「毛皮のヴィーナス」を観てきました。
ストーリーは、
高慢で自信に満ちあふれている演出家トマ(マチュー・アマルリック)は、あるオーディションで無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)と出会う。品位を全く感じさせない彼女の言動や容姿に辟易(へきえき)するトマだったが、その印象とは裏腹に役を深く理解した上にセリフも全て頭にたたき込んでいることに感嘆する。ワンダを低く見ていたものの、オーディションを続けるうちに彼女の魅力に溺れていくトマ。やがて、その関係は逆転。トマはワンダに支配されていくことに、これまで感じたことのない異様な陶酔を覚えてしまう。
というお話です。
この映画の舞台を、昨年(2013年)の6月に、SMAPの稲垣さんと女優の中越さんがやられて、観に行ったんです。なので、この映画、とても楽しみにしていました。日本で上演されたものと、フランス映画で、まして、ロマン・ポランスキー監督作品として作られたものを、比べて観る事が出来るなんて、とっても面白そうでしょ。
演出家のトマを、マチュー・アマルリックが演じていて、彼と稲垣さんって、ちょっと、似ている雰囲気があるんですよ。面白い事も平気で出来るけど、でも、真剣な演技も素晴らしいの。なんだか、安心して観ていられる俳優さんというところが、2人とも共通しているのかなと思いました。
とりあえず、内容に入って行きましょう。ある舞台のオーディションを開催している小さなホール。演出家のトマは、自分の書いた本に似合う女優を探していたのですが、オーディションが終了した今、そんな女優は見つからず、腹を立てています。もう、帰ろうと用意をしていたところに、女性が飛び込んで来ます。オーディションを受けに来たと言うのですが、既に時間は過ぎていて、トマは受け付けません。女優の名はワンダ。台本のヒロインと同じ名です。強引にオーディションを受けさせろと、帰ろうとしないので、仕方なく、トマは、自分が相手をして、オーディションを始めます。
ハッキリ言って、トマが描いていた女性像とはかけ離れているタイプの下品なワンダ。早く済ませて帰ろうとするトマなのですが、演じて行く内に、段々と、役のワンダに近づいていくワンダ。激しく男を従わせようとする女と、それに抗いながらも従って行ってしまう男。2人は、どんどん劇の中に引き込まれて、現実との違いが判らなくなって行く。そして、ワンダという女性は、一体、誰なのか、どこから来たのか・・・。後は、映画を観て下さいね。
映画でも、舞台と同じ、2人きりの世界をずーっと描いているし、場所が切り替わる事も無いので、同じ舞台の上で、ずーっと演じられていきます。脚本も、ほとんど一緒でした。でも、人が違うだけで、こんなにも違うんですね。いやぁ、面白かったです。
トマは、最初は、ワンダの上に立っているのに、いつの間にか、彼女の奴隷のようになってしまうんです。その展開も、劇中の役の部分でも変わって行くし、舞台を演じる俳優と演出家としての立ち位置さえも、変わって行ってしまう。全てを、女性に握られて行く男の無様な姿と、それを嘲笑う女神。その女神は、最初、普通の下品な年増の女に見えるのですが、どんどん光輝き、オーラを纏い、美しい女神に変身していくんです。別に、着ている物も化粧も変えている訳では無いんですけどね。
私には、ヴィーナスと言うよりも、魔女に見えました。魔女が現れて、楽しげにトマをいたぶって、最後に大きな口を開けて、トマを呑み込むように見えました。恐ろしいでしょ。でもね、とってもエロくて、魅力的なんですよ。女は、きっと、誰しも男を従えて、いたぶってみたいという欲望があるんじゃないかと思うんです。だって、いたぶっている姿を見ると、ワクワクしちゃうし、嬉しくなってしまうんですもん。男性には、恐怖かも知れませんけど。
そんなステキで不思議な気持ちを感じさせてくれる映画でした。私は、超お勧めしたいと思います。特に、女性に薦めたいですね。男性は、女に対しての恐怖が湧くかも知れないけど、女からすれば、ヒールで踏んでみたいし、ロングブーツを履かせて貰いたい。それが、女の本質ってもんです。(笑)ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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