「プリデスティネーション」ハインラインの描く緩やかな時間空間が、ちょっと雑に作られていました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「プリデスティネーション」を観てきました。


ストーリーは、

1970年、ニューヨーク。とあるバーを訪れた青年ジョン(セーラ・スヌーク)は、バーテンダー(イーサン・ホーク)に自身が歩んだ人生を語る。それは女性として生まれて孤児院で育ち、付き合っていた流れ者との子を宿すも彼に去られ、さらに赤ん坊を何者かに誘拐されたという壮絶なものだった。それを機に男性として生きることを選んだジョンに、バーテンダーは未来からやって来た時空警察のエージェントだと明かす。驚く彼を自分の後継者に選んだバーテンダーは、装備を託すとともに宿敵である爆弾魔との対決に臨んでいく。

というお話です。


プリデス

これ、またネタバレしないで感想を書こうとすると、超キツいんですよねぇ。この作品、タイムパラドックスが重なり過ぎて、メチャクチャなんですけど、これで押していってしまうところが、ハインラインだよなぁと、改めて感動していた私でした。普通なら、あり得ないからね。というか、SF作家なら、辻褄が合わなくなるからと思って、普通止めている設定を、あえて、ハインラインはやっちゃうんですよね。そこが、この人のスゴイところなんだが、内容を落ち着いて考えてしまうと、それ、無理っしょって事になっちゃうのよね。(笑)


プリデス

ある時空警察の男性が、凶悪な爆弾犯の仕掛けた爆弾を止めようとするのだが、あと少しの所で邪魔をされて、顔面も身体も大怪我してしまいます。助けられた男は、治療をされ、また爆弾犯を追う任務を依頼されます。

まず、彼が向かったのは1970年のバー。バーテンダーとして入り込み、ジョンという男と出会います。そして、ジョンの奇妙な話を聞き始めます。ジョンは、何年か前まで女として生きていたというのです。赤ちゃんの時に孤児院の入口に捨てられ、良い成績で大学まで行き、18歳の時に流れ者の男性と恋に落ち、その男の子供を妊娠、出産した。しかし、男は突然消えてしまい、赤ちゃんも、誰かに誘拐されてしまったと言うんです。

プリデス

バーテンダーは、ジョンに、その男に復讐するつもりなら、俺と一緒に来いと言います。そしてバーテンダーは、自分の仕事を継いでくれるなら、復讐の手助けをしてくれると言います。その話に乗ったジョンは、バーテンダーと一緒にタイムマシンを使い、1963年に飛びます。それは、ジョンが女性のジェーンだった時代、流れ者と出会った時であり、ジョンは、流れ者を探し始めます。そして、誰かとぶつかり振り向くと、そこにはジェーンが。ジェーンが出会った流れ者の男とは、ジョンの事だったんです。

プリデス

一方、バーテンダーは、1964年に向い、新生児室に居る赤ん坊を誘拐し、1945年の孤児院の前に置き去りにします。ここではぁ?となると思うけど、ジェーンが、ジョンとの間に作った子供がジェーンになるんです。これ、超ネタバレと思われるかも知れませんが、公式サイトに、年代別にちゃんと説明されているので、出来れば、読んでから観に行った方が良いと思いますよ。

こうして、卵が先か、鶏が先かという問題にぶち当たるのですが、この映画は、それが問題ではありません。ネタバレは、もっと先にあるのです。ここまでは、序章ですね。本当のラストは、映画を観て下さいね。

プリデス

この映画、宣伝、間違ってませんか?「時空へ逃げても追い詰める」っていうコピーだと、犯人を追い詰める警察アクション系に見えてしまう。この映画の内容とは違っています。確かに爆弾犯を追い詰めるのが仕事だと思うんだけど、それは表向きで、芯の話は、このジョンという人間の生きて来て、生きて行く、軌跡なんです。爆弾犯は、確かに止めたいけど、ただ、止めるだけなら、何度も同じ場所へ行って、止められるまでやり直せば良いだけなんですから。

プリデス

すごいタイムパラドックスなんだけど、面白いですよね。これこそ、ハインラインやレイ・ブラッドベリの系統のSFなんです。ふんわりしていて、SFなんだけど、日常生活を描いていて、そこに彼らが生きている。とても奇妙な入り組み方をしているにも関わらず、それが、SFとしての新境地を開いているんです。ただ、宇宙でメカを使って戦うだけがSFではありません。(笑)


プリデス

うーん、このタイムパラドックス、やっぱり、おかしいと思うんだけど、自分と自分が出会って、子供が出来るって、まぁ、やっちゃったら、出来ちゃうのかな。遺伝子的に問題は無いんだろうか。不思議だなぁ。そんな時空の歪みに産まれた人間が、問題無く生きて居られるというのが、とっても不思議でした。そして、爆弾犯なんですけど、ターミネーターじゃないけど、その爆弾犯が爆弾犯になる前に殺しておけば良い訳でしょ。未来なら、調べられるよね。無駄な時間を減らして、早い内にカタを付けるのが、効率化じゃないかな。


プリデス

私は、この映画、お勧めしたいと思います。でも、賛否分かれるかな。SFが好きで小説を読むような方には、面白いと言って貰えると思うのですが、SFが好きでなく、あまりSF小説も読まない方には、この独特なハインラインの世界が解って貰えないかも知れません。普通の良くあるSF映画とは違いますので、頭を使って観て下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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