「フォックスキャッチャー」誰もが自分に従うと思っていたのに、ただ一人自分の自由にならない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「フォックスキャッチャー」を観てきました。


ストーリーは、

大学のレスリングコーチを務めていたオリンピックメダリストのマーク(チャニング・テイタム)は、給料が払えないと告げられて学校を解雇される。失意に暮れる中、デュポン財閥の御曹司である大富豪ジョン・デュポン(スティーヴ・カレル)から、ソウルオリンピックに向けたレスリングチーム結成プロジェクトに勧誘される。同じくメダリストである兄デイヴ(マーク・ラファロ)と共にソウルオリンピックを目指して張り切るが、次第にデュポンの秘めた狂気を目にするようになる。
というお話です。

フォックス

レスリングのオリンピックメダリストのマークは、大学でコーチをしていたが、解雇されてしまう。そんな時に、デュポン財団の御曹司ジョンから連絡があり、自分が持つレスリングの練習場で、ソウルオリンピックに向けてレスリングチームの強化プロジェクトを考えているので来ないかと誘われます。仕事も無く、落胆していたマークは、直ぐに参加する事を決めて、兄のデイヴに相談をして、デイヴも一緒に来てくれるように誘うのですが、デイヴは、家族の事を思い、一緒にはいけないと断ります。

フォックス

一人、ジョン・デュポンの持つ練習場に向かうマークは、いつも兄と一緒だったので、とても心細そうでした。コーチとして指導もしてくれていたデイヴが居ない為に、練習も上手く運ばず、ジョンが指導の真似事をするのですが、やはりプロの世界に素人であるジョンが口出しをしても、あまり役に立たないんです。段々とリズムを崩していくマーク。

ジョンは、体制を建て直すべく、デイヴに良い条件を出して、ジョンの練習場に招き、マークや他の選手の指導に当たらせることにする。最初、マークは、自分の力が足りない為に兄のデイヴが呼ばれ、自分は、もうお払い箱になるのかと、気分を害していましたが、段々と和解し、デイヴと共に、オリンピックを目指すことに全力を傾けます。しかし、今度はジョンが、自分の希望通りの指導で進まず、デイブが実権を握って行く事に不満を募らせていきます。

フォックス

ジョンは、子供の頃から、人が自分に付いてくるものだと思って育ってきて、それが当たり前になっていたんです。自分の思い通りにならないのは、母親だけ。母親は、レスリングなどを嫌い、優美な馬の競技のみに興味を持ち、ジョンにも、あまり興味を持ちませんでした。母親にかまって貰えず、他のもので埋めていた心が、今度は、デイブに取られてしまう。そしてジョンは・・・。後は、映画を観て下さいね。

この映画、スゲーって感じでした。ジョン・デュポンという人物が、あまりにもかわいそうと言うか、哀れな気がして、辛くなりました。ジョンは、財閥の御曹司ということで、最高の教育、最高の躾を受けてきた人物であり、人の上に立つ人間になっているハズだったのに、母親の愛を受けられなかった為に、いびつな人間になってしまったのではないかと思いました。まるで、素晴らしい花園に居るのに、その真ん中の沼にズブズブ沈んでいくような、そんな風に見えました。

フォックス

もし、ジョンが、母親の愛情を沢山受けて、イケない事はダメだと教育されていたなら、人の気持ちも解るようになっただろうし、人間とは一人で生きているのではないという事が解ったと思うんです。でも、彼の家は、とても裕福だったが故に、母親は息子を人任せにし、自分の趣味である馬に没頭してしまったのでしょう。もし、ジョンを育てた乳母が、とても心のある人だったなら、色々な注意をしてくれただろうけど、それも無かったのでしょうね。どんなにお金をかけた教育をしても、そこに心が無かったら、その子供にも心は宿らない。哀しいですね。

フォックス

マークは、典型的な次男タイプで、お兄さんに反発をしながらも、兄に頼っているんです。もし、もっと早くに、良いコーチを見つけて、兄と分かれていたなら、もっと違っただろうけど、兄のデイブは、競技者としても、教育者としても秀でた人だったので、デイヴ以上の人を見つけられなかったのでしょう。実力があるという事は、素晴らしい事ではあるけど、ある面では、不自由なことだと思いました。

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デイヴは、典型的な極楽とんぼかな。素晴らしく人が良いのですが、相手の気持ちを察するのが苦手なんですよね。正しい事を、正直に言っているのですが、それが、相手を傷つけるという事が解らないんです。正直である事は、時に、人をとても傷つけるんです。デイヴも、昔から才能に恵まれていたので、自分の思い通りに動いていても、それに異を唱える人間が居なかったのかなと思いました。

マークを挟んで、ジョンとデイブは、育った環境も、教育も違うのに、とても近い性格を持っていたのかなと思いました。一方はお金を、一方は才能を持っていたが故に、不自由になった。哀しい話ですけど、面白いと思いました。

フォックス

私は、この映画、超お勧めしても良いかなと思いました。でも、軽いアクション映画などが好き方には、ちょっと重すぎるかと思います。でも、人の心というものを感じたい方には、とても面白い映画ではないかと思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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