東京国際映画祭2014にて、「壊れた心」コンペティション部門を観ました。5日目の1作目です。
ストーリーは、
犯罪者のボスが暴力で支配しているマニラのとある場所。彼は権力を維持するため、宗教と暴力を使っている。迷信とこれみよがしの奇策を使っても上手く行かない時は、配下のならず者たちに始末させていた。彼は、最も忠実な部下に自分の女を護衛させる。女はわがままかつ直情的な性格で、しばしばトラブルに巻き込まれる。やがて、女は部下と恋に落ち、ふたりは町を離れる事を決意するが、争いは避けられず、逃走劇の最中に、2人はお互いを良く知る事となるのだが、既に追手は直ぐ近くまで迫っていた。
というお話です。
劇中、ほとんどセリフがありません。それぞれのキャラクターが、少しづつ話してはいるのですが、会話として成立している訳では無いんです。それでも、話はちゃんと出来上がっていて、理解出来るんですよ。話としては、難解なものでは無いので、誰が観ても、大丈夫だと思います。でも、この映画は、話を観るよりも、映像や、展開、作り方を観る方が面白いと思います。私は、多国籍多民族映画と認識したのですが、これだけワールドワイドになると、面白い映像が取れるんですねぇ。
浅野さん演じる日本人の殺し屋が、マニラのマフィアのボスに気に入られ、そこの仕事を受けています。仲間とも打ち解け、ボスの女の護衛を任されているのですが、女は奔放で、殺し屋を誘惑します。殺し屋は、ダメだと解っていながらも、彼女に惹かれて行き、恋に落ちてしまいます。
2人の関係に気が付いたボスが、殺し屋を始末する為に、仲間を差し向けるのですが、それに気が付いた女が、殺し屋を連れて逃げます。逃げながら、2人の距離は縮まり、ひと時、2人の幸せな時間が続くのですが、すぐ後ろに追手が迫り、とうとう女は殺され、殺し屋にも手が伸びて・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、話を中心に観てしまうと、面白さが無いと思います。取り方と、映像の美しさかな。それが、今までとは、ちょっと違う映画なんです。まして、それぞれのキャラクターたちが、言葉も違うし、バラバラに見えるんだけど、心で繋がっているので、表情を見ているだけで、会話が成立しているんです。そのコミュニケーションだけ観ていても、面白いですよ。
映像の事を書かなければならないかな。色々な映像が使われているのですが、浅野さんの手にカメラを持たせるというか、何て言ってたかな、手に付けるタイプのカメラを付けて、凄い勢いで逃げている姿を映すんです。それがとっても面白かったんですよ。勢いがあって、へぇ~と思いました。まだまだ、新しい映像が、色々あるんですね。
あまり難しい事は解りませんが、私には、新しい映像の試み、新しいワールドワイド的な映画の撮り方って、こういうモノなのかなって感じました。とにかく、新しいものを観せて頂いたって感じがしました。
私は、この映画、お勧めして良いと思いますが、映画を話で観たい方には、話として面白いかというと、ちょっと違うので、何ともお勧めが出来ないかな。でもね、映画というものに興味がある方なら、この映画、観る価値があると思いますよ。パワーが溢れていて、とても楽しめると思います。きっと、日本公開してくれるんじゃないかなぁ。だって、浅野さんも出演しているしね。もし、観る機会があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。![]()
東京国際映画祭「壊れた心」 http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=27