「ぼくを探しに」を観てきました。
ストーリーは、
幼少時代に両親がこの世を去って以来、言葉を発することができないポール(ギョーム・グイ)は、伯母姉妹に育てられる。ダンス教室を営む二人はポールをピアニストにすることに夢中で、彼は過去の記憶を心の中に秘めながら孤独な毎日を淡々と過ごしていた。そんなある日、彼はひょんなことから同じアパルトマンで生活しているマダム・プルースト(アンヌ・ル・ニ)と出会い……。
というお話です。
この映画は、微妙だなぁ~。雰囲気は良いし、話も面白いんですけど、イマイチ、その面白さが、表面に出てきていないんですよねぇ。アメリとかの、微妙に狂っている時計のような感じが、この映画には、出てきていないんです。主人公のポールが話をしないというところで、バランスを崩しているんだろ思うんだけど、それが、あまり効いていないんですよ。ポールが話せない事で、少しでも不自由を感じる事があれば、狂った時計の雰囲気が出たんだろうけどね。ちょっと残念。だけど、面白いですよ。
ポールは、両親を小さい頃に亡くし、2人の伯母に育てられています。今は、ピアニストを目指して勉強をしていて、普段は、伯母のダンス教室の伴奏をしています。いつもと変わらぬ毎日を過ごしていたある日、同じアパートに住むマダム・プルーストと出会います。彼女は、ハーブティーを振る舞って、人が忘れてしまった記憶を呼び覚ます手助けをしているようで、何人もの人が訪ねて来て、彼女の助けを受けていました。
たまたま、マダム・プルーストの部屋に入ってしまったポールは、マダムのもてなしを受け、その記憶を少しづつ取り戻していきます。ポールが無くしてしまった両親の記憶は、彼に何をもたらすことになるのか。そして、その記憶によって、彼の人生は、どう変わって行くのか。それは、映画を観て下さいね。
そして、マダム・プルーストとは、一体、誰なのか。彼女の力がもたらした沢山の奇跡は、ポールにとって、良かったのか、悪かったのか。そして、彼女は、何処へ行ってしまうのか。これも、映画を観て下さいね。
ハーブティーを飲みながら、音楽を聞くと、過去の記憶がよみがえるんです。ハーブティーを飲んだ途端に、トリップしてしまうので、それ、危険ドラッグじゃんって思ったのは、私だけじゃないだろうけど、でも、このハーブティーを飲む時は、部屋の中で、何もしない時だけって事だから、人に迷惑をかけないってことで、許してもらえるのかも知れないけどね。
で、記憶を何度にも分けて取り戻していくんだけど、なんか、最初は、断面だけで、それも、本当の記憶とは思えないような、歪んだものになって出てくるから、ええー、どうしてプロレスなのぉ~?とか、とっても変でしたけど、そこ辺りは、変わってて好きでした。
そして、記憶を取り戻していくに連れて、自分の自我というか、毎日、同じ行動しかしていなかったポールが、自分で考えて、色々な行動に移し始めるんです。マダムの為にウクレレを直したり、女の子と知り合ったり、今までには無かった事が、ポールに起こり始めます。今まで、目の前に在っても、目に入っていなかったものが、どんどん、彼の目に写るようになり、人生というものを、自分の足で歩き始めるポールの姿は、まるで、両親が死んだ時から止まっていた時が、動き出したように見えました。
ポールにとっては、衝撃的な変化が訪れますが、それが、彼にとって、良かったのか、悪かったのか、それは、観てのお楽しみです。
私は、この映画、まあまあ、お勧めして良いかな。単館系の映画に慣れている方にお勧めしたいです。そうでない方には、ちょっと、ずーっと淡々と時が進んでいくので、眠くなるかも知れません。但し、最初に書いたように、アメリとかのキュートさを期待していくと、ちょっと物足りないかも知れません。今一つ、輝きに欠けているような気がします。この映画は、この映画で、好きなのですが、色々、比較してしまうと、どうしてもね。でも、気になったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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