「ケープタウン」を観てきました。
ストーリーは、
ある日、南アフリカのケープタウンで、引退した人気ラグビー選手の娘が殺害されるという事件が発生。2人の刑事ブライアン（オーランド・ブルーム）とアリ（フォレスト・ウィテカー）が捜査を続けていくと、少女とある薬物の売人の関係が明らかになる。その危険な薬物は、ここのところ頻発している子供失踪事件の現場に残されていた物と同じで……。
というお話です。
南アフリカは、マンデラ元大統領のおかげでアパルトヘイトも廃止となり、人種差別も無くなったのかと思われがちですが、まだまだ、その爪痕は残っているんですね。その憎しみは、まだまだ、人々の心の中に巣食っていて、その灰汁のようなものが、色々な犯罪に絡んできていて、犯罪をより難解なものとして、残酷な事件が横行する事となってしまうようなんです。
ケープタウンの刑事ブライアンは、離婚後、養育費も払わず、いい加減な生活を送っています。ブライアンの上司アリは、黒人であり、差別により父親を殺され、自分も辛い思いをしたという過去を引きずっていますが、とても能力の高い刑事です。アリは、ケープタウンで、何人もの子供が消えるという事件を追っているのですが、ある日、海岸で見つかった死体が、有名人の娘であり、学生だと言う事が解ります。
その少女は、今までのドラッグとは違う成分のドラッグを使った形跡があり、その特徴を追って、ドラッグを扱っているギャングのところに踏み込みます。しかし、手がかりは見つからず、協力も得る事は出来ません。手詰まりかと思った矢先、子供同士の争いを見つけ、仲裁をしたアリがドラックの包み紙を見つけ、ブライアンは、警備会社が怪しいと言う事を突き止めます。
子供の失踪、女子学生の惨殺死体、ドラッグ王と警備会社の繋がり、そして、ある研究者の存在。一体、真実は何処にあるのか。誰が犯人なのか、ぜひ、映画を観て確認してください。これは、南アフリカに残った、残酷な真実です。歴史は、まだ彼らに罪を償えと言っているように思えました。
この映画は、南アフリカという特殊な歴史を歩いた国と、そこに住む２種類の人種の、深い闇を描いているので、薄っぺらに表面だけの事件を追っていたのでは面白くありません。何がこの国の問題なのかと言う事を考えて、マンデラ元大統領でも、全ての人の心を癒す事は出来なかったと言う事が解ります。
そして、国の問題だけでは無く、ブライアンという刑事と、アリという刑事の生き方も、同時に描いています。ブライアンは、腕の良い刑事なのに、アル中で女にだらしが無いんです。妻とは離婚して、息子は妻と暮らしています。妻は既に新しい恋人（歯科医）を持っていて、ブライアンは息子に払う養育費も無いような状態。その生活の差に、劣等感を隠しきれないブライアンですが、まだ妻を愛しているように見えました。
一方、アリは、独り身で、母親を大切にする孝行息子。警察でも、素晴らしい成績を収めていて、所長からも良いポストを貰っています。でも、彼は、子供の頃、目の前で差別主義者に父親を殺され、自分も追われて、酷い怪我を負ったんです。その怪我が、今も彼の身体や心を苦しめ、独身のままでいる理由にもなっているんです。マンデラの言葉を信じ、憎しみは捨てたのですが、その心の奥底には、まだ、苦しみや悲しみが残っているんです。
こんな２人が、ケープタウンの闇の部分を暴いて行くんです。人間の闇、社会の闇、いくつもの闇が重なり、悲劇を生みだしてしまう。そんな哀しい映画でした。
私は、この映画、お勧めしたいと思います。社会派ドラマって、こういうのですよね。本当に考えさせられました。もちろん、オーリーの身体もステキでしたよぉ。でも、内容が凄いので、オーリーの身体に喜んでいる場合じゃありませんけどね。南アフリカが、もっと良くなって行くように、祈りたいものです。この映画を観て、人種差別というものを考えてみて欲しいです。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・ケープタウン＠ぴあ映画生活
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