「喰女 クイメ」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
舞台『真四谷怪談』に出演する長谷川浩介(市川海老蔵)、恋人の後藤美雪(柴崎コウ)、美雪の元彼の鈴木順(伊藤英明)、新人女優の朝比奈莉緒。稽古が進む中、彼らの関係は次第に愛欲にまみれていく。男の欲望に喰い散らかされた女の執念は芝居と現実の境を越え、やがて恐るべき狂気へと変貌する。
というお話です。
この映画、結構、グイグイ来る、恐い映画です。イタイ場面は多いのですが、スプラッターではないので、グログロではありません。でも、一般の人から見ると、結構、残酷な場面は多いかな。劇中劇なので、演劇舞台や劇シネを観る方は、結構、楽しめると思いますよ。劇中で演じられている事が、現実でも同じように起きて来て、最初は、あれ?と思っているんだけど、段々と、飲み込まれて、どちらがどちらなのか分からなくなっていくところが、何とも、不気味なんです。
舞台の伊右衛門役の浩介と、岩役の美雪。2人は、舞台共演とは別に付き合っていて、美雪のマンションに帰るような状態でした。そんな仲の2人なのですが、浩介は、いわゆる遊び人で、色々な女の子に手を出すような男でした。
舞台の稽古が進むにつれ、浩介は、若い女優との仲が深くなって行き、美雪の事がウザくなって行くんです。まして、美雪は、浩介との結婚を考え始めていて、子供が欲しいと思っています。まだまだ遊びたい浩介は、このまま美雪にハマるのを恐がっていて、どんどん美雪から離れて行くんです。
この四谷怪談っていう話、現代の男女関係と同じです。いつの時代も、男と女はドロドロした嫉妬の沼の横を歩いている状態で、何かの拍子でハマってしまう事が在りうるんですよね。恐ろしいです。でもね、嫉妬も何も無くなったら、恋愛も無くなってしまうのかも知れません。だって、そういうもんでしょ。悪があるからこそ善もある訳だし、嫉妬があるからこそ、愛も確認出来るんじゃないの?
若い女優に傾きかけた浩介に気が付いた美雪は、嫉妬に取りつかれ、ノイローゼ気味になって行きます。まるで、役に取りつかれたように、セリフと同じような事を言い始めたりします。もー、こいつ、行っちゃってるなって感じでした。そんなゾッとするような美雪から、浩介が離れて行くのって、当たり前じゃんって思うのは、私だけじゃないハズだ。
そして、その後は、映画を観て欲しいです。ここから、盛り上がるぞぉ~。美雪のマンションから現場(舞台稽古場)に行く途中に、道路の工事現場があって、そこに信号が付いているのですが、ここがネックです。普通の1車線の工事現場なんだけど、暗くて怖そうなんです。何か起きそうって感じなの。何が起きるのかは、映画を観て楽しんでね。
それにしても、これ、怖かったです。もちろん、四谷怪談は怖い話ですけど、それ以上に、演出とかが恐いんだと思うんです。舞台を観ている人は解ると思いますが、場面を変えるのに、舞台を回す方式で、その回転が、話の回転、記憶の回転に重なって、何とも、抜けられない悪夢なんじゃないかと思わせるんです。女の怨念からは、決して逃れる事が出来ないのではないかと思えます。
この恐ろしさとゾッとする美しさは、久々のホラー映画って感じでした。最近のホラーっていうと、どーも、笑ってしまうのですが、この映画は、笑えませんでした。私は、この映画、ぜひ、お勧めしたいと思います。暑い夏に、ゾッとしたい方にお勧めです。寒くなりますよ。でも、恐い映画がダメな方は、本当に辞めた方が良いと思いますよ。眠れなくなるかも知れません。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・喰女 -クイメ-@ぴあ映画生活
- 嗤う伊右衛門 [DVD]/角川エンタテインメント
- ¥5,076
- Amazon.co.jp
- あの頃映画 「忠臣蔵外伝 四谷怪談」 [DVD]/SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
- ¥3,024
- Amazon.co.jp
- 四谷怪談――悪意と笑い (岩波新書)/岩波書店
- ¥756
- Amazon.co.jp