「悪童日記」を観てきました。
ストーリーは、
第2次世界大戦末期の1944年、双子の兄弟(アンドラーシュ・ギーマーント、ラースロー・ギーマーント)は、都会から田舎に疎開する。祖母(ピロシュカ・モルナール)は20年ぶりに戻った娘(ギョングベール・ボグナル)との再会にも不満顔。双子たちだけが農場に残され、村人たちに魔女とうわさされる祖母のもとで水くみやまき割りなどの仕事をこなしていく。
というお話です。
戦争の中、双子は目立つからということで、母方の祖母の家に預けられた双子の兄弟。それまでは、大きな街に住んでいて、何不自由無く暮らしていました。祖母は厳しく、作物や家畜の世話など、沢山の仕事を言いつけられ、文句も言わずに働いています。戦争は、悪化の一途をたどり、その火の手は、すぐそばまでやって来てしまいます。
過酷な戦時下で、双子は、生き抜くために必要なことは何でもするように成長して行きます。今では犯罪である盗みもゆすりも、何でもしなければ生きて行けないんです。ある日、近くの山の中で兵士の死体を見つけ、驚いた2人は、その兵士を葬り、武器を隠すことにします。その後、”解放者”と言われる味方かもと思われる人々が進軍してきて、助けられるのかと思いきや、”解放者”たちは、隣人の少女を暴行して殺して去って行きます。あまりの酷さに目を覆う2人ですが、その少女の母親が絶望して、死にたいと頼み、双子は、その家に火を放ち、少女と母親を葬ります。
秩序も何も無い世界で、2人の少年は、生きる為、助ける為に、殺人も厭わず、聖書と辞書だけで養った知識で、過酷な世界を生き抜いていきます。そして、双子を迎えに来た母親、父親と、彼らがどう向き合ったのか、そして、双子が最後の最後に選んだ道とは何だったのか、映画を観て下さいね。
私は、結構、衝撃でした。生きるという行為は、人間というか生き物の一番強い本能なんですね。彼らが、大変な出来事に出会う度に、凄いスピードで考え、その事件を回避していく姿は、”生きる”という行為を生々しく表していました。理性とか、キレイ事を言っている場合ではない戦時下で、彼らは、生きる為に、殺人も平然と行うようになって行きます。

でも、その殺人は、自分の利益の為だけでは無く、もう、先に、未来が見れない人々を救うために、行っているように見えました。もちろん、殺人を行えば、彼らの心にも負担になるだろうに、それさえも克服出来るように成長して行くんです。
子供たちを、こんな風に成長させてしまう戦争って、本当に起こしてはいけないと思うような内容でした。そして、戦争が、人々の心をを変えてしまい、普段ならやらないような酷い事も出来てしまうのだという事が描かれていました。敵に進行され、その支配下で苦しんでいたところに、解放者が来てくれて助かったと思うと、今度は、解放者に惨殺されてしまう。戦争下では、誰もが狂ってしまい、正しい人間など居なくなるのだということが判ります。
私は、この映画、お勧めしたいと思いますが、結構、暗くて重い内容なので、元気な時に観ないと、辛くなるかも知れません。でも、戦争というものが、子供にどれ程の影響を与えてしまうかということが良く分かります。戦争が、子供を大人にしてしまうんです。それも、強くて暗い大人に。出来れば、子供は明るく育って欲しいし、年相応に成長して欲しいですね。この映画、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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