東京国際映画祭2014にて、「紙の月」コンペティション部門を観ました。3日目の2作目です。
ストーリーは、
バブル崩壊直後の1994年。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている。細やかな気配りや丁寧な仕事ぶりで顧客からの信頼も得て、上司からの評価も高い。何不自由のない生活を送っているように見えた梨花だったが、自分への関心の薄い夫との間には、空虚感が漂い始めていた。そんなある日、梨花は年下の大学生、光太と出会う。光太と過ごすうちに、ふと顧客の預金に手をつけてしまう梨花。最初はたった1万円を借りただけだったが、その日から彼女の金銭感覚と日常が少しづつ歪みだし、暴走をはじめる。
というお話です。
コンペに、1作だけ入った日本映画なので、楽しみに行ってきました。映画上映の前に、宮沢さん、池谷さん、監督の、舞台挨拶があり、マスコミが、また、凄かったな。彼らは礼儀とか恥らいって言葉を知らないらしい。これは映画祭で、観客はお金を払って観にきてるんです。無料の完成披露試写会とかとは違うんですよ。まして、海外からのお客も来てるのに、みっともないったら。せめてスーツで来いっつーの。ヤダヤダと思ってしまった。
話戻して、映画の感想を。
銀行のパートから契約社員になり、ちょっと嬉しい、主人公の梨花。仕事を任され、初めての契約も取れて、そのお給料で、夫とのお揃いの時計を買い、プレゼントします。でも、その時計は高価な物ではなく、夫の趣味には合わないようでした。
それからも順調に仕事をこなしていたある日、夫が、出張から帰ってきて、高価な時計を梨花にプレゼントし、海外転勤が決まった事を話します。ハッキリ言おう。これは、ピキッとキレますよ。妻は、家計の事を考えて無駄使いはしなかったし、せっかく仕事を覚えて、これからだという時に、はい、転勤だから仕事を辞めてくれとか、簡単に言う男が悪い。ダメでしょ。妻を自分の付属品としか考えてないんですよ。腹立ったなぁ~。
で、モチロン、梨花もキレまして、転勤に付いて行かないって宣言します。ま、当たり前でしょ。いくら夫婦でも、許されることと、許されない事があるって。それに、梨花には、年下の恋人が出来てしまいまして、今まで、真面目に生きてきた梨花は、どっぷりのめり込んでしまうんです。男に免疫が無いと怖いよねぇ。若い子が真剣に付き合う訳ないでしょ~!気を付けよう、暗い夜道と若い男。(笑)
1人になった梨花は、それまで、こっそりとやっていた横領を、大胆に、大規模に行っていきます。いやぁ、ここまでやっちゃったら、後戻り出来ないよね。恐ろしいと思いました。でも、こんな偽装だったら、直ぐに見つかりそうなのに、どうして見つからなかったんだろう。それだけ、銀行の管理って、ずさんだと言う事でしょうね。大体、外回りの人間に現金を預けるなんて、恐ろしいと思わないのかなぁ。
確かに、お金って、使い始めると歯止めが効かなくなるとこってありますよね。私も分かります。だから。自分で、最初から境界線を、ひいておかないと、こうなってしまうのも、解らないではないんです。でも、それをしないのは何故かというと、家族に迷惑がかかるから。その家族がどーでもいいって思っちゃったら、やるかもしれませんね。後のことはどうでもいいと思ってしまったら、罪だろうと、なんだろうと、してしまう。
そして、結末へと転がり落ちていくのですが、後は、映画を、観て下さいね。見所は、宮沢さんの変わりっぷり、落ちっぷりです。お金を好き勝手に使うときは、キラキラ輝いているんですが、お金がキツくなってくると、眉間にシワが寄って、恐ろしい形相になっていくんです。それが、凄いです。
同僚の隅役で、小林さんがいるのですが、宮沢さんの役とは対象的に、自分を制御する女性の役なんです。でも、2人が相対する時、小林さんの役の隅も、何も考えずに動けたらどんなに楽だったかという気持ちがみえるんです。誰もが、梨花のように、全てを、捨ててしまいたくなる時があるのでしょう。一歩踏み出してしまった女の行く末を、ぜひ、楽しんでください。
私は、この、映画、お勧めしても、良いかなと思います。でも、今一つ、物足りない気持ちが、残ったのは、何なのかな。俳優さんも良かったし、音楽も良かったんだけど、なんだろう。1994年という設定が、どーも、古そうに見えて、違和感があったのかな。バブルの後と言われても、あまり良く覚えていなくて、洋服のデザインなどが古いなぁって感じで、イヤだったのかも知れません。でも、映画は面白いので、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
東京国際映画祭「紙の月」 http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=21
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