東京国際映画祭にて、「闘犬シーヴァス」ワールド・フォーカス部門を観ました。7日目の1作目です。
ストーリーは、
トルコ東部、アナトリア地方。11歳の少年アスランは、傷ついた闘犬シーヴァスを介抱し、そのまま飼うことに。彼の学校では「白雪姫」の芝居の準備が進んでおり、アスランは王子の役を希望するが、村長の息子オスマンがその役を射止め、しかもアスランが想いを寄せるアイーシャが白雪姫役でオスマンと共演することになってしまう。一方、傷の癒えたシーヴァスはめきめき強くなって連戦連勝。だが、それを知った村長がシーヴァスに関心を持ち、大人たちの思惑のなか、アスランとシーヴァスに暗雲が垂れ込めはじめる…。
というお話です。
難しい話ではありませんでした。ちょっと、物足りない感は否めないですが、そのメッセージは、強く伝わってきました。闘犬のお話なので、犬の事をかわいく撮るとかはありませんでした。
アスランは、小学校に通う男の子。好きな女の子にも近づけず、他の友達にいじられて、ちょっとイジケてる感じのアスランです。ある日、お父さんに飼っている馬が高齢になったので、その辺りの草原に捨てて来いと言われ、嫌々ながらも、お兄さんと捨てに行きます。お兄さんが途中でサボって、アスランに丘を越えた草原に捨てに言ってこいとバックレてしまい、仕方なく一人で馬を連れて行きます。

草原に着き、馬具を外して、どこかに行けと追い払うのですが、馬は少し歩いては、また戻って来てしまいます。アスランは追い払おうと思い、石を投げつけると馬に当たってしまい、馬は倒れて、そのまま死んでしまったように見えます。驚いたアスランはお兄さんを呼びに行くのですが、馬のところに戻ってみると、馬が消えています。死んでいたのに、どこに行ったんだろうと探しますが見つからず、お兄さんは、きっと死んでいなかったんだというんです。
その後、お父さんに闘犬に連れて行って貰い、その戦いを観ていたら、負けた犬は倒れて、死んだように動きません。誰もが、そのまま犬を捨て置いたのですが、アスランは、犬も生きているのではと思い、犬の世話をやき始めます。闘犬シーヴァスは、最初、アスランを威嚇しているのですが、その内、自分を思ってくれていると言う事を理解し、慣れて行きます。

体調も治り、友達の闘犬と闘わせてみると、あっと言う間にシーヴァスの勝ち。シーヴァスは、負ける事が無く、最強となり、業者も売って欲しいと言ってくるのですが、アスランにとってシーヴァスは、闘犬でありながら友達であり、売らないし、もう戦わせたくないと思うんです。
そんな時、お父さんが、アスランに、闘犬は闘犬であり、ペットでは無い。闘犬は闘犬以外では無いんだと教えるんです。
この映画は、それぞれに役割があるって事を言っているのかなって思いました。シーヴァスは、闘犬なのだから、闘うのが役目です。ペットとして飼われる犬では無いんです。もし、アスランが、シーヴァスにペットとして生きる事を強いたら、シーヴァスが苦しむ事になる。闘犬は闘犬として生きるのが幸せだって事なのかなって思いました。
人間だって同じです。ボクサーはボクシングで試合をする事が幸せであり、俳優は演技の仕事が出来る事が幸せでしょ。ボクサーに、会社で事務をしなさいと言っても耐えられないと思うんです。周りから見れば、それは辛い仕事かも知れないけど、その人にとっては、それが生きがいだったりする事ってあるんです。だから、簡単に辞めさせたりなんて、してはいけないんです。難しいでしょ。
私は、この映画、お勧めともダメだとも、どちらとも言えないです。良い事を言っているようにも思えるのですが、ちょっと解りにくいのと、話に波が無いので、万人受けはしないと思うんですよね。日本公開も決まっていないし、もし、観れる機会があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
東京国際映画祭「闘犬シーヴァス」 http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=127