「渇き。」ショッキングな映像の中に、人間の本質と壊れた親から作られる子供の姿が描かれる。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「渇き。」の完成披露試写会に行ってきました。お友達がチケットの引換をしてくださって、とても良い席で観る事が出来ました。


ストーリーは、

品行方正だと思っていた娘・加奈子(小松菜奈)が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島昭和(役所広司)。自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと躍起になって娘の足取りを調べていく。交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる。

というお話です。


渇き

すっごく驚いて、のけ反るほどショックで、グロテスクだけど楽しくて、極悪だけど美しいという、楽しめる映画が出来たと思いました。誰もが驚くような映画だと思います。ここまでやってくれれば、誰も、文句が言えないんじゃないかしら。私は、拍手を送りたいと思いました。でも、教科書を真っ直ぐにしか読まない方達には、この映画の良さは、あまり解って貰えないかも知れません。

渇き

この映画、人間の本質を描いているんです。人って、相手が弱いと思うとそれに付け込んで、強く出て、相手を従わせようとするでしょ。それって、無意識にやっているんですよね。対当だと思えば、声を大きくして、自分を強く見せようとしたり、相手を威圧するような態度を取るでしょ。そうやって、人間の優劣を付けようとする。それは、まだ、人間がサルだった時代から持っていた資質だし、動物なら当たり前の行動です。それを、この映画の中では、動物さながら、やっているんです。

そんな野生動物の中でも、飛び抜けて美しく、野性的な女子高生、加奈子。彼女は、本能だけで生きているような女性で、頭の中は空っぽ。何故、こんなに野生的な女の子が出来てしまったかというと、親が悪いから。父親は仕事ばかりで子供の事は構わないし、母親は、娘を表面しか見ず、自分の好きな事を優先するような女性です。だから、娘が居なくなっても、5日経って気が付くような状態で、娘がどんなことをしていたのか、全く分からないんです。最悪でしょ。こんな親だから、こういう子供が出来るよねぇ。

渇き

良く、イマドキの子って言うけど、昔だって、それなりにイマドキの子だったんです。自分の事を思うと、小学校に入り、社会と関わった時点から、既に、悪の目は出てきていましたよね。人を騙すし、欲が表に出てくる。子供だからって舐めてると、足元すくわれますよ。大人より、良く見ているし、頭の機転は効きます。まだ、多くの知識は無いけど、本能的に自分を守ると言う事は備わっているし、好き嫌いも激しいので、そりゃ、大人よりも残酷ですよ。無垢だからこそ、残酷な事が出来ると言う事もあるので、とても恐ろしいです。

渇き

そんな子供の本質が見抜けない大人たちの行動が、とても面白いですよ。振り回されてしまうんです。子供だから、そんな事やる訳ないとか思っちゃうんです。アホですね。大人が考える事は、子供も考えます。大人よりも簡単に裏切るし、そこに恩とか義理という文字は無いので、約束なんて守られる訳が無い。だからこそ、子供の頃の躾が大切なんです。約束は守る、人を裏切らない、基本的な人間の大切な事は、親がしつけない限り、覚える事はありません。ここで、親の大切さが出てくるんです。この映画では、親の酷さが描かれていて、これはダメダメだよねぇ~って事が解ります。

渇き

思った事を並べてしまいましたが、ここまでの感想をベースに、映画の内容を観て行きましょう。加奈子が行方不明になり、離婚して音信不通だった父親が探し始めます。加奈子の友達を探し、加奈子の事を訪ねるのですが、ほとんど的を得た答えが帰ってきません。加奈子には表面的な友達は居ても、本当の友達は誰も居なかったんです。遊び仲間を探していくと、ドラッグにまみれた生活が見えてきます。そして、ドラッグを手に入れる為に、どうやってお金を手に入れていたのか。どこからドラッグを手に入れていたのか。それが、段々と明かされてきます。

渇き

そして、加奈子が手を出してしまった、危うい相手は誰だったのか。それは、映画を観て、確認してくださいね。誰が、加奈子を連れ去ったのか。まるで、マザーグースでしょ。”誰が殺した、クック・ロビン。それは、私とスズメが言った。それは私とツグミが言った・・・。”本当は、誰だったのでしょう。

この映画、本当に面白かったです。時間軸が前後するので、”3年前”とか、”何月何日”という表示を、気を付けて観ていてください。でないと、誰が、何時、殺されたのか、誰が、何処で、捕まったのかと言う事が解らなくなります。この時間というのが、とても大切です。


出演者が、今回は凄いです!皆さん、弾けていて、良くやってくれたと言う感じ。役所さんのキチガイじみた行動、オダギリさん、妻夫木さんの怪演、若手の無垢なドス黒さ、そして國村さんの変態さと、もう、思う存分、楽しんで演じて下さっています。面白いですよぉ。

渇き

私は、この映画、超お勧めしたい映画だと思いました。本当に楽しめました。とても残酷で、グロくて、恐ろしいけど、それが、段々と楽しくなってきちゃうんです。自分の中の黒い部分が出てきてしまうと言うか、織田信長っぽく、”鳴かぬなら殺してしまえホトトギス”という気持ちになっちゃうんですよねぇ。そして、親というものが、子供にとって、どれだけ大切な教師とならなければならないのかという事が解ると思います。学校なんて関係ない。親が教える基本が大切なんです。それを、良く観てきてください。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ



P.S : ゴメンナサイ。またも、超楽しかったので、感想が長くなってしまいました。(笑)




渇き。@ぴあ映画生活



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