「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」を観てきました。
ストーリーは、
ばい煎コーヒー店の主人として、たった一人東京で懸命に過ごしてきた吉田岬(永作博美)。幼少時に父親と生き別れた過去を持つ彼女は、再会を願って故郷である能登へと帰ってコーヒー店を開くことにする。店を切り盛りする中、ひょんなことからキャバクラ嬢として働き子どもたちを育てるシングルマザーの隣人・山崎絵里子(佐々木希)と言葉を交わすようになる。彼女と子どもたちとの何げなくも心温まる交流を経て、岬は人とのつながりによって得られる安らぎをかみ締めていく。
というお話です。
吉田岬は、弁護士の訪問を受けていた。その弁護士は、失踪して7年の岬の父親の残した負債をどうするつもりなのかを聞きに来たという事でした。岬は、両親が離婚し、父親と4歳の時に別れたきりで、その後、一度も会っていなかったのですが、父親の負債は自分が返すと言い、唯一、父親が残した船小屋を相続する事となります。
岬は、父親と逢いたいと思い、父の残した船小屋を改装して、ばい煎コーヒー店を開きます。今は、ネット販売が主流であり、場所がどこであっても、問題は無かったんです。岬の始めたコーヒー店の近くに、古い旅館があり、そこの若い母親と子供が2人住んでいる事を知ります。母親は、仕事で金沢に行ってしまう事が多く、ほとんどは古い旅館で、子供が二人で住んでいて、食べ物にも困っていました。
そんな子供を見かねた岬は、小学生のお姉ちゃんを自分の店のお手伝いとして雇い、お給料を払う事にします。母親が居ない間、手伝いをさせて、面倒を見ていたのですが、母親は、そんな岬を疑い、二度と店に行かないように子供たちに言い聞かせます。そして母親は、旅館に自分の付き合っている怪しげな男を連れ込み、生活を続けるのですが、子供は男を恐がります。そして事件が・・・。
ある事件により、岬に対しての警戒感を無くし、打ち解けていく母親・絵里子ですが、子供たちとの生活を続けるために、子供たちを置いて仕事に行かなければならず、悩んでいます。そんな絵里子に岬が手を差し伸べ、自分の店で働くように促し、いつも子供と一緒に生活が出来るようになります。
岬は、父親を待ちながら仕事を続けているのですが、絵里子が調べてみた方が良いと話し、父親が乗っていた船の他の船員たちの家族に連絡を取って、自分が知らない父親の姿を追い始めます。そして・・・。あとは、映画を観てくださいね。
この映画は、ハッキリした結末がある訳でも無く、何も解決がすることは無いのですが、孤独だった岬の心が、段々と柔らかくなり、自分の居る場所を見つけていくというお話なので、その過程を楽しむ映画です。過去の岬に何があったのかは、全く分からないし、父親も、岬と逢わなかった間に何があったのかは、ほとんどわかりません。ただ、船に乗って、行方不明になったという事だけなんです。でもね、岬が自分の居場所を見つけるのに、そんなことは関係ないんです。彼女が、全てを捨てて父親を待ちたいと思った場所が、彼女の居場所なんです。それが、じんわり伝わってきて、こちらも、ジーンとしました。
なんか、あんまりうだうだ書くよりも、この映画は、観て頂いた方が、映画の伝えたいことが解って貰えるかなと思います。難しい事は言っていないんです。誰もが、自分の居場所って、いつも探しているんだと思うんですよね。それが、家族の居る場所だったり、好きな人の居る場所だったり。
でも、ある日、突然、ここって、私の居る場所じゃない気がするっていう時ってありませんか?きっと、この岬も、そう思って、4歳の時に別れたきりの父親を待つ場所に行って、待ってみようと思ったのかなって思いました。待つことが、彼女の人生の一つになったのだと思います。そこで、色々な人と出会い、色々な事を知り、彼女が自分の居場所を見つけるお話なので、それを、じんわり、味わって欲しいという感じでした。
私は、この映画、お勧めしたいと思います。でも、映画館で観なくても良いかなぁ~。私は、この映画、自宅でコーヒーを飲みながら、ゆっくり観たいと思いました。コーヒーの香りが、この映画の良さを引き立ててくれそうな気がします。ぜひ、観に行ってみてください。
せひ、楽しんできてくださいね。
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