東京フィルメックスにて「マップ・トゥ・ザ・スターズ」を観てきました。
ストーリーは、
セレブを相手にしているセラピストの父ワイス(ジョン・キューザック)、ステージママの母クリスティーナ(オリヴィア・ウィリアムズ)、人気子役の息子ベンジー(エヴァン・バード)から成るワイス家は、誰もがうらやむ典型的なハリウッドのセレブ一家。しかし、ワイスの患者で落ち目の女優ハバナ(ジュリアン・ムーア)が、ある問題を起こして施設に入所していたワイス家の長女アガサ(ミア・ワシコウスカ)を個人秘書として雇ったことで、一家が秘密にしてきたことが白日の下にさらされ始める。
というお話です。
ハリウッド社会の裏側を赤裸々に描いていて、驚くような展開が待っています。
これ、ネタバレ出来ないけど、すごい恐ろしい話なんです。神に背く行為を、重ねて行ってしまうという、完璧に許されない話なんです。でもね、それを話せないところが、困っちゃうんですよねぇ。話せないとなると、この話、説明が出来ないのよ。感想も書きにくいっす。とりあえず、ネタバレしないように気を付けながら書いていきますね。
人気子役のベンジーは、セラピストの父ワイスとマネージャーもどきの母に守られて、ハリウッドで暮らしています。父親は、ハリウッドセレブのセラピストで、本も出版しているような人物のなので、ワイス一家はセレブです。ビバリーヒルズの豪邸に住み、仕事も順調に過ごしています。
しかし、この一家には、あまり公に出来ない問題があります。実は、ベンジーの上に長女アガサがいるのですが、何年か前に、ベンジーに睡眠薬を飲ませて、自宅に放火したんです。なんとか助け出されたベンジーとアガサですが、アガサが弟を殺そうとしたということで、病院に入れて隔離し、ベンジーから引き離しました。またベンジーに手を出したら大変だからです。
そして、今、18歳になったアガサは、成人になったことで、病院から出る事が出来て、また、ハリウッドにやってきます。まず、アガサは、ロバート・パティンソン演じる、売れない役者で運転手をやっているジェロームと出会い、ビバリーヒルズのスターの家が書いてあるマップがあるかしらと聞きます。そんな事で仲良くなった2人は、それからも会う事になります。

アガサは、女優のハヴァナの個人秘書の仕事を得て、彼女の元で働きながら、ワイス家に近づくチャンスを狙っています。ハヴァナは、落ち目になってきていて、自分の母親の自伝が映画化されると聞き、母親の役を取る為に、色々なツテを使い、役を取ろうと画策しています。しかし、あまり上手く行かずに、イライラが募り、奇行を重ねたり、醜態をアガサの前で晒します。
ワイス家を描く場面と、ハヴァナを描く場面が、交互に繰り返され、ハリウッドセレブなどと言って、ありがたがられているのは一瞬だけ。あっと言う間に、世代交代があり、忘れ去られ、捨てられて、必要と無くなった人々は、その場を離れるしかなくなるんです。とってもシビアで、とってもリアルで、大笑いしながらも、怖いなって思いました。
このワイス家かハヴァナの事で、神に背くことがあるのですが、それによって、アガサが狂わずにいられなくなってしまったというのは、確かに解りました。そりゃ、人を見る目も変わるし、自分だって、イヤになってしまうと思うんです。それは、正さないとなぁって思うよね。真面目なら真面目なほど、これは、ダメでしょって思ってしまいました。可哀想でした。
この映画を観ていて、ハリウッドという場所には、沢山の人間の天国と地獄、喜びと悲しみ、快楽と苦しみが渦巻いていて、この場所で育って行く子供たちには、そのドロドロした怨念のようなものが見えているのかも知れないなと思えました。だから、ここで育って大人になったハヴァナも、アガサやベンジーも、何かハズれた人間となってしまっているように思えます。怖い話だなって思いました。
私は、この映画、お勧めしたいと思います。特に、映画が好きな方には、このハリウッドという場所の怨念のようなものが解って貰えると思います。面白いと思いますよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・マップ・トゥ・ザ・スターズ@ぴあ映画生活