「ソロモンの偽証 前篇・事件」14才の心は大人と子供の狭間で揺れ動き砕けるのか咲くのか?! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ソロモンの偽証」の試写会に行ってきました。ぴあのプレミアム会員の招待試写会で、試写の後、ティーチインがあり、その後に懇親会があるイベントでした。


ストーリーは、

クリスマスの朝、雪に覆われた中学校の校庭で柏木卓也という14歳の生徒が転落死してしまう。彼の死によって校内にただならぬ緊張感が漂う中、転落死の現場を目にしたという者からの告発状が放たれたことによってマスコミの報道もヒートアップ。さらに、何者かの手による殺人計画の存在がささやかれ、実際に犠牲者が続出してしまう。事件を食い止めようともせず、生徒たちをも守ろうとしない教師たちを見限り、一人の女子生徒が立ち上がる。彼女は学校内裁判を開廷し、真実を暴き出そうとするが……。

というお話です。


ソロモン

中学二年生14歳の藤野涼子は、仲の良い野田と学校に向かっていた。先日の雪により、道は雪で覆われ、クリスマスだというのに、人影は少ない。校門についた涼子たちは、下品な楠山という教師が正門に居たため、裏門に周り、動物の世話をしようと、学校内に入ると、目の前に、雪から何かが付き出ているのを見つけます。近寄ると、クラスメイトの柏木卓也の姿が。驚いて掘り出す涼子たちですが、既に身体は冷たく、驚いた2人は転がるように先生が居る所へ向かいます。

柏木が亡くなって、警察の捜査が続き、自殺と断定されたのですが、後日、学校の校長、柏木の担任・森内、涼子のところに、柏木は自殺では無く、殺されたとの手紙が届く。虐めの延長で、校舎の屋上から突き落とされたと、それを手紙を書いた本人は観たという内容だった。驚いた涼子は、刑事である父親(佐々木さん)に渡し、捜査を依頼するのですが、警察の見解は変わらず、学校側も再調査する気配はありませんでした。

ソロモン

生徒たちの間で手紙の事も話題になり、TVでも取り上げられて、悪い噂がどんどん流れ、中3になっても、その騒ぎは収まらず、受験を控えているのに、周りは落ち着きません。涼子は、こんな状態に耐えられなくなり、柏木の友人だったという神原と野田と一緒に、学校内で裁判を開き、柏木を殺したと言われている大出の裁判をすると共に、告発文を書いた生徒に真相を聞く為に、動き始めます。

涼子たちが校内裁判を開くことを提案し、親たちも了承したのですが、教師たちは納得が行かずに、裁判を阻止しようと、色々な手を使って、涼子たちを妨害してきます。内申書がどうなるかとか、とても卑怯な事を言ってくるのですが、涼子の信念は変わらず、裁判に突き進んでいきます。そして・・・。これが、前半の話です。

ソロモン

この映画、まるでパズルのように出来ているんです。前編は、まず、パズルの枠と主要部分の柱のみが組み立てられていきます。まだ、肉が付いていないんです。そして、きっと、後半で、この肉部分が、キレイに収まって来て、一つの美しい形に出来上がるようなつくりになっているんだと思います。前編を観ただけでも、十分に面白いのですが、これ、全部観たら、超、面白いんだろうなぁと思えるような内容でした。

まず、クリスマスの雪の中、柏木の死から始まるのですが、この裁判は、柏木の死のみを探って行くのではなく、一人の死の周りに、沢山の生徒が絡み、思春期であるからこその、苦しみ、悲しみ、矛盾、もがきなどが、浮彫になってくるんです。

ソロモン

子供の時って、正しい事をしろと大人に言われてきて、必死でそれを突き通そうと頑張ってきたのに、14歳になり、目の前に大人の世界が広がった時に見るものは、ほとんどが嘘で固められていて、見栄や欲に絡められて、人を騙したり、陥れたり、平気で悪い事をして他人を出し抜こうとする大人の姿を見せられるんですよね。そりゃ、もう、どうして良いのか解らなくなりますよ。信頼していた相手が、信頼出来ないものだと知るんですから。

