東京フィルメックスにて、「プレジデント」を観てきました。
ストーリーは、
ヨーロッパで亡命生活を続けているモフセン・マフマルバフがグルジアで撮影した最新作。舞台は老独裁者に支配されている架空の国。ある日、クーデターが勃発。妻と娘たちはいち早く国を脱出してしまい、残された独裁者は幼い孫を連れて逃亡の旅に出る。ボロボロの服を着て旅芸人に扮した独裁者は、行く先々で自分の圧政のために苦しんできた人々を目撃する......。
というお話です。
この映画、面白かったです。今までに無い内容に、驚きと嬉しさが湧いてきました。これ、観客賞を貰っただけの事はありますね。いやぁ、面白いです。とっても楽しめました。
ある国の独裁者のお話なのですが、あまりの酷さに国民が我慢出来なくなり、クーデターが起こります。車で移動中にクーデターが起こり、孫と二人で逃げなくてはならなくなります。さっきまでは、全てが自分の思い通りになっていたのに、突然、逃亡者となり、小さい孫息子は、理解することが出来ません。それでも、逃げなくては殺されてしまいます。
ある床屋に逃げ込み、衣服を盗み、髪を切ってもらって、ちょっとした変身をして、また、孫と逃げ始めます。政治犯の老人歌手の扮装をして逃げていると、今まで、政治犯として独裁者の部下に捕まり、拷問を何年も受けていた男性たちや、食べるものも無くて小さいのに働いている子供などに会い、今までの自分のしてきたことは何だったのかと考え始める独裁者。
もし、見つかったら、必ず殺されるような状況の中、なんとか海まで辿り着き、船で他の国に脱出しようと思っているのですが、国境に近づくにつれ、兵士の数も増え、まして、時間が経てば経つほど、独裁者の首の懸賞金は高額になり、誰もが、独裁者を追う者となります。
見つかりそうになりながらも、何とか、海近くまで辿り着いた独裁者と孫は、無事に国外に出る事が出来るのか、それとも・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画を観ていると、もちろん、独裁者は悪い奴なんだろうけど、でも、誰が彼を独裁者というものにしたのかということを考えさせられます。誰かが持ち上げたんですよね。彼が一人で独裁者にはなれない訳だから、人民が、誰かに面倒な事をやらせて、自分たちは、簡単にそれに従っていれば楽で居られると思ったから、そうなった訳でしょ。彼に国としての仕事を押し付けたんですよね。

きっと、最初は、彼も、トップになったんだからと、国民に良い政策を取っていたんだと思うんですけど、段々と、それが、面倒になって、自分の都合の良いように曲げて行ってしまったんです。でも、それを責められる国民っているのかな。自分たちが、自分たちのトップを管理出来なかったからでしょ。うーん、難しいですよね。誰もが、誰かがやってくれるからって言う気持ちで居た報いを受けているとしか思えず、最後の方は、独裁者の方が可哀想になって来てしまいました。
どんな国でも、トップになる人は必要だけど、それを監視する人間も必要なんです。勝手にやらせておけば上手く行くなんてあり得ないんですから。だからと言って、何でも文句を言うのはおかしいです。自分たちが選んだ人なんだから。この部分のやり方は良いと思うけど、これはダメでしょっていうのを、しっかり相手に伝わるように監視して行かなくちゃ。そして、もちろん、トップの座に就いたら、全てが許されるなんて思わずに、いつも誰かの監視の目があるんだと思って欲しい。
この映画、私は、とてもお勧めしたいと思います。内容が良いので、誰が観ても、簡単に善と悪が決められないと言う事が解って貰えると思います。そして、私たちの国だって、ちゃんと国民全てが、政治家や公務員を監視する事が大切なのだと思って貰えるのではないかと思いました。日本公開は、来年です。既に、配給も決まっているので(シンカ)、少し待っていてくださいね。この映画は、今回のフィルメックスで、観客賞を取りました。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
東京フィルメックス 2014 http://filmex.net/2014/