。
何年かぶりに会う母親に対して、息子のケンは、よそよそしく、話もしません。小さい頃に別れたきりで、きっと、父親や祖父母に、良い話は聞いていなかったのでしょう。そりゃ、母親の悪口ばかり聞かされていれば、逢っても、素直に喜ぶことは出来ないと思います。まして6歳の子供なんですから。
ナオミは、何とか、子供の心をほぐそうと話かけますが、ヨットの従業員たちも、別れた夫の味方であり、彼女の味方は、誰一人いません。子供の心をかき乱すような事は言わせないようにしようと、周りは必死でケンを守ります。
いつまで経っても、息子と触れ合う事も出来ず、不満が募るナオミですが、英語では無く、少しづつ日本語で話しかける事によって、息子とのコミュニケーションを取り始めます。そして日本語が解るケンは、ナオミに心を開き始めます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、良かったです。日本公開してくれると思うけど、まだ決まっていないなら、ぜひ、公開して欲しい。このお話、凄く解るというか、母親の気持ちも、息子の気持ちも、凄く伝わって来て、考えてしまいました。息子のケンの立場に立つと、父親から、別れた母親の悪口を聞かされ、きっと、お前を捨てて出て行ったくらいのことを言われていたんだと思うんです。そうすると、子供は、ボクが要らなかったんだって思って、母親を憎みますよね。本当は好きなんだけど、でも、憎んでしまう。この気持ち、凄く解るんです。

そして、母親の気持ちも、痛いほど、分かりました。きっと、国際結婚で上手く行かず、離婚したのだと思うけど、経済的にも裕福な夫であれば、自分が働いて養っていくよりも、父親と居て、良い教育を受けさせてあげた方が子供の為だと思って身を引くってあるでしょ。その苦渋の決断が、言葉に出さなくても、表情と仕草に現れているんです。これは、可哀想でした。
撮影している舞台も、素晴らしいんです。美しい風景の中、ヨットという閉鎖された空間で、まるで看守に見張られているような状態で、母親と息子が逢うという、奇妙だけど、緊迫した雰囲気もあり、かと言って、周りは穏やかな海であり、その不思議な空間が、素晴らしいと思いました。
母親役の菊地さんは、やはり上手いと思いました。母親の苦しい立場というのが、表情と態度だけで表されて、無駄な言葉は無く、演出も上手いよなぁって思いました。それ以上に、息子役の男の子が、最初、母親を無視するような態度で、まるで怒っているように見えるのですが、でも、いつも母親を気にしていて、近づきたいと思っているという事が見ているこちらに伝わってくるんです。子供ながら、上手いなぁって感動でした。
この映画、私は、超お勧めと言って良いと思います。この内容、女性なら、凄く良く解ると思います。辛い内容だけど、どんなになっても、母親と子供の絆は離れないんです。誰がどうやっても、それは、変わらない。たとえ、父親が無理に引き離そうとしても、出来ないんです。親子って、そういうもんでしょ。派手な映画では無いけど、とても良い作品だと思いました。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
イタリア映画祭 http://www.asahi.com/italia/2015/
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