市川海老蔵さんの「源氏物語」を観に行ってきました。
内容は、
紫式部が語る源氏物語。光源氏は、幼い頃に母親を亡くし、母の面影を追って、藤壺の女御に思いを寄せ、父親の妻と解っていても、抑える事が出来ず、毎日のように通ってしまう。そして、藤壺の女御は懐妊してしまう。周りの者は、もしかして、桐壺帝の子では無く、光源氏の子供ではと噂が広がって行く。
光源氏は、夕顔の君を気に入り、通い詰めるが、光源氏を思う六条御息所は、嫉妬に狂い、生霊となって、夕顔の君を襲う事となる。原作では、夕顔では無く、葵上が生霊に悩まされるのですが、今回の話では、変更されていました。
この二つの話を前後編として上演でした。

私、実は、歌舞伎を観に行ったことが無くて、一度、観たいなぁと思っていたら、母が、海老蔵さんが横浜で上演するという事をTVで知り、行ってみようという事になりました。この源氏物語、歌舞伎と能とオペラを融合させた、ちょっと変わった舞台であり、歌舞伎入門の私にとっては、言葉も解りやすくて、良かったと思います。最初から、難しい歌舞伎だけの言葉に触れたら、解んないからって、悪い印象になったかも知れないですもん。でも、今回は、解りやすく、歌舞伎だけでなく、能という古典芸能の美しさにも触れられて、能も観てみたいなぁという気持ちになりました。
源氏物語って、もちろん知ってはいるんですが、実は、文字で読んだのでは無く、漫画の「あさきゆめみし」で読んで知っているんです。原作の小説は、口語使いが読みにくくて、読めなかったんです。でも、漫画なら、面白いし、雰囲気も解ったので、そちらで納得して、結局、原作は読まずじまい。

それにしても、この話、凄い話ですよね。父親の後妻を寝とったり、奥さんが居るのに、沢山の愛人が居たりして、トンデモナイ男なんだけど、イケメンだから許されるって、どーいうことっ!(笑) 今の常識からいうと、トンデモナイんだけど、この時代は、これが当たり前だし、それでも社会が回っていたのだから、不思議です。楽しい時代だったんですね。ちょっと、羨ましい気もします。
そんな時代に入り込んだ海老蔵さんは、超美しく見えました。TVとかブログで拝見する姿は、無邪気でイケメンなお父さんという感じだったのですが、こと歌舞伎になると、その役に入り込み、美しい姿を見せてくれるんですね。驚きました。

光源氏が舞台に出てくると、サァーっと空気が澄んできて、ちょっと温度が下がるような雰囲気を感じました。光源氏は歌舞伎で演じられるんですけど、桐壺帝や六条御息所は、能で演じられて、不思議なコラボに驚きました。特に、六条御息所は、現実の人物と怨霊(生霊)が、能で演じられて、その恐ろしさは、凄かったです。怨霊の鬼面は、動き出したら、ゾッとしました。本当に相手を殺そうとしている気迫というか、呪いのような物を感じ、怖かったです。能って、少ない動きなのに、ちょっとした仕草が、気持ちを表していて、伝わってくるんですね。面白いなぁと初めて思いました。
そうそう、源氏物語を語る紫式部は、歌舞伎のやり方で語っていて、これが歌舞伎なんだなって知りました。言葉が全く解らないかなと思っていたのですが、ちゃんと分かりました。判るもんなんですね。まぁ、日本人ですから。(笑) 美しい語りだなと思いました。

歌舞伎も能も、とても興味を持ちました。今度は、ちゃんと、歌舞伎は歌舞伎、能は能として観てみたいと思いました。もちろん、最初は、解説付きのにしなくちゃダメかも知れませんが。でも、観てみたいなぁ。ちょっとお高いけど、でも、やっぱり日本の伝統芸能だし、触れておくべきだと思いました。
この二つの芸能に、オペラが絡んでいたのですが、オペラは、ちょっと合わないかなと思いました。男性と女性が歌ってくださっていたのですが、男性の声だと安定していて良いのですが、女性の声と歌は、ちょっとブレたり、声が聞きにくかったりして、あまり良く無かったなぁ。それに、言葉が英語だったんです。折角、歌舞伎とコラボなんだから、日本語で歌って欲しかった。音楽は良いのに、気持ちが伝わってこないんです。これは、残念でした。

私は、この舞台、お勧めだと思います。私のように、伝統芸能を観てこなかった人間にとって、まず、お試しとして観てみるのに、とても良いと思いました。値段もお手頃だったし、まず、こういう舞台を観て、自分に合っているかどうか、観ても理解出来るのかというのを試してみて、それから、歌舞伎や能の世界に入って行くというのに、とても良い作品だと思いました。私は今後、ぜひ、歌舞伎や能を観てみたいなって思いました。皆さんも、古典芸能に触れてみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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