昨日、「her/世界でひとつの彼女」の試写会に連れて行ってもらいました。
ストーリーは、
近未来のロサンゼルスで、セオドア(ホアキン・フェニックス)は相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。長きにわたり共に生活してきた妻キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり……。
というお話です。
まず、一言。攻殻機動隊ファンの方は、観て欲しい!これ、監督が「GHOST IN THE SHELL」を知っているのか、知らないのかは解りませんが、私は、「GHOST~」へのオマージュと取れる部分が、多々ありました。詳しくは、感想の最後に書きますね。
主人公のセオドアは、妻と別れ、寂しさと悲しさに苛まれているんです。とても優しい人なのですが、人とぶつかり合って、知り合おうというタイプではなく、人との付き合いがどちらかと言うと苦手な人なんです。妻に対してもそうで、結婚していながらも、他人行儀で自分の心に入り込ませないような雰囲気なんです。そんな彼に不満を抱き、妻は別れを決めたのだと思います。そうそう、妻とのシーンで、彼女が書いている論文か何かで、”シナプス”という単語が出てきます。これ、キーワードだと思いました。

一人になったセオドアは、仕事以外にやることも無く、ゲームとネットに依存する毎日。そんな時、人工知能のOSを知り、自分のシステムにインストールすると、そのOSは、サマンサと名乗り、まるで人間のように、セオドアに話しかけてきます。この声が、スカーレット・ヨハンソンで、このサマンサが、まるで、少佐=草薙素子なんです。
話戻して、セオドアは、最初、ただの親しみやすいOSだと思っているのですが、交流していく内に、段々と、まるで人間と話しているような感覚に陥り、寂しさを忘れ、彼女に恋心を抱いていきます。これが、セオドアのストーリーで、きっと、観る人は、誰もがセオドアに自分を重ね合わせて、サマンサに恋をするんだろうけど、ここで、サマンサに自分を同化させてみると、「GHOST~」が見えてくるんです。

「GHOST~」では、電脳社会が広がった世界で、義体に入ったゴーストは、本当に人間なのか、それとも、人工知能なのか、もう、解らなくなっていますよね。このOSのサマンサも、電脳なんだけど、人格がある。そう、ゴーストがあるんです。そして、「攻殻機動隊」の原作の2巻の素子のように、どんどん進化をし、シナプスを広げ、世界とつながってしまう。個々であり、世界である。個が無くなり、一体となる。「GHOST~」のラストで、素子が「さて、どこへ行こうかしら。ネットは広大だわ。」というセリフがあるのですが、これが、サマンサのセリフとなってもおかしくないんです。ここは、映画を観て、楽しんでくださいね。

もう一つは、人形遣いのように、サマンサと対話をして、進化を促すキャラとして、物理学者の記憶を移植した電脳が少しだけ出てきます。こちらも、聞き逃さないようにしてくださいね。実体としては出てきませんので。
そして、最後のシーンなのですが、屋上にセオドアが立って、世界を見回すのですが、これが、「GHOST~」のラストにそっくりなんです。もう、どう考えても、オマージュとしか思えなくて、興奮してしまいました。これ、観ている人、ほとんど気が付かなかったのかな。知っている人には、超解りやすい電脳社会の話だったんだけど、あまり、他の方には感動が無かったようで、困ったなぁ~って思ってしまった。(笑)
と、私は、サマンサの立場を見て楽しんでしまいましたが、セオドアとサマンサの愛には、とても考えさせられました。人って、人格を愛するのか、肉体を愛するのか、どっちなんでしょう。確かに、ネットで出会って、ネット上で愛を育む人もいるだろうけど、それだけで満足するの?その反対に、自分のタイプの顔かたちを持っている人間と、肉体だけ求め合うので満足するの?
なんか、どちらも納得出来ないのよね。とても自分と相性が良くても、会ってみて、あまりにも自分のタイプじゃなかったら、熱って冷めると思うのよ。私は、そういうタイプなの。やっぱり、性格も見た目も、自分の許容範囲に入っている人間が好きになると思うし、声だけの関わりじゃ、満足出来ないんです。触りたいし、触って欲しい。私は、まだ、進化していないのかな。(笑)
でも、未来では、きっと、脳への刺激で触感だって満足出来るようになるだろうし、それこそ、電脳社会になり、人間の脳も、ネットにコピーして、世界と融合が出来るようになるのでしょうね。一人が知ると、全ての人間が知ることになる時代が来るのでしょう。個が欲しい私には、ちょっと寂しい気がしますけど。(笑)やっぱり、私は、アナログ好きな人間なのかも知れません。
映画の内容については、1/10も書いていないんです。スミマセン。えっと、セオドアとサマンサの恋は、色々な問題にぶち当たります。ハッキリ言って、「GHOST~」を全く感じずに、普通のラブストーリーとして観る方の方が、多いかも知れません。でもね、ラブストーリーを楽しみながらも、SF的な電脳世界を掘り下げて楽しむと、とっても深い映画となります。そして、人間とは、触れ合うという事とはって考えると、脳が全てを司っているという事にたどり着くんです。動物って、面白い。本能って、どこに隠されているの?本当に面白い。
私は、この映画、超超お勧めしたい映画です。特に、日本のアニメも観ている方、「攻殻機動隊」を知っている方は、ぜひぜひ観るべきだと思います。サマンサの”スカヨハ”声は、ハスキーで、少佐が英語を話したら、こんな声なのかもって思えるかも知れません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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