「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」クソ生意気なガキだけど、こうやって大人になるんだよね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」を観てきました。


ストーリーは、

大阪の団地で祖父母と両親、そして三つ子の姉たちと暮らす小学3年生の渦原琴子、通称こっこ(芦田愛菜)は、大家族の温かな愛情に包まれながらいつも不満だらけで、孤独に憧れていた。家と学校という限定された世界の中でいろいろなことに悩み、考えるこっこは、祖父・石太(平幹二朗)が教えてくれたイマジンという言葉を胸に少しずつ成長していく。

というお話です。


円卓

派手な映画じゃないんだけど、小学生の目線で描かれていて、この頃は、こんな風に、なんでも不思議に思ったんだよなぁって思うような内容です。芦田愛菜ちゃんが演じている”こっこ”という小学生が、トンデモナイ、クソガキなんです。でもね、それを愛菜ちゃんがやっているから許せるのかも知れない。これ、マジで、下手な子役がやっていたら、クソガキで終わっちゃうもん。子役の力は、恐ろしい。

円卓

この映画、大人が観ないと意味が解らないと思いました。だって、子供が観ても、映画の中のこっこが思っている事と同じ事を考えている訳だから、その素直さとか、日本人の特質の矛盾が解らないんです。大人になって、何も知らない子供が考える事を観て、あー、最初は、解らないだろうなぁと感動出来る話なんです。色々な経験を経て、子供は、大人になって行く。それは、イマジンなんですよぉ。(笑)

こっこは、小学校でも、他の子とちょっと違う女の子。友達が”ものもらい”になり、眼帯をしていると、自分もマネして眼帯をし、友達がパニック障害で不整脈になると、自分も不整脈のマネをしてみたりと、人がやることなす事を羨ましく思い、マネしてしまうんです。


円卓

子供の頃って、人と違う事が起きて注目されるのって、羨ましく思ったりして、自分も同情されてちやほやして欲しいと思い、同じ事をしてみたくなるんだと思うんです。でもね、”ものもらい”になった子は、とても不便だし、不整脈になった子は、マジで息が出来なくなり心臓が痛いんです。それなのに、マネされたりしたら、自分がバカにされていると思って落ち込むよね。でも、こっこは、まだ、人の気持ちとかが解らないんですよ。だから、クソガキ!と思うんだけど、本人は、本当に知らないから仕方ないですよね。これから経験して学習していくことなんだから。

そういう、人の気持ちというものが、まだ、全く解らない小学生が、色々な友達との関わりを経て、人の気持ちというものに触れて行く過程が、とっても良いんですよ。在日の男の子のお家にお邪魔して、在日って何なの?って事を教えて貰ったり、難民の男の子の事とか、学校に行きたく無くなった女の子のお家に行ったりして、同じ人間なのに、みんな違うんだねって事を知って行くんです。

円卓

子供の頃は、何が正しくて、何が間違っているって、ハッキリしていたよね。大人になるにつれ、正と誤が、結構、曖昧なのだと言う事が解って来て、どちらも正しかったり、どちらも間違っている事って多いのだと知るんです。それこそ、相手の事を思いやり、自分の立場も思い浮かべてという、イマジンですね。全ては、これに尽きると思います。

誰もがイマジンを持って生きて行けば、争いは減って行くと思うんですけど、大人になってもイマジンを持てない人が、今多いようで、自分が一番、自分が中心、自分だけ、と思っている人が、社会にはびこっていますよね。都議会での「結婚出来ない、子供産めない」発言も、イマジン(想像力)が無いから出てしまった事。最悪です。こんな人間たちが政治を担うなんて、世も末ですね。子供に恥ずかしくて言えませんよ。


円卓

子供の素直な疑問を描くことによって、今の私たちの社会をぶった切っていると思いました。誰もが思いやりの気持ちを持たず、ガツガツ生きている社会は、息苦しいし、暑苦しいし、何より、美しくない。日本人なら、涼しげな顔をして、サラッと粋な事をして、周りの人間と上手くやっていくことが、カッコいいかなって思います。正しい、間違いと言うのではなく、カッコ良く生きる事が、一番、嬉しいかなって、こっこを見ていて思いました。”うっさい!ボケ!”って言われないようにするには、カッコ良くないとね。

円卓

私は、この映画、とってもお勧めしたいと思いました。でも、何が起きるわけでも無く、アクションがある訳でも無く、淡々と、小学生の日常を描いているので、ちょっと眠くなったり、飽きたりする方もいるかも知れません。こういう映画でも、楽しく観られる方のみ、行ってみて下さい。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ




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