「ミルカ」を観てきました。
ストーリーは、
1960年のローマオリンピックで、インド人選手ミルカ・シンには400メートル走でのメダル獲得の大きな期待が掛かっていた。だが、彼はあろうことかゴールを目前にして後ろを振り返ってしまったことで、4位という結果に終わる。その後、パキスタンとのスポーツ大会が催されることになり、ミルカは団長に選ばれるものの、辞退すると言ってきかなかった。
というお話です。
1947年から、インドとパキスタンは独立戦争をしており、戦争は3次に渡り続くことになりました。その戦争によって、インドは、北部の左右(東と西)の一部をパキスタンとして独立する事になりました。今、現在は、東パキスタンはバングラデュとなっています。そんな独立戦争を経験したインドに、ミルカという足の速い少年がいました。
ミルカが生まれた村は、ちょうどインドとパキスタンの境界に位置し、ミルカの村はパキスタンに含まれる事になるのですが、インドはヒンドゥー教が多く、パキスタンはイスラム教となります。ミルカの家はヒンドゥー教で、もしその場所に留まり、パキスタン国民となるのなら改宗しろと言われます。ミルカの部族は、その場所を動く気は無く、まして改宗する気持ちもありません。必然的に、パキスタンの人間と戦いになり、ミルカの部族は襲われ、惨殺されてしまいます。そんな中、父親に「逃げろ!」と言われたミルカは、命からがら逃げ出し、必死でインド領に逃げ込みます。
インドでの生活は、苦しい事も多かったのですが、それでも楽しい生活を手に入れ、ミルカには、好きな女性も出来ます。しかし、貧困が故に、彼女との結婚は許されず、ミルカは、インドの軍に入隊し、生活を安定させてから彼女を迎えに行こうと、軍での苦しい訓練にも耐えていました。ある日、軍の中で、陸上競技の大会に参加させる為、足の速い人物を探していて、ミルカが選考されます。ミルカは、国の代表として、陸上国際大会に参加する為に、陸上競技のチームに入り、特訓を受けて、軍での地位もグングン上がって行きます。
国の代表となったミルカは、やっと好きな人を迎えに行くのですが、既に彼女は結婚してその場を去ってしまい、ミルカは、一人になってしまいます。強化チームで訓練に励み、メルボルン・オリンピックの為に、海外遠征をし、その地で、コーチの娘とひと時の恋愛を楽しみますが、アスリートが恋愛に溺れると成績が振るわなくなり、ミルカは、全てを捨てて、また陸上の選手として取り組み始めます。
ローマオリンピックで、成績が振るわなかったミルカは、今度は、パキスタンとの国交正常化に伴い、スポーツ大会を開くことになり、その大会の選手団長として出て欲しいと言われるのですが、パキスタンとの過去の事が頭を過ってしまい、その恐怖を拭い去る事が出来ません。彼を心配しながらも、パキスタンとの交流を破棄する訳にも行かず、ミルカを説得する為に、ミルカの家を訪れる、大臣と陸上コーチ。はたして、ミルカは、その恐怖に打ち勝ち、陸上を続ける事が出来るのか。後は、映画を観て下さいね。
この映画、本当に良かったです。東京オリンピックにも選手として参加したらしいし、なんか、日本とも関わりがあったりして、こんな歴史があるんだなぁと、改めて感動してしまいました。だって、インドっていうと、ダンスが多い映画とか、カレーとか、タージマハルとか、マハトマ・ガンディーとか、そんなのが先に思い出されて、陸上競技なんて、全くやっているように思えなかったんです。でも、ちゃんと陸上競技の教育をして、選手を輩出していて、強い選手が居たという事に、本当に驚きました。
そうそう、このミルカさん、陸上を始めた頃、靴を履くのが初めてで、靴を履くと上手く走れないんです。で、コーチが、その内、慣れて上手く走れるようになると教えるんですけど、凄いでしょ。靴を履くところから教育したなんて、驚いてしまいます。それでも、世界記録を出せるほどになるんだから、現代の陸上教育を最初からしてたら、どれ程の記録が出たのか、恐ろしいですよね。
ミルカは、動乱の歴史の中で苦しんで、そして世界一になった人物です。本当に驚くようなお話なので、私は、ぜひ、お勧めしたい映画です。インドという国を知る為に、ぜひ、観るべき映画だと思いました。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・ミルカ@ぴあ映画生活
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