「風に立つライオン」を観てきました。
ストーリーは、
アフリカ医療に尽力した医師シュバイツァーの自伝に感動し、医学の道を進んだ島田航一郎(大沢たかお)。ある日、彼は勤めている大学病院からケニアの研究施設へ派遣されることに。離島医療に励む婚約者・秋島貴子(真木よう子)と離れてケニアに渡った彼は、すぐさま現地の戦傷病院からの派遣要請を受ける。そこで目にした凄惨(せいさん)な環境に医師としての使命を感じ、同病院への転籍を決める。忙しい日々を送る状況で、ンドゥングという心と体に傷を負った少年兵と出会うが……。
というお話です。

ケニアの研究施設へ派遣された島田は、研究をしながら原住民の病院として使われている施設で、精力的に医者として働いています。そんな研究施設に、戦傷病院から医者の派遣要請が来て、島田は、もう一人の医者と共に、戦地の病院へ向かいます。そこには、子供たちが銃を持って戦い、負傷して担ぎ込まれたりする事が多く、驚くほどの酷い状況がある事を知ります。それを見た島田は、子供たちを助けて、ゲリラとして戻ってしまうのを止めたいと思い、派遣任期が終わっても、その戦傷病院に転職させて欲しいと願います。
戦傷病院の医者となった島田は、子供たちを助け、心のケアも行い、現地の現状が良くなる事を祈りながら、診療を続けて行きます。病院だけでは無く、戦地で怪我をしたまま放置されている人を捨てておけず、時々、現地に人に車で地域を回って貰い、人を助ける行動も続けています。ある日、いつものように、怪我人を探しに出かけようとすると、運転手が、「今日は止めた方が良い。外に行くには良い日では無い。」というのです。嫌がる運転手に無理強いをし、出かけた島田でしたが、預言どおり、襲われることに・・・。
一方、医学生時代に島田と付き合い、一緒にケニアに来て欲しいと言われた貴子は、自分の父親の病院を捨てておけず、ケニア行を断り、実家に帰りました。実家は、離島であり、医者が全く居ない場所です。貴子の父親の診療所が、島の人々の命綱であり、父親が年を取った今、貴子が継いで、島の命を背負って行く必要があったんです。
それぞれの道を歩き出した2人は、それぞれに、自分の人生のやるべきことを見つけ、人を助けて行きます。医者という道を続け、人を助ける事が彼らの使命となったんです。そんな2人が、最後はどうなるのか、映画を観て下さいね。
うーん、またも、ひねくれている私は、良い人ぶっていてやだなー、なんて思ってしまいました。以前にも書きましたが、私は、祖父が医者で、子供の頃、預けられていたこともあり、医者が患者の為に良かれと思ってやっても、患者は当たり前だとしか思わない姿をいくつも見てきました。だから、医者が、患者の為にと思ってやっている事は、自己満足でしかないんです。やればやっただけ、自分の首を絞める事になる。ま、それでも自分で解っていてやるなら良いんだけど、こうやって映画になってしまうと、どーしても鼻に付いてしまうんです。
特に、この島田という人。現地に行って、自分の考えだけを押し付けるのは良く無いです。確かに、人々を助けたいのは解るけど、現地の人が、今日は行かない方が良いと言った時には、行くべきじゃないですよ。現地の人しか感じられない、何かってあると思うんです。彼らは、子供の頃から、そこで生活しているんだから、日本から行った人間には解らない感覚があると思うんです。だから、彼らに従うべきだよね。そこをゴリ押しして行ってしまうのは、日本から行った医者の傲慢さだと思いました。
離島医療に従事している貴子は、とても人間的だし、良い描き方がしてあるなと思いました。一人娘だったら、親も心配するだろうし、娘の方も、自分一人しかいないのだから、やっぱり、自分が助けないとと思う気持ち、良く解ります。兄弟が居れば、誰かが助けるかなと思ったりしちゃうかも知れないけど、一人だと思うと、全て背負い込むから、この貴子の気持ちは、良く解りました。親が何と言おうと、やっぱり、自分では無く、家族の事を優先して考えてしまうのは当たり前です。これが家族ってもんですよね。
こんな2人を比べて、私は、やっぱり、自分の家族を助ける事が出来る人間が、一番なのではないかと思いました。もちろん、困っている人々を助ける事は悪い事では無いけど、郷に入っては郷に従えと言うとおり、その場に行ったら、よそ者の自分は、一歩引いて、彼らをフォローするべきだと思います。出来れば、自分が現地に行くのではなく、現地の人に医療を教育して、自分の家族を護らせるべきだと思いました。よそ者は、いつまで経ってもよそ者です。彼らの生活を変えるべきでは無いんです。
私は、この映画、まぁ、お勧めして良いかなと思いました。ただ、感動作と思って観るのでは、在り来たりの話なので、主人公が良い人だったと思うより、何が正しくて、何が間違っていたのかという事を考えて欲しいかなと思いました。そして、離島医療というものが、どれ程大切なのかも考えなくちゃって思いました。気になったら、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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