「めぐり逢わせのお弁当」を観てきました。
ストーリーは、
インドの大都会ムンバイでは、ダッバーワーラーと呼ばれる弁当配達人たちがランチタイムに弁当をオフィスに届けて回る。ある日、主婦のイラ(ニムラト・カウル)が心を込めて作った弁当が誤ってサージャン(イルファン・カーン)のもとに届く。イラは料理を通じて夫の愛を取り戻したいと願い、妻に先立たれたサージャンは久々の手料理の味に心動かされる。
というお話です。
出会いそうで出会わないというところが、今、流行りの「昼顔」にならなくて嬉しい限りです。何でもかんでも、男と女にしちゃったら、面白味が無いでしょ。やっぱり、ある程度、節操を持って、どこかで止めて行かないと、ただの動物、いや、最近は動物だって、決めた相手が居るから、まるで昆虫のようですよね。とりあえず、何でもいいって感じ?それって、イヤだなぁ~。
主婦のイラは、夫にランチ用のお弁当を作って、配達人に頼んだのですが、何故か、違う人のところに届いてしまいます。決して間違わないハズのシステムなのに、何故か、違う人に届くお弁当。イラは、誰に届いているのか気になり、メモに手紙を書いて、お弁当に入れる事にします。
サージャンは、いつもより美味しいお弁当に喜び、お弁当を頼んでいる店にお礼に行くと、自分が食べたお弁当は、その店のものとは違う事に気が付きます。誰のお弁当だろうと不思議に思っていたら、ある日、メモが入っていて、ある女性が夫に作っているお弁当と入れ替わっていることを知ります。
それからは、イラもサージャンも、顔も声も知らない相手に、自分の悩みや気になっている事を相談し、それが、生きがいのようになって行きます。知らないからこそ話せる事もあり、まるで、初めて恋をした二人のように、手紙を心待ちにするようになるんです。そして、イラは、夫が自分を顧みなくなっている事に気が付き、段々と、気持ちがサージャンに傾き、一度、会いたいと手紙に書くのですが・・・。その後は、映画を観て下さいね。
この映画の上手いところは、ワザとらしく何度もすれ違わせるという、観ている人をイライラさせるような事をしない事。マディソン郡の橋とかだと、何よぉ~、そこに居るじゃないのぉ~っていう場面が何度か繰り返されたりするでしょ。でもね、これは、出会えないのは、出会いたくないから。ちゃんと、理由がしっかりしていて、神様のイタズラ的な事じゃないんです。普通は、そうだよね。とても現実的でしょ。だからこそ、とってもリアルなの。
イラは、とっても良い奥さんなんだけど、良い奥さん過ぎるんです。やっぱり、何でも程々が良いんだと思いますよ。何の文句も言わずに、夫の言いつけ通りなんて、全く面白くないでしょ。たまには凄い喧嘩をしたり、文句を言ったり、だらしない事をしたり、悪い事をしたり、色々在るからこそ、お互いに助けなくちゃと思う訳で、何の心配も無かったら、夫は浮気もするし、遊びも派手になります。悪い妻になるのは困るけど、可愛い妻になった方が得ですからね。完璧に出来るとしても、やらない事も必要です。
サージャンは、妻に先立たれ、寂しい一人暮らし。仕事は完璧だし、経済的にも問題が無く、ちょっとガンコ親父って感じなんです。早期退職をするため、後輩に仕事の引継ぎをするように言われても、若いチャラ男に教える気にもなれず、適当にあしらっているのですが、お弁当の件が起きて、少し、周りの人間にも目を向けるようになるんです。そうすると、後輩のチャラ男にも色々な悩みがあったり、近所の子供たちもとても良い子たちだったりして、誰もが温かいんだって事に気が付くんです。
一つの手紙によって、2人の人間が、内に押し殺していたものを吐き出し、解放されて行くというところが、良いなと思いました。同じ生活を続けていたら、決して気が付かなかったものってあるんですよね。そして、2人は、出会う事が出来るのか、それは、映画を観て考えて欲しいのですが、ちょこっとネタバレで、ここに書かせてね。私は、2人はきっと、出会えるのではないかと思いました。だって、最後にサージャンが電車に乗っている場面があるのですが、お弁当配達人さんと一緒に乗っているんですもん。きっと、イラを探してくれているのではないかと思いました。
私は、この映画、とってもお勧めしたいです。でも、「マダム・イン・ニューヨーク」よりは、ちょっと落ちるかな。でも、好きな映画でした。インドのお弁当って、美味しそうですね。それに、ランチを温かいうちに届けてくれるなんて、そんなステキなシステム、羨ましいです。でも、奥さんは大変だよね。専業主婦じゃないと、これは難しいだろうなぁ。私も、奥さんが欲しいです。(笑)ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。