14歳って、成島監督がおっしゃっていたのですが、一番自殺が多いんですって。そりゃ、当たり前だと思います。だって、白と思っていたものが、黒だったと知らされ、それをガマン出来るのか出来ないのかでしょ。許容出来る子と、無理な子が出てきますよ。だからね、親は、子供が小さい頃から、大人も間違えるものなんだ、人間っていうのは間違える生き物なんだって子供に教えて行かないとダメなんです。親が言う事を全て守りなさいなんて強要する親はダメなんですよ。


ソロモン

子供も、親の言う事が全てだなんて、思っちゃダメですよ。親もアホなんだから、というか、親も大人になり切れてないことが多いんだから、色々な人に出会って、いろんなことを覚える事、そして本を読む事によって、知識が増えて、この世界は、本当は面白いのだという事が解ります。14歳なら、まだまだ、沢山の選択肢があります。引き籠もるのも仕方ないけど、片っ端から色々な選択肢を試していくのも、楽しいかも知れませんよ。


映画の中で、虐めで苦しんでいる姿が描かれている場面があるのですが、あの時代って、酷い虐めがあったんでしょうね。でも、その頃の親の年代は、虐めの陰険さを解っていないから、対処が出来ていなかったという事が良く解ります。今でこそ、虐めが社会問題になっているけど、同じような虐めは、昔も沢山あって、自殺した子供が沢山いたんじゃないかな。そんな事が繰り返されないように、虐めがあったら、汚いと言われようと、写メや動画で訴えましょう。罠を仕掛けて、加害者を捕まえましょう。いつの時代も、頭を使って、情報を手に入れ、万人を味方に付けた方が勝ちますから。


ソロモン

このパズル、マジで面白いです。前編だけだと、あれは何だったんだろうとか、なんで泣きながら走ってたんだろうとか、あの子は何なんだろうって部分が残っているままなんですけど、きっと、後編で、この空いた部分が、バチッとハマってくるんだろうなっていうのが予想出来て、本当に楽しみなんです。あー、もう、待ちきれない。早く後編が観たいっ!

感想を書いていても、考える事が次から次へと湧いてきちゃって、書き終わりません。ここらで止めなければっ!こんなにハマったのって、久しぶりかも知れない。私、深読みし過ぎなのかしら。映像も素晴らしいし、時代の風景も、すっごく気を使って細かく描いているところが、凄いなぁと思いました。細かいところも、良く観てきてくださいね。

ソロモン

この作品、私は、今、思い出す限り、一番お勧めしたい映画だと思います。これは、観るべきです。出来れば、前後編、続けて観たいけど、難しいから、とりあえず、前編を先に観て下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。


P.S : ティーチインと懇親会で、監督とプロデューサー、そして俳優の板垣瑞生くんがいらしてくれて、現場での事とか、どうやって撮影したのかなど、沢山のお話を伺いました。最初の死体の場面は、本当に、柏木役の子が埋まっているそうです。その撮影も、特殊なクレーンを使い、大変な撮影だったそう。そして、あの雪ですが場面場面で、撮影した場所が違うそうです。スタジオでの撮影では、雪ではなく塩を使って雪の撮影をしたそうです。時代が1990年という設定なので、職員室でもタバコのシーンを作り、不良の子がタバコを吸うシーンでは、おもちゃのタバコで、煙だけ合成したそうです。沢山の面白いお話、嬉しかったです。そういえば、3月1日に、前後編のいっき観イベントがあるようで、観に行こうと思ったら、他のイベントのチケットを購入してしまっていて、行けないのよぉ~!!もっと、イッキ観イベント、やって欲しい!横浜とか川崎でもやって欲しいです~!!!



ソロモンの偽証 前篇・事件@ぴあ映画生活


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