「ジミー、野を駆ける伝説」を観てきました。
ストーリーは、
1932年のアイルランド。内戦終結から10年が経過し、元活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォード)が10年ぶりにアメリカから故郷の片田舎に戻ってくる。ジミーはかつて仲間たちと芸術やスポーツを楽しみ、語り合ったホールを復活させ、住民たちの間には活気が戻ってくる。しかし、神父のシェリダン(ジム・ノートン)が住民を戸別訪問してホールに行かないようにと警告し……。
というお話です。
アイルランドの映画って、結構、観るんですけど、イマイチ、歴史が解っていないので、理解が完璧に出来ないんです。ジミーって、1909年にアメリカに移住するも、独立戦争に参加する為にアイルランドに戻り、内戦を戦い、アメリカに逃げていたんですね。その彼が10年後に、母親の面倒を見ながら静かに暮らそうと故郷のアイルランドに再度、帰って来るところから始まります。

ジミーは、内戦時に派手に闘った為に、村でも危険人物と思われていて、まして、カトリック教会を信仰していないジミーは、教会からも悪く思われていました。村の半分は、イギリスの統治賛成派であり、半分は独立派で、内戦が終わっても、まだいがみ合っているんです。1931年のウェストミンスター憲章でイギリスと対当な国として認められているにも関わらず、今だ、イギリスの顔を見ながらしか動けない状態であり、国民は、不自由な生活を強いられていました。
若者たちは、色々な勉強をしたり、音楽を聞いたり、ダンスをしたり、自由を感じ、未来を夢見たいと思っているんですが、古い大人たちや教会は、昔からのやり方を変える事を許さず、古い考えを押し付けるばかり。耐えられなくなった若者たちは、ジミーに、もう一度ホールを作って(直して)、自分たちに勉強やダンスをする場を与えて欲しいと懇願します。
小さな村で埋もれてしまうかも知れない若者を愁いて、ホールを再開し、勉強や音楽など、新しい文化的な教育をしはじめます。しかし、村の実力者たちは良く思わず、ジミーにホールを辞めさせるために、色々な手を考えて、嫌がらせをしたり、警察と組んで逮捕しようとしたり、またも戦いが始まります。しかし、犯罪を何も犯していない人間を、罪状も無く逮捕は出来ず、国家として成り立った今は、昔のような横暴な事は出来ません。そして、ジミーを黙らせるために、彼らが取った行動とは・・・。後は、映画を観て下さいね。
アイルランドは、今も息苦しいような雰囲気があるのかしら。随分、アメリカとの交流も進んでいるし、開けて来ているんでしょうね。良い国になって、昔苦しんだ人達の分も、幸せになれるといいなって思います。ジミーの時代のように、若い人達が息苦しくて、何も出来ないような事があってはいけません。勉強をして、世界を知って、沢山の選択支の中から、自分に合っているモノ、好きなモノを選べるような世界にならなくてはね。
ジミーは、自分の故郷の未来を思い、弾圧を受けても、好きな人を諦めても、やらなければと思った事を貫き通したのだと思いました。ジミーの母親は、ジミーが子供の頃から、色々な本を与え、色々な考えを持てるように育ててきたんです。そんな母親あって、偉大なジミーが出来上がったのだと思います。ほとんど語られることが無かった英雄ですが、素晴らしい人だったのだと思います。
もし、彼が、アイルランドの中枢に入っていたら、アイルランドは、もっと早い時期に、イギリスからの完璧な独立が出来たかも知れないし、もしかしたら、島全体で一つの国になれたかもしれない。イギリスは、そういう力を持っている人間を、ほとんど潰してしまったんですよね。残念なことです。でも、きっと、彼らに育てられた若者たちが、アイルランドを良い方向に向けて行ってくれるのでしょう。
私は、この映画、お勧めしたいと思います。アイルランドという日本では、あまり馴染みのない国の姿を知る事が出来て、楽しめると思います。でも、単館系の映画なので、すっごく楽しいとか、笑えるとかは無いので、そういう真面目な映画が苦手な方には、難しいかな。気になったら、ぜひ観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・ジミー、野を駆ける伝説@ぴあ映画生活
- アイルランドを知れば日本がわかる (角川oneテーマ21 A 101)/角川グループパブリッシング
- ¥782
- Amazon.co.jp
- 物語アイルランドの歴史―欧州連合に賭ける“妖精の国” (中公新書)/中央公論社
- ¥886
- Amazon.co.jp
- アイルランド―歴史と風土 (岩波文庫)/岩波書店
- ¥821
- Amazon.co.jp