「おみおくりの作法」葬式は生きている者の為だと思ったけど、そうでも無いのかもね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「おみおくりの作法」を観てきました。


ストーリーは、

公務員のジョン・メイ(エディ・マーサン)は、ロンドン南部ケニントン地区で亡くなった身寄りのない人々の葬儀を執り行う仕事をしている。いくらでも事務的に処理できる仕事だが、律儀な彼は常に死者に敬意を持って接し、亡くなった人々の身内を捜すなど力を尽くしていた。糸口が全て途切れたときに初めて葬儀を手配し、礼を尽くして彼らを見送ってきたが……。

というお話です。


作法

ジョンは公務員で、身寄りの無い亡くなった方、日本でいう無縁仏の調査をして、もし知り合いが居れば、その人に葬式の日取りを伝えたりして、もし知り合いが居なければ、公務員として葬式を出し、弔辞を作って送り、埋葬するんです。


淡々と丁寧に仕事をこなし、無縁仏を送っていたジョンでしたが、ある日、上司が、効率化を図るために、ジョンの部署を廃止にし、その仕事を、本店(役所だから本庁ですね。)の課に引き継がせるとし、ジョンをリストラします。イギリスでは、公務員でもリストラに合うんですね。良いことです。あと3日で、残りの案件を片づけるようにと言われ、今、手がけているビリー・ストークという男性の調査だけは、終わらせようと調べ始めます。

作法

ジョンのアパートの向かい側の棟の部屋に住んでいたビリー。部屋を調べてみると、娘らしき人物の写真と手紙が見つかり、その娘を探すべく、写真やビリーを知っていたらしき人々を訪ね歩き始めます。ビリーは酒浸りで、友達は居なかったという話だったのですが、辿って行くと、路上で生活している人と酒のみ仲間だったり、喧嘩はするけど優しい一面があったり、愛していた女性が居たりと、色々な事が解ってきます。

そして、ビリーが持っていたアルバムに貼ってあった写真は、やはりビリーの娘のようで、つてを辿って、娘を探し出すのですが、ビリーは、彼女と母親を捨てたという過去があり、娘は悲しみはするものの、葬式への出席は拒否するのでした。無理強いする事では無いし、これで、調査は終わりだと思い、仕事場をキレイに片づけて、調査の終了をし、ビリーの遺体を葬る手続きをするのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。結構、衝撃的な最後に繋がります。

作法

日本でも、こんな風に身寄りの無い人の最後を片づけて下さっている公務員の方がいらっしゃるのかな。こういう事って、表には出てこないからあまり解らないけど、でも、誰かがやっているハズなんですよね。本当に大変な仕事だと思いました。仕事が忙しいとかでは無くて、心が辛いんじゃないかって思いました。機械的に出来るようになってしまえば良いけど、ちょっとでも、ご遺体が生きていた時の事を考えてしまうと、簡単に扱えなくなってしまうだろうし、誰か知り合いの方に送ってあげて欲しいという思いが出て来てしまう。だから、辛いでしょうね。

作法

そんな仕事を、このジョンはずっとやってきて、丁寧に送ってきたんですけど、やっぱり心残りがある件もあったり、それなりに必死で仕事をこなしてきたと思うんです。でも、ジョンの仕事は、死んだ方に寄り添った仕事の仕方なので、効率が悪いんです。ただの”モノ”として扱って、送ってしまうのなら簡単なのに、彼は、そうは出来なかった。市は、経費削減もしたいし、仕事の効率化を図っていて、ジョンを解雇という選択をし、その後は、他の市との合同で、簡単に処理をして行くことに決めてしまう。

作法

酷いと思うけど、市の立場も解らないでは無いですよね。だって、税金で人を送るんだから。本当は、葬式の費用は自分で出すべきものですもん。人道的とかキレイ事を言っても、じゃぁ、アナタが出してと言われたら、誰も出さないでしょ。人間なんて、そんなもんです。でもね、このジョンは、自分が出来る事を必死でやるんです。自分の身を削ってでも。日本で言う、滅私奉公ですね。

お葬式というのは、死んだ人の為では無く、これから生きて行く人の為にやるものだと思っているし、それは変わらないと思っています。でも、もしかして、死んだ人の為にも、なっているのかも知れない。そこに魂があったのなら、沢山の人が送ってくれる事によって、少しでも温かく、向こう側に行けるのかも知れない。そんな気持ちになる映画でした。死んでしまったら、そこには何も無くなるのかも知れないけど、でも、形ではない、心が、気持ちが、残るのではないかなぁ。

作法

誰も死んだ後の事なんて解らないですけど、死というものの恐さは、いつも人間の心の中にあって、その恐怖に打ち勝つために、魂という概念が出来たんじゃないかって思うんです。死んでも魂は残ると思っていれば、死はそれほど恐ろしいものでは無くなる。だって、死んだって、自分の気持ちは残るんですから。この映画も同じで、死を受け入れる恐怖を、少しでも緩和するための映画のように思いました。死を迎えても、大丈夫。きっと、平安が訪れますって事を教えてくれているようで、安心出来る作品でした。

作法

私は、この映画、お勧めしたいと思います。派手な映画ではありませんが、誰もが迎えるであろう死を、恐怖から遠退け、苦しみから解放してくれる、そんな気持ちになる映画でした。この映画は、若い人より、ちょっと年配の方の方が、理解が深くなるのではないかな。沢山の時間を生きれば生きるほど、人の死と多く向き合った人ほど、この映画の言っている事が解ると思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




おみおくりの作法@ぴあ映画生活



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