東京国際映画祭2014 にて、「マイティ・エンジェル」を観てきました。2日目の2作目です。
ストーリーは、
イェジーは著名な作家だが、慢性のアルコール依存症だ。彼は自らのウィットと魅力で酒の問題をカムフラージュしている。彼は頻繁に訪れるリハビリ・センターで、あらゆる階級の様々な社会背景を持つ仲間のの依存症患者と出会う。いや実は、イェジーの活発な想像力がこれらの人々を作り上げているようだ。彼がアルコール依存症に深く沈みこんだとき、彼の心は自分自身と戯れ、時は存在しなくなる。イェジーはアルコール依存の大きな回転式コンベヤーに引っかかってしまっている。リハビリは逆戻りしてしまい、アルコールを原因としたひどい屈辱感が引き起こされる。
というお話です。
まず、最初に、この映画、吾妻ひでお先生の「失踪日記」「アル中病棟・失踪日記2」を思い出しました。同じような内容のポーランド版なんです。どの国でも、アル中で苦しむ人は、こんな感じなんですね。だって、主人公のイェジーも、有名作家で、吾妻ひでお先生も、有名漫画家でしょ。だって、一時は、石ノ森章太郎先生や赤塚不二夫先生と肩を並べるほどだったでしょ。私、実は、一度、吾妻先生の事務所にお邪魔したことがあるんです。その頃は、まだアル中じゃなかったと思うけど。(笑)
主人公のイェジーは、アルコール依存症であることを解っているので、なんとか誤魔化しながら、仕事も結婚も、乗り切っていたのですが、それが、どんどん酷くなると、リハビリセンターに入るんです。で、しばらくすると、自分で抑制が出来るかなって思っちゃって、出てきちゃうと、また、同じようにガマンが出来なくなり、失敗するということの繰り返し。もう、誰からも信用がされなくなって行くんです。
この、何処まで行っても逃れられないサイクルは、彼を妄想の世界に引き込んでいきます。何度も何度も、同じ事を繰り返しているようで、ちょっとづつ違っていたり、それが、本当にある事なのか、頭の中だけで起きている事なのか、既に、全く区別が付かなくなっているんです。これ、怖いですよねぇ。自分が自分であるのかさえも、良く解らなくなっちゃうんじゃないかなって思いました。
このアルコール依存症の恐ろしい世界をこれでもかって言うほど描いていて、観ていて、こちらもアルコールに酔っているのではないかと思うほど、頭の中がこんがらがってきてしまいました。
この映画、アル中の世界を最初から最後まで描いているので、感想の書きようが無いんです。恐いとか、関わりたくないとか、そんな事を思う以外、同情出来ないんですよね。何とも言いようがありませんでした。ゴメンナサイ。
私は、この映画、あまり好きじゃないかな。吾妻先生の「失踪日記」の方が、読んでいて辛く無いです。この映画は、観ているこちらが疲れてしまって、辛くなりました。日本公開は解りませんが、もし、観る機会があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
東京国際映画祭「マイティ・エンジェル」 http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=17
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