【TIFF2014】「草原の実験」無垢な少女が生きていた世界を、一瞬で壊すものは何?! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

東京国際映画祭にて、「草原の実験」コンペティション部門を観ました。7日目の2作目です。


ストーリーは、

広大な草原地帯。やんちゃな父と美しく優しい娘が、静かで平和な日々を送っている。そんな娘に、ふたりの青年が恋をする。三角関係はやがて、全く意外な方向に進んでいく…。
ほのぼのとした父娘の関係や、その娘とふたりの青年の三角関係といった素朴な物語を、計算し尽くされた構図で切り取っていく鮮烈なビジュアルセンスに圧倒されるドラマ。しかし、終盤に突如叩きつけられるメッセージが、それまでの映画の印象を一変させてしまう。

というお話です。


草原

驚くことに、無声映画です。全くセリフがありません。ビックリしちゃいました。でも、その表情と仕草で、気持ちが伝わってくるし、ちゃんと会話をしているんです。ストーリーだって、ちゃんとあるんですよ。ちょっと解りにくいところは、監督のQ&Aで教えて貰ったので、納得が行きました。もし、日本公開するなら、チラシなどで、ある程度のストーリーを解説しておかないといけないかもね。

草原

草原地帯に暮らす、父娘。父は、とても穏やかそうな表情で、楽しそうに暮らしています。いつも、トラックで仕事に出かけ、帰ってきます。娘は、そんな父親を待ちながら、穏やかに暮らしていました。ある日、父親と出かけて娘だけ帰って来る途中で、ある部族の男と出会います。男は馬に乗っていて、娘を後ろに乗せ、気持ち良さそうに草原を走り、今まで父親としか関わりの無かった娘は、しあわせを感じます。

ある日、家で父親を待っていると、家の近くの道路でエンストした車がありました。その車に乗っていた白人の男性が、娘の家に水を貰いに来ます。一目合って、2人は惹かれあったのかなと思ったのですが、その出来事の後、男は、何度か、娘の家に通ってくるようになります。

草原

娘は、父親との生活で十分だったのですが、ある日、父親が死んでしまい、途方に暮れていると、2人の男が現れ、娘にどちらを取るか、決断を迫ります。娘が選んだのは・・・。後は、映画を観て下さいね。

大草原で暮らす父と娘の映像は、とっても美しくて、太陽の光が降り注ぐ、温かい雰囲気を与えてくれました。娘役のエレーナ・アンさんは、まるでジブリのアニメに出てきそうな可愛さを持っていて、私は、未来少年コナンのラナか、ラピュタのシータかと思ってしまいました。このエレーナさん、ロシアと韓国のハーフだそうです。


草原

話の解説ですが、1949年にカザフスタンで起きた事件にインスパイアされて、この作品になったそうですが、どんな事件かというと、実は、第二次世界大戦の終戦時に日本に原爆が落とされ、ロシアは、アメリカに恐怖し、自分の国も核開発を急がなければということで、核実験を行ったそうなんです。当初は、どれ程の威力があるかもわからず、爆心地から10kmほどしか危険区域を設定せず、住民の避難を行わなかったんです。


草原

この映画の中では、父娘が住む家は、核実験現場から10km圏外ではあったけど、実際に被曝してしまうのはもっともっと広い地域に広がり、この家もやられてしまうんです。父親は、この核施設に勤務しており、娘をトラックから降ろすのは、そこから先は10km圏内になってしまうからだったそうです。それが、裏話として監督からお話されました。

しあわせな時間は、核爆発によって破壊され、後には何も残らない。父親が突然に、若くして亡くなったのは、核施設に勤めて居たから、被爆していたからだと思われます。そんな深い裏話があり、その犠牲になる何も知らない娘の悲劇は、底知れないと思いました。

草原

私は、この映画、お勧めなのですが、日本公開は難しいかなぁ。何故かと言うと、監督自身が、この映画は、シネコンのようなところで上映される映画では無く、映画祭などで上映するタイプの映画だよね、っておっしゃっていたので、何となくわかるでしょ。もし、観る機会があったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。カメ




東京国際映画祭「草原の実験」    http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=29