「そこのみにて光輝く」を観てきました。
ストーリーは、
仕事を辞めて何もせずに生活していた達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で気が荒いもののフレンドリーな青年、拓児(菅田将暉)と出会う。拓児の住むバラックには、寝たきりの父親、かいがいしく世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。達夫と千夏は互いに思い合うようになり、ついに二人は結ばれる。ところがある日、達夫は千夏の衝撃的な事実を知り……。
というお話です。
重かった・・・。すっごく重かった・・・。生きると言う事が、こんなにも苦しい事なのかと思ってしまうほど、どこまでも報われない家族のお話で、そこに関わった達夫という男性が、彼らを救おうとするんだけど、どうしても、救い上げることが出来ず、どうなるんだろうという話なんです。
達夫は、ぼんやりした毎日を送っていて、パチンコ屋で拓児と出会います。生活に覇気が無く、未来も見えない達夫に、ちょっとした変化が訪れ始めるんです。達夫の仕事は、骨材などの採掘現場で岩盤を爆破する仕事でした。その仕事中に事故が起きて、事故でショックを受けた達夫は、仕事を辞めてしまったんです。仕事仲間は、早く帰ってこいと言うのですが、どうしても事故の事がトラウマになり、戻る事が出来ませんでした。だから、毎日、ぼんやり過ごしていたんです。
そんな時に拓児と出会って、拓児の家族の事を知ります。拓児は、とても貧しい家に育っていました。海に近いバラックに住み、父親は寝たきり、母親はその世話でボロボロ、姉の千夏は、その全てを背負って、働いていました。あまりにも生活状況が酷くて、観ているこちらも驚くほどの貧困状態でした。
この状況を見て思ったのですが、貧困に陥ってしまうと、そこから抜け出すのは難しいのかな。貧困だと、生活状況が悪いので、栄養も悪くて身体が弱くて病気になりやすく、教育も満足に受けられないので、貧困から抜け出す為の知識も無く、アイディアも出ない。何処までも、抜け出せそうに無いんですよ。

私なんて、じゃ、コンビニバイトから始めればイイじゃんって思うんだけど、コンビニだって、キチンとした接客が出来なければ勤まらないし、お金の勘定もあるし、品物の事を知らないと陳列も出来ないですよね。それじゃ、どこか工場で作業の仕事をすればと思うけど、ずっと立ち仕事なんて、体力がないから出来ないでしょ。考え見れば、とにかく、人との付き合い方が良く解ってないので、会社でも勤まらないんだろうと思います。
貧困層に陥ってしまった家族を救う手立てはないんですかね。これじゃ、生活保護を渡しても、パチンコとかに使っちゃって、何にもならないと思うんです。だから、いつも思うんですけど、生活保護を受ける人たちは、どこか古くなった団地とかに入居して貰って、お金を渡すのではなく、子供には教育を、大人には健康な身体を作らせる世話をするようにすれば良いんじゃないかな。そして、仕事を世話して、お金を稼いで貰うようにすることが大切なんじゃないの?ただ、お金を渡しても、使い方を知らないんだからムダになります。生活を立て直してあげることが、行く行くは、日本の為、私たちの為になるんじゃないかと思います。
話を映画に戻して、こんな貧困家庭に生まれた千夏と拓児なのですが、心は捻くれてなくて、とっても優しいんです。達夫が助けてあげたいと思ったのも解るけど、そんなに簡単に生活を変える事は難しいのでしょうね。でも、もしかして、ここから変わって行けるのかもという希望を捨てないで欲しいと思いました。
生きる事の辛さや苦しさを、表に出さないけど、その表情に読み取れるような演技の菅田くんは、凄いなって思いました。”共喰い”の時も光っていたけど、最近の若い男優さんは、力つけてきてますね。もちろん、綾野さんと池脇さんは、安定した確実な深い演技で、良かったですよ。この2人だと、本当に惹き込まれますね。
観ていて、辛くて怒りたくなる映画ですが、私は、お勧めしたいかな。貧困というものが、こんなにも抜け出すのが難しいものなのかと知る事が出来ます。そして、そういう人間に対しての周りの態度が、とても傲慢で酷いものだということが判ります。自分もそうならないように、気を付けなければね。気になったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。