「ドライブイン蒲生」を観てきました。ジャック&ベティで、今週のみ上映かな。
ストーリーは、
閑古鳥が鳴く「ドライブイン蒲生」に生まれ育った姉サキ(黒川芽以)と弟トシ(染谷将太)は、ヤクザ崩れの父(永瀬正敏)のせいで、幼いころからバカの一家と近所から疎まれてきた。そんな惨めな境遇に失望したサキはヤンキーとなった揚げ句、子供を身ごもり姿を消してしまう。それから数年後、夫に暴力を振るわれたサキは嫌っていた実家に出戻り……。
というお話です。
ドライブイン蒲生を経営しているサキとトシの父親は、ろくでなしと呼ばれ、雨が降れば休み、風が吹けば休みというように、店があってもいつ開けているのか解らないような状態で、誰からもバカにされていました。そんな家で育ったサキとトシは、昔からバカの家の子どもと言われ、それに抗いながら、育って行きました。
サキは、ヤンキーとなり、学校に行ってんだか行ってないんだか、家でぶらぶらしていることが多く、男を引っ張りこんだり、自堕落な生活を送っていました。サキは、父親のせいで”バカの家族”と呼ばれることにイラつき、本当の父親は他にいるんだと思い込み、トシにも父親は他にいるからと話していました。トシは、姉のように父親を嫌がってはおらず、どちらかというと、父親が好きだったので、いつも、姉と父親との板挟み。
母親は、父親の代わりに外へ出て働き、家族を養っていました。いつも500円玉をトシに渡し、パンでも買いなと出かけて行く母親。そんな毎日でも、2人の姉弟にとっては、しあわせな時間だったんです。ある日、父親は病気になり、治療のかいなく他界。
今まで、嫌だ嫌だと思っていた父親でしたが、何となく、ぽっかりと穴が空いた様な気持ちになるサキ。そして、サキは、家を出て結婚。子供も生まれたのですが、夫のDVにより、実家に戻ってきました。娘を連れて、ドライブイン蒲生に。昔は、嫌だった実家も、今は、唯一、帰れる家であり、家族の待つ場所なんです。そして、ドライブイン蒲生は、今も、家族の砦であり、外と闘う為の準備の場所。家族を護ってくれる唯一の場所。その場所には、今も、蒲生の父親の影が息づいている。
こんな雰囲気の映画でした。家族って、近くにいる時は、ウザいと思ったり、汚いと思ったり、本当のありがたさが解らないかも知れない。でも、一度、外に出てみると、家族というものが、自分にとって、何だったのかという事が見えてくると思うんです。もちろん、全ての人間が、家族が好きだとは思いません。どうしても、家族と上手く行かないと言う人もいるでしょう。でも、一歩引いて見てみて下さい。何が、自分の家族には足りないのか、何が悪いのか、考えてみると、解ってくるかも知れません。
それは、もしかしたら自分自身が家族にとって、悪いのかも知れない。自分が子供だから、家族と上手く行かないのかも知れない。自分の事しか考えていない自分が、悪いのかもしれない。いつもいつも、人の責任にしてはいないか、一歩引いて、考えてみて下さい。きっと、何か答えが出てくると思います。まぁ、とんでもない親も居ますけどね。(笑)そういう親は、大人になっても、親になっても、自分の事しか考えられない子供なんです。諦めて、相手にするのは辞めましょう。(笑)
ま、難しいことは置いておいて、いつも見守っていた父親に気が付いた姉弟は、大人になり、また、ドライブイン蒲生で、蒲生の家の人間として生きて行くということ。

父親が、蒲生はコスミンスキーの子孫だっていう話が出てくるのですが、コスミンスキーって、「切り裂きジャック」の犯人とされて、証拠不十分で釈放された人らしいんです。現代のDNA鑑定をしてみたら、切り裂きジャックの仕業とされたいくつかの殺人は、やっぱりこのコミンスキーの仕業だろうと言われているらしいです。なんでそんな事を信じてたのかは解りませんが、外と闘う為に、自分に力を付けていたんでしょう。なんか、可愛いでしょ。そんな父親の言葉を信じて、サキとトシは、これからも頑張って生きて行くのでしょう。
私は、この映画、お勧めしても良いと思います。何か、凄い事が起きるわけでも無いのですが、何となく、この姉弟の気持ちが伝わって来て、家族の大切さ、親の大切さを理解した子供たちが、大人に成長したということが描かれていて、とっても良かったです。でも、単館系の映画に慣れている方なら良いけど、ずーっと同じテンポで進んでいくので、アクション映画などが好きな方には、あまり好まれないかも知れません。気になったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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