「ヴァチカン美術館 天国への入口」を観てきました。
ドキュメンタリーであり、
ヴァチカン美術館は世界中のカトリックの総本山であり、ローマ教皇の住居でもあるヴァチカン宮殿の内部にある。16世紀のヴァチカンには、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロといった優秀な芸術家たちが集っていた。そしてラファエロの「アテネの学堂」、システィーナ礼拝堂を彩るミケランジェロの天井画「アダムの創造」などの名品が誕生する。
という内容です。
うーん、これは、ドキュメンタリーというか、ヴァチカン美術館の作品の紹介フィルムと言った方が良いのかしら。私には、どーも、良かったとは言い難い出来でした。どうしてこれを映画にして、それも3Dとして上映しようと思ったのかしら。確かに、聞こえは良いし、芸術という言葉に惹かれる客も来るだろうとは思うけど、どう見ても、パンフレットとしてのフィルムとしか思えませんでした。
私は、大学の卒業旅行でヴァチカン美術館も観て来たのですが、もっと、素晴らしい作品がたくさん収められているんですよ。今回のフィルムに収められていたのは、観光スポットの要点だけを抜き出したような紹介で、例えば、日本で言えば、富士山と芸者と寿司を見せられたような、そんな感じなんです。ヴァチカンの天井画「アダムの創造」、「最後の審判」、「アテネの学堂」「ラオコーン像」「ピエタ」など、誰もが、既に、写真や映像で観た事のあるような物ばかりであり、今更、3Dで見せられてもという感じなんです。
でも、まぁ、ヴァチカン美術館の入門用のフィルムとしては、見やすいし、解説も解りやすいので良いのかな。でも、美術館の作品ばかりで、ヴァチカンの雰囲気とか、そういうものが、全く表現されていませんでした。ヴァチカンに入ると、空気が違うというか、やっぱり、修道僧が居る所なので、厳かな雰囲気と、冷たいキリッとした空気が張りつめているような感じがあり、その中に、あの絵画たちが置いてあるので、絵からの熱が伝わってくるんです。まるで、芸術作品の方に、体温があるように感じてくるんです。
私た行った時には、観光客だけでは無く、沢山の国から、キリスト教関係者の方々がいらしていて、シスターたちや、神父たちも、美術館や礼拝堂に入っていて、たくさんのため息が聞こえました。関係者の方々には、信仰の中心地でもある訳ですから、観光なんて簡単なものでは無いのでしょう。そういう雰囲気は、全く映画では解りませんでした。
うーん、話題性というか、こんな映画を観て来たよーと、ちょっと上品ぶって話すには良いのかも知れませんが、観光ビデオとさほど変わりないような気がしたのは、私だけなのかしら。ヴァチカン美術館に行ったことがある方には解ると思いますが、どれ程頑張っても、あの長い歴史を宿した美術館をフィルムに収めるのは無理なんです。あの空気は、映像に撮れないんですから。
私は、あまりお勧めとは言えませんが、ヴァチカン美術館の入門ビデオと思って観る分には、良いと思います。このフィルムに収められているよりも、もっと素晴らしい美術品が、所狭しと飾っていある美術館ですし、美術館自体が美術品なので、もし、この映画で興味を持たれたら、ぜひ、ヴァチカンへ行って、美術品を堪能してきて下さい。但し、ヴァチカンは、予約して行かないと、まず入れないので、忘れないで行ってくださいね。日本からだったらツアーで行くのが一番だと思いますよ。
ああー、私も、もう一度、ヴァチカンに行きたいなぁ。今度行ったら、ダヴィンチ・コードで使われた場面のところで写真を撮りたいな。
映画、ぜひ、楽しんできてくださいね。
- ヴァチカン・ガイド―美術館と市国/ミュージアム図書(製作)
- ¥2,592
- Amazon.co.jp