「幸せのありか」きっと日本でも同じ思いをされている方が居るのでしょう。みんな知るべきです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「幸せのありか」を観てきました。


ストーリーは、

1980年代のポーランドで、マテウシュ(ダヴィッド・オグロドニック)は脳性まひというハンディキャップを抱えて生まれてくる。彼は幼少時に医師から植物状態だと診断されるものの、父(アルカディウシュ・ヤクビク)と優しい母(ドロタ・コラク)の愛情を一身に受けて成長する。マテウシュは体に重度の障害があったものの、実は知能に問題はなく……。

というお話です。


幸せのありか

ポーランドで、普通の家庭に産まれたマテウシュ。でも、本人は普通では無く、脳性まひというハンディを負って生まれてきました。ほとんど反応の無いマテウシュに父も母も一生懸命に愛情を注ぎ、反応するまでになり、成長して行きます。

映画は、マテウシュの頭の中の言葉で綴られて行くのですが、彼は、脳性麻痺と言われながらも、脳に異常は無く、身体が動かないだけなんです。だから、マテウシュの見えている世界は、私たちと同じであり、彼も同じ事を思っているんです。でも、周りの人間には、それが一切伝わらないので、マテウシュは、脳性麻痺と思われて、そういう扱いをずーっと受けて行きます。

父も母も、マテウシュに付きっきりで世話をしていたので、マテウシュの姉と弟は、いつも寂しい思いをし、あまりマテウシュの事を良く思ってはいないようでした。そんな家族のギクシャクした姿も、実は、マテウシュは全て理解していたのですが、それも伝わらず、母親が倒れてマテウシュの世話が出来なくなった時に、姉弟は世話が出来無いので施設に入る事となります。

幸せのありか

施設には、たくさんの障害者が暮らしていて、それぞれに問題を抱えています。その施設は、知的障害を持っている人々が暮らす場所であり、それなりに手厚い看護を受ける事が出来る場所でした。マテウシュは、母と別れ寂しい思いはしましたが、施設に慣れ、そこで自分の人生を変える人物に出会います。

ある日施設に、言葉を教える研究者がやってきました。その研究者は、言葉が離せない障害者に、意志を伝える方法を教える為にやってきたんです。目で文字を追って、言葉を伝えるというやり方です。それを見ていたマテウシュは、それを使って自分の意志を伝えようと、自分にそれをやってくれるようにアピールをします。

言葉を伝えられる手段を学んだマテウシュは、自分の知能は正常であり、沢山の事を理解しているということを伝え始めます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

幸せのありか

この映画、なんでもっと大きく上映しなかったのかしら。凄く良い内容なのに、ジャック&ベティで上映してくれるまで知りませんでした。私たちの社会では、障害者というと一括りにされ、あまりその事に触れようということがされていません。もっと理解しようとすれば、彼らも社会に溶け込めるのかも知れないのに、何故か、隠されていることが多いと思います。そして、何か事件が起こると、障害者だったからとか言われてしまう。

普段から、社会に受容れ体制が出来ていれば、そんな事件だって事前に防げたかも知れないのに、いつも起きてから騒ぐことになる。マテウシュだって、もっと早く知能に問題が無い事が解っていれば、勉強だって、何だってやる事が出来たのに。映画やスポーツを観たりする楽しみも出来ただろうにと思います。でも、この時点でマテウシュの事が理解されて、こんな映画にもなり、これから、彼も色々な経験が出来て、彼の周りも変わって行ってくれる事を願っています。


幸せのありか

日本にも、このマテウシュのように、理解されていない障害者の方々が沢山いるのでしょうね。もっと、社会が彼らに目を向ければ、そんな状況も改善されるのでしょうが、どうしてもそれが出来ないのは、まだ、人間に動物としての本能が残っているからなのでしょうか。動物たちって、どの種も、子供に障害がある場合、親が育てなかったりしますよね。自然界の中では、厳しい生存競争に勝てないと解っているからでしょう。でも、人間は社会を形成しているのだから、弱い者も助けて行く事が出来るでしょ。それを考えなくちゃね。

幸せのありか

障害者という一括りの中で、知能に問題の無いマテウシュが、どれだけ孤独な思いをしているのか、この映画で感じました。誰かが気付いてあげなければ、苦しみが続くことになっていました。でも、状況が完璧に改善される事はありません。行政の頭は固いんです。もっと柔軟に対応出来る社会になると良いですね。


あ、最初に書かなくちゃいけなかった事ですけど、この映画、実話を元に、映画にしています。映画では、マテウシュを素晴らしい俳優さんが演じられていますが、本当のマテウシュの映像も、エンディングで流れます。本当に、映画の中のマテウシュとそっくりで、彼が、もし、障害が無ければ、イケメンとしてちやほやされていたでしょう。ステキな方です。


幸せのありか

最後に、一つだけ文句を言わせて頂いても良いですか?この邦題、内容を表していないので、もう少し考えて欲しかったと思いました。何でも「幸せ」と入れてしまえば誰かが観ると思ったら大間違い。既に、”幸せ”という言葉が題名に溢れすぎていて、何が何だか判らなくなっています。こんなに良い内容の映画なのに、全くそれが伝わってないんです。どーせ恋愛とかの感動映画だろうとしか思えません。これじゃ、人は集まりませんよ。もっと考えて欲しかったです。

幸せのありか

私は、この映画、超・超・お勧めしたいと思います。でも、上映している所がとっても少ないし、まして、映画の紹介も、ほとんどされていません。もっと色々な所で上映して欲しかったし、色々な人に、こう言う事を知って欲しい。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




幸せのありか@ぴあ映画生活


